こんばんは。今日は以前からリクエストのあった無鉛半田について少しお話をしてみたいと思います。最初に言っておきますが、私が無鉛半田をいろいろと検討していたのは2000年の初頭ごろでかなり昔の話ですので、最近の状況は少し変わっているかも知れませんが、その点はお許しください。また時期については記憶があいまいなこともあり、少し前後しているかも知れません。
先ず無鉛半田とは何かですが、従来の半田の成分には有害とされる鉛が入っていたのですが、それを極力なくしたものを無鉛半田と言います。鉛で一般的なものは釣りで使う重りがありますね。小さい時、重りを歯でかんでつぶしたことがあったりしますが、今から思うとあれはかなり危険な行為だったのかも・・・。
ちょっと話がそれましたが、そもそも無鉛半田が使われるようになったきっかけはヨーロッパの特定有害物質の使用制限であるRoHS(ローズ)からだったと記憶していますが、このRoHS規制は非常に厳しく、実際に港の簡易検査(カドミなどは簡単に検査ができます)でNGとなるとその時点で出荷停止となったりするので、国内メーカーでもかなり神経質に対応をせまられていたのです。当時、カドミを検査する高額な装置がM社とS社で買い占められて国内でいっせいに無くなったという笑えない話もあったりします。
無鉛半田はソニーでも2000年ころから検討が急激に進んでいきましたが、当時は音質うんぬんよりも先ずは無鉛であることと、半田がちゃんとできることというのが最大のテーマでしたので、当時の無鉛半田はかなり音の悪いものがありました。というのは無鉛半田は一般的に融点が高く、またぬれ性が悪いため、今までの有鉛半田に比べ作業性が悪く、半田槽に溶かしておいた半田の表層にプリント基板の下面を浸すことによって半田付けを行うフロー方式などでは最初はまともな半田が出来ず、関係者は相当苦労したようです。そのため、とにかく安定してフロー半田が出来れば取り合えず採用というような感じだったと思います。ちなみにスピーカーユニットの場合は基本的に手半田ですので、この点では少し有利ですが、ソニーのような大きい会社ではパーツの標準化ということがあり、どうしても大量に使うフロー用に合わせて標準半田を決めていったという背景があり、最初はスピーカーもその中でいかに音のいいものを標準品として登録させるかでかなり苦労したのです。というのは、ソニー社内の中で、手半田での使用というのは非常にマイナーですから、それに合わせて標準品としての認定をしてもらうというのは結構ハードルが高いのです。
私が実際に無鉛半田をテストしたのはプロ用の大型スピーカーの商品化をしていた時で、当時入手できた10種類近くのサンプルを10インチPAモニターを使い比較試聴を行いました。この手のテストで大事なことは先入観を入れないということで、そのため私は必ずブラインドテストで比較を行います。でその時の印象ですが、まぁピンきりでほんとひどいものは聴いた瞬間「なんじゃこりゃ!」という感じだったのです。具体的に言えば、ウーファーがローミッドくらいになるという。あれ~低音はどこに行っちゃったのと。正直あまりのひどさに、「本当にこれは半田だけの差なの?」と何回も部下に聞き返したくらいです。残念ながらその中で今までの有鉛半田を越えるものはありませんでしたが、まぁ許容範囲のものは見つかりました。ただ問題だったのは一番ひどかったやつが何と当時のソニーの標準品として検討中のものだったのです! 私はあわてて標準化を担当している部署に電話をし、「本当にこれで音がOKなの?」と確認しましたが、答えは予想通り「音なんか検討している余裕はありません。xxxまでにラインで安定して流せるものを早く見つけないと・・・」といった感じで、正直困ったなぁというのが当時の実感でした。でその後、どうせ手半田用の半田などはあまり他の部署には関係ないでしょ、とかなんとかいろいろ交渉を進め、標準ではないけれど一応使ってもいいという微妙な登録をすることができ、何とか危機を逃れたのです。
ところでその時に確認した無鉛半田ですが、これは大きく分けてスズ・銅のタイプと、スズ・銅・銀入りのタイプでしたが、驚いたのは音の評価と成分とのあいだに相関性が見られなかったということです。たまに銀入りだから音がいいというような表現を見かけますが、その時の私の経験ではあまり関係ないという印象です。実際にこの時採用したのは銀入りではありませんでした。もちろん、銀入りでもいいのもありましたよ。 これってエンジニアとしてはもっとも嫌な結果なんですが、まぁそれも事実が一番重要ですから受け入れるしかありません。ということで、私の結論としては無鉛半田は成分だけでは音の評価は分からない。実際に音を確認していくしかないということです。今市販されている無鉛半田がどの程度の音なのか私は確認していないので分かりませんが、もし時間とお金に余裕があれば、今まで使っていた有鉛半田と新しい無鉛半田を比較して聴いてみるとびっくりするような差があるかも知れませんね。ちなみに私は時間がもったいないので、当時中国ベンダーが採用していたもので音の良かったものをそのまま使っています。(たまに、自分用で使う時は有鉛タイプも使ったりしますが、まぁそれは自分用ということで・・・・)
では今日はこの辺で。
先ず無鉛半田とは何かですが、従来の半田の成分には有害とされる鉛が入っていたのですが、それを極力なくしたものを無鉛半田と言います。鉛で一般的なものは釣りで使う重りがありますね。小さい時、重りを歯でかんでつぶしたことがあったりしますが、今から思うとあれはかなり危険な行為だったのかも・・・。
ちょっと話がそれましたが、そもそも無鉛半田が使われるようになったきっかけはヨーロッパの特定有害物質の使用制限であるRoHS(ローズ)からだったと記憶していますが、このRoHS規制は非常に厳しく、実際に港の簡易検査(カドミなどは簡単に検査ができます)でNGとなるとその時点で出荷停止となったりするので、国内メーカーでもかなり神経質に対応をせまられていたのです。当時、カドミを検査する高額な装置がM社とS社で買い占められて国内でいっせいに無くなったという笑えない話もあったりします。
無鉛半田はソニーでも2000年ころから検討が急激に進んでいきましたが、当時は音質うんぬんよりも先ずは無鉛であることと、半田がちゃんとできることというのが最大のテーマでしたので、当時の無鉛半田はかなり音の悪いものがありました。というのは無鉛半田は一般的に融点が高く、またぬれ性が悪いため、今までの有鉛半田に比べ作業性が悪く、半田槽に溶かしておいた半田の表層にプリント基板の下面を浸すことによって半田付けを行うフロー方式などでは最初はまともな半田が出来ず、関係者は相当苦労したようです。そのため、とにかく安定してフロー半田が出来れば取り合えず採用というような感じだったと思います。ちなみにスピーカーユニットの場合は基本的に手半田ですので、この点では少し有利ですが、ソニーのような大きい会社ではパーツの標準化ということがあり、どうしても大量に使うフロー用に合わせて標準半田を決めていったという背景があり、最初はスピーカーもその中でいかに音のいいものを標準品として登録させるかでかなり苦労したのです。というのは、ソニー社内の中で、手半田での使用というのは非常にマイナーですから、それに合わせて標準品としての認定をしてもらうというのは結構ハードルが高いのです。
私が実際に無鉛半田をテストしたのはプロ用の大型スピーカーの商品化をしていた時で、当時入手できた10種類近くのサンプルを10インチPAモニターを使い比較試聴を行いました。この手のテストで大事なことは先入観を入れないということで、そのため私は必ずブラインドテストで比較を行います。でその時の印象ですが、まぁピンきりでほんとひどいものは聴いた瞬間「なんじゃこりゃ!」という感じだったのです。具体的に言えば、ウーファーがローミッドくらいになるという。あれ~低音はどこに行っちゃったのと。正直あまりのひどさに、「本当にこれは半田だけの差なの?」と何回も部下に聞き返したくらいです。残念ながらその中で今までの有鉛半田を越えるものはありませんでしたが、まぁ許容範囲のものは見つかりました。ただ問題だったのは一番ひどかったやつが何と当時のソニーの標準品として検討中のものだったのです! 私はあわてて標準化を担当している部署に電話をし、「本当にこれで音がOKなの?」と確認しましたが、答えは予想通り「音なんか検討している余裕はありません。xxxまでにラインで安定して流せるものを早く見つけないと・・・」といった感じで、正直困ったなぁというのが当時の実感でした。でその後、どうせ手半田用の半田などはあまり他の部署には関係ないでしょ、とかなんとかいろいろ交渉を進め、標準ではないけれど一応使ってもいいという微妙な登録をすることができ、何とか危機を逃れたのです。
ところでその時に確認した無鉛半田ですが、これは大きく分けてスズ・銅のタイプと、スズ・銅・銀入りのタイプでしたが、驚いたのは音の評価と成分とのあいだに相関性が見られなかったということです。たまに銀入りだから音がいいというような表現を見かけますが、その時の私の経験ではあまり関係ないという印象です。実際にこの時採用したのは銀入りではありませんでした。もちろん、銀入りでもいいのもありましたよ。 これってエンジニアとしてはもっとも嫌な結果なんですが、まぁそれも事実が一番重要ですから受け入れるしかありません。ということで、私の結論としては無鉛半田は成分だけでは音の評価は分からない。実際に音を確認していくしかないということです。今市販されている無鉛半田がどの程度の音なのか私は確認していないので分かりませんが、もし時間とお金に余裕があれば、今まで使っていた有鉛半田と新しい無鉛半田を比較して聴いてみるとびっくりするような差があるかも知れませんね。ちなみに私は時間がもったいないので、当時中国ベンダーが採用していたもので音の良かったものをそのまま使っています。(たまに、自分用で使う時は有鉛タイプも使ったりしますが、まぁそれは自分用ということで・・・・)
では今日はこの辺で。
半田なんて、融点さえ低ければそれでいいと
思って、30年以上、錫60%鉛40%のヤニ入り
のものを使い続けてきました。
銀入りには手を出しませんでした。
結果的に、音にとってもこれで良かったわけ
ですね。
なんか安心しました。
今、心安らかに音楽を聴いております(笑)
>半田程度で音質が大幅に変わるなんて驚きです。
私もそう思ってました。ほんとその差はびっくりです。
>銀入りには手を出しませんでした。結果的に、音にとってもこれで良かったわけですね。
せっかく安心されているところに水をさすようで申し訳ないのですが、銀入りだからNGとかOKという感じではないので、言い換えれば今お使いの有鉛半田がはたしてどのレベルの音なのかにもよるかと思います。おそらく無鉛よりは条件は有利なはずですが、有鉛だからと言って全てのものが音がいいとは限らないと思いますので。半田の切り売りとかをやっているかどうかは詳しくないのですが、もし少量で購入可能であれば有鉛も含めて一度試されると大当たりのものが見つかるかも知れませんね。
非常に興味深い話でした。
しかし、やっぱり音のいい半田は自分で試すしかなさそうですね^^;
とりあえずホームセンターで売っている鉛フリーの安いヤツを使っています。
抵抗が少ないから鉛フリーの方が音質的に有利かなと思っていました。
その後で、熱を当てすぎると良くない、ファストン端子がお勧め、という記事を拝見して
2ペア目はオーテクのファストン端子を購入し、装着しました。
GX333+25様がご紹介されていたフジヤNO.FA006と同等品(OEM?)と思われる
マーベルNo.600-Aがホームセンターで1500円ぐらいで売っていたので
それを使いました。
ファストン用のサイズが3タイプしかありませんでが
オーテクのファストン端子S,Mサイズを使う分にはちょうどぴったりのサイズでした。
コツはいりますが(慎重、かつ、大胆に締める)、半田に比べればやけどの心配なども
ないので
これからユニットには半田でなく、ファストン端子を使うことにします。
しかし、ネットワーク等に手をつけるとなると半田は避けて通れなさそうですね。
そちらでも使うもので音が違ってくるのでしょうね。
そんなに違うものですかね。
それはさておき私の次期メインスピーカーはPARC製17cmユニットを使ってと決定しましたが、フルレンジ、同軸2機種、ウーハー3機種それぞれ魅力的で困ってしまいます。
この内ケブラーのみ代表による詳細な解説がまだのようですけど、私も事情により暫くは工作に取り掛かれませんので、気長のお待ちしております。
「有鉛だからと言って全てのものが音がいいとは限らない。」・・・でしょうね。
実は数日前、デバイダーの片チャンネルから音が出なくなって、片チャンネルだけ(全部のパーツの)半田付けをやり直したのです。
一応直ったのは良いのですが、音が鈍ったように感じるのは気のせいか?半田の品質のせいかか??もっと他に原因があるのか???
う~ん、心安良かでなくなりました。さらに道は続く・・・(笑)
>しかし、やっぱり音のいい半田は自分で試すしかなさそうですね^^; とりあえずホームセンターで売っている鉛フリーの安いヤツを使っています。
そうですね。先ずは実際に試されるのが一番かと思います。
>これからユニットには半田でなく、ファストン端子を使うことにします。
是非そうしてください。音質だけで言えば半田よりは劣るかもしれませんが、大切なユニットにダメージを与えるよりはましです。私見ですが、ユニットに半田付けをするということは、ユニットを取り外して吸音材等の入替え等をいろいろやるというような調整をしないということと同義のように思われ、その意味でもあまり感心いたしません。
>ネットワーク等に手をつけるとなると半田は避けて通れなさそうですね。そちらでも使うもので音が違ってくるのでしょうね。
すみません、どうやら私の書き方が不十分で誤解を与えたかも知れませんので、少し補足しておきます。ソニーでいろいろな半田をテストした時の方法は、ネットワーク上の半田を全て変えたもので比較試聴をしたもので、ユニット自体の半田は変えていません。プロ用のPAスピーカーで結構パワーを入れてのテストでしたので、差が出やすかったということもあったかも知れません。
ユニットの半田に関しては、ネットワークと違いリード線へのダメージを避けるということで作業性(比較的短時間で半田が出来るもの)という条件があり、使えるものが限定されることもあり、またリード線部のみのため差も出難いであろうとのことで、テストには使用しませんでした。
>そんなに違うものですかね。
先にも書いたように、このテストはネットワーク(2way)の全ての半田部を変更してのものでしたので、ユニットのリード部だけを変えた場合よりは変化は大きいと思います。ユニット単体でのテストはリード線への影響で使用できる半田が限定されるので、あえてテストはしていませんが、ネットワークに比べれば影響は少ないでしょうね。私は前にも書いたように、ユニットへの半田付けは推奨していないので、今回もあくまでネットワーク等での使用を前提に書かせていただきました。
>それはさておき私の次期メインスピーカーはPARC製17cmユニットを使ってと決定しましたが、フルレンジ、同軸2機種、ウーハー3機種それぞれ魅力的で困ってしまいます。
そうでしたか。それでは、これからいろいろと悩んでみてください。(笑) それもまた自作の楽しみではと思います。だって完成品のシステムではそんなうれしい(?)悩みは絶対できませんから・・・。
>この内ケブラーのみ代表による詳細な解説がまだのようですけど、私も事情により暫くは工作に取り掛かれませんので、気長のお待ちしております。
そうでしたっけ。すみません、うっかりしてました。ケブラーは13cmと17cmでちょっとバランスが違います。13cmの方が少しやんちゃ坊主でシステム的にはしっかりとハイカットをしてやる必要があります。17cmの方は正にザ・ウーファーという感じで非常に素直なバランスで、PARCの中で最もウーファーらしいユニットではと思います。基本的な音色はどちらも同じで、他の素材に比べれば一番HiFi的な音というか高SNな方向ではないかと思います。ただこのケブラーユニットもF131Pと同じくディスコンの最有力候補となっているため、ケブラーに関してだけはゆっくり悩んでいると買いたい時には既に物が無いというようなこともあるかも知れません。
>う~ん、心安良かでなくなりました。さらに道は続く・・・(笑)
すみません、寝ている子を起こしてしまったようで・・・。(^^;
でも、それだからこそオーディオは楽しいとも言えますね。