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NWの固定や、ダクト処理について

2010年11月19日 23時49分05秒 | オーディオ

こんばんは。今日はBOX内部のネットワークやダクト等の処理について、ちょっと書いてみたいと思います。

ネットワークなどをBOXにどのように取り付けるかということは、結構ご質問を受けるのですが、経験的に言えば一番いいのはNW全体を箱の外に出してしまうことです。普通、ネットワークの粗調整段階では素子の変更などを簡単にするために、BOXの外にユニットからのケーブルを出して行うのですが、だいたい調整が済んでNWをBOX内に入れると、ほとんどの場合音が悪くなります。経験では1~2割ダウンといった感じでしょうか。まぁもちろん、この差が分かるためには、ユニットの完成度やNWの調整もあるレベル以上でないと分からないこともあったりしますが。

ソニー時代に開発したあるハイエンドモデルでは、完全に独立したネットワークBOXを設置するタイプを検討しましたが、これの効果は予想以上に高いものでした。驚いたのは、そのネットワークBOXの蓋を閉めるかそのまま開けておくかでも音が変わったことで、実は蓋を締めると何故か音が窮屈な感じになったのですが、製品として蓋無しで中身がむき出しというのも無理なので、最終的にはネットワークBOXの中にも吸音材を少し入れることにしました。ただ残念ながら、このモデルはやりたいことをやり過ぎて、企画していた予定価格の倍近くになってしまい、残念ながら企画見直しとなってしまいました。(^^;

ではBOX内にNWを設置する場合、どのような方法がベストかという事ですが、これはメーカーによってもいろいろと考え方があるようです。私の場合はと言えば、今までの経験の中で一番印象の良かったものは、NWをしっかりとしたボードに固定し、そのボードをBOXに吸音材やブチルゴムなどでフローティング処理をして固定するという方法です。直接NWをBOXにしっかりと固定するという方法が一般的かと思いますが、この場合NWがBOXの振動を受けるため、フローティングすることによってその影響を軽減するということが目的です。またNWへのBOX内部の音圧がNW素子へ直接影響することを避けるため、NWを吸音材で覆うというような手法をやったこともありました。これも効果はありますね。ただこれはハイパワーのモデルなどではコイルが結構熱を持ったりするので、その点を考慮する必要はあります。こういうややこしい方法はちょっとという方は、NWボードの下にブチルゴムか吸音材をひいて、それと一緒にNWをネジ止めする方法でも、直接止めるよりはよろしいかと思います。

それとBOX内部の処理でもう1点あるのが、ダクトの処理です。スリットバスレフは別として、一般的なバスレフではダクトは俗に言う片持ち梁(一方だけが固定されて、片方がフリーになっているもの)になっているため、構造的に弱く、長いダクトの場合結構ダクト自体が振動することになります。特に市販の成形品のダクトを使用している場合は、板厚がかなり薄く、強度が弱いので、結構これが問題となります。PARCの純正キットがあえて市販の肉厚塩ビ管を使っているのは、このダクト強度をかせぐためなのです。ダクトの振動対策としては、ダクト外周部にブチルなどを巻くのが効果的で、私はよくこの手法を使います。ブチルがなければ、市販の布製のガムテープなんかでも何回か巻けば効果は得られます。何か低域がいまいちしっくりこないという場合は、是非一度お試しください。ダクト補強の上級編としては、片持ち梁構造の抜本的な対策として、ダクトの先端部とBOXの隙間に木材などを入れて完全に固定してしまうという手法です。これもかなりの効果が期待できますので、長めのダクトをお使いの方は是非お試しを。

ダクトの処理では、風切り音(ポートノイズ)対策としてダクト内部に薄いフェルトを貼り付けるという手法もあります。これはホームセンターなどで市販されているできるだけ薄いフェルトを使っていただけるとよろしいかと思います。あまり厚いものを使うと、ダクト内径が小さくなって、ポートチューニングが変わりますので、ご注意ください。ダクト内径が小さいものについてはポートの流速が早くなるので、この手法は結構有効となります。

次回はプロジェクトFについて少しお話しましょうかねぇ。では今日はこの辺で。


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22 コメント

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代表の考えに同感 (DEWIorKINOKO39papa)
2010-11-20 07:57:32
ご無沙汰してます。

本文を読んでいて、何回も頷いてしまいました。

私も、プリント基板のNWに限らず、できるだけ外付けのボックスに収めるようにしています。
スペース上外付けできないものはBOX内に収め、防振するように心がけておりますが
プリント基板のものは板自体が鳴きやすいですね。

ブチルゴムで制振するのは良いのですが、あのべたべたは閉口モノです。(自己誘着系テープものを使用しているので)

先日も、スーパ-TWEETERを取り付けようとし配線をいじっていたらプリント基板から伸びる単線がモゲテしまいました。
(どうやら、イモはんだだったみたいですね)
そういう理由で私はプリント基板が苦手です。

ということで、私は基本的に所謂手配線で圧着のリングターミナル等を多用しています。
役モノを多用するのは、接触抵抗とか考えるとベターではないかなと思いますが、仕上がりを考えるとこちらが優先になります。

コンデンサはリード線のみのマウントだと鳴ってしまう感じがするので、木材に穴をあけたものに通して基板(また木材)に接着しています。

いずれにせよ、珪素鋼板コイルがディスコンになるのは惜しいですね。デザインが良いし、ねじでマウントするのにもがっちり止められるし、ほんとに残念です。

一度NWにインストールすると、よっぽどのことが無い限り部品を替えるということもなく
次のシステムを導入、というのもよっぽどスピーカー工作にハマっていなければあり得ないので、需要が元々少ないというのが現状なんでしょうか。
Unknown (オニール大佐)
2010-11-20 18:13:25
突然思い出したのですが、
SS-A5のポートで、
1/2周のみ吸音材が貼られていますが、
なぜ1/2周のみ吸音材を貼ったのか、
知っていましたら教えてください。
Unknown (PARC)
2010-11-20 23:56:11
DEWIorKINOKO39papa様

>ブチルゴムで制振するのは良いのですが、あのべたべたは閉口モノです。(自己誘着系テープものを使用しているので)

確かに国産のものは、そういうタイプが多いですね。ソニーで使っていたのはドイツ製のもので、これは本当に使いやすくて重宝しました。

>いずれにせよ、珪素鋼板コイルがディスコンになるのは惜しいですね。

いやまだ正式にディスコン決定したわけではないのですが・・・・。(^^;
まぁできるだけそうならないように、頑張ってみます。皆さんにご協力いただきたいことは、ユーザーレポートやご自身のブログやHP等でのご紹介をしていただくことで、そうすることで少しはメジャーになるかも知れません。(図々しいお願いではありますが)

>需要が元々少ないというのが現状なんでしょうか。

そうですね。何年かすると勝手に壊れてくれるようなものがあれば、もっと売れるかも・・。(冗談です)
Unknown (PARC)
2010-11-21 00:02:06
オニール大佐様

>なぜ1/2周のみ吸音材を貼ったのか、知っていましたら教えてください

これは実際に作業をすれば分かりますが、ダクト全周にフェルトを貼るというのはかなり大変だということが要因だったと記憶しています。ソニーのようなメーカー製品では、外観の規格も非常に厳しいので、全周貼る場合合わせ目をきれいにしないといけませんし、また途中で隙間が出てもNGなので、かなりハードルは高いと思います。フェルトの効果そのものは、半周くらいでも十分出ますので、費用対効果を考えればそれで十分かと思います。自作の場合は、工数はあまり問題にはならないでしょうから、気力のある方はトライされてもよろしいかと思います。
Unknown (オニール大佐)
2010-11-21 00:47:13
PARCさん

回答ありがとうございました、
外観、作業性の問題なんですね、
ちなみに自作で全周はるぐらいは楽しみまがら、
やるせいか、気力というほどのものではないですよ。2本だけというのもありますが、、、、
私はチューニングの微調整と聴感上良いような気がするので、コルクの薄いシートを張ることも
あります。
NWの取り付け位置 (ひでじ)
2010-11-21 16:56:58
私も、コアキシャルppのセッテイングの時は
結構苦労しました。
結論としては、BOX外の方が全然いいという物でした。
最後は、代表の言うとおりプチゴムの挟んだビス止めに
吸音材で覆うことで、納得した感じです。
NW出来れば、自作くらいは別にするといいかもしれませんね
やはり・・・ (CarriageDriver)
2010-11-21 19:44:31
仕上げが進んでくるとNWを箱に入れられなくなるのって自分だけじゃなかったんだ…(^^;

よかった~(笑)

それより、8cmPPを早く活かしてあげないと。いつまでもただの板にマウントしたままじゃかわいそうなんで。でも実際、これだけ「艶」のある表現をしてくれるドライバなんでかえって身構えますね。

いっそ、Fユニットが出るまで待ってから(能率と特性次第ですが)プラスウーファタイプの2ウェイにするのもよさそうです。
Unknown (PARC)
2010-11-22 00:45:45
オニール大佐

>ちなみに自作で全周はるぐらいは楽しみまがら、やるせいか、気力というほどのものではないですよ。

確かに自作なら問題ないかも知れませんね。

>コルクの薄いシートを張ることもあります。

コルクの場合は、吸音性というよりはどちらかと言うと制振効果の方かも知れませんね。私はダクトで使った経験は無いのですが、その他のパーツでは使うことはありました。まぁいろいろな素材をカット&トライで実験できるのも自作の醍醐味かも知れません。
Unknown (PARC)
2010-11-22 00:47:26
ひでじ様

>NW出来れば、自作くらいは別にするといいかもしれませんね

スペースと外観が許容範囲でしたら、そうされることを推奨します。
Unknown (PARC)
2010-11-22 00:49:25
CarriageDriver様

>したままじゃかわいそうなんで。でも実際、これだけ「艶」のある表現をしてくれるドライバなんでかえって身構えますね。

この子は一応価格を含めて入門層も意識してのモデルなので、気軽に料理してやってください。

>いっそ、Fユニットが出るまで待ってから(能率と特性次第ですが)プラスウーファタイプの2ウェイにするのもよさそうです

そういう手もありましたか・・。

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