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PPコーンについて2

2008年06月27日 23時33分28秒 | オーディオ




こんばんは。

今日はPPコーンの続編です。PARC Audioの13cm PPコーン(DCU-F131PP)の話をする前に、前回の話の流れもあるので先ずビクター時代に商品化した日本初のPPコーンユニットについてちょっと書いておきたいと思います。

このモデルは最初からウーファーとして商品企画されたものでした。というか当時剛性の無いPPコーンでフルレンジを作るということ自体誰も考えなかったというのが真相です。ということで、このモデルは無理して高域を出すことは考えなくて良かったので、最大のポイントは剛性の無いPPコーンでいかにしっかりした低域と適度なはりのある中域を出すかということでした。コーンタイプの設計で設計者が一番悩むことの一つにセンターキャップをどうするかということがありますが、このモデルでは迷わずコーンケープ(俗に言う凹キャップ)を選択しました。このコーンケープは中域が少し落ち気味になる欠点はあるものの、素直な高域と、キャップの形状自体がコーンの補強となるため低域がしっかりするというメリットがあり、剛性の弱いPPコーンには最適ではと感じたからです。(もちろんフルレンジには全く適しません)

前回も書きましたが、当時流通しているPP材料はあくまで成形性のことだけを考えられていたものでしたので、音響特性に特化したものではなく、正直材料的になかなかこれはというものはありませんでした。いろいろ検討していくうちに分かったのは、PPにいろんな添加物を入れても音響特性を考慮してない材料では中途半端に剛性が上がっても肝心の音質が変に濁るような感じがあって、一番いいのは何も入れてない100%ピュアなPP(ナチュラルPP)だということでした。ナチュラルPPは剛性は最も弱いながら、その音質は非常に素直でピュアなもので、今までの紙には無い良さを持っていました。確か当時のロジャースも透明なナチュラルPPを使っていましたが、実はこれは彼らが特許を持っていて他のメーカーは使えなかったのです。そこで、とにかく出来るだけナチュラルに近い添加物の少ないPPを選ぶことで材料を決定していきました。そのため振動板の重量もかなり重めで、非常に素直で聴きやすい音ながら、全体に音場感としては奥に引っ込む印象で(よく言えば奥に広がる)、その後の多くのPPコーンもこのような音が多かったと思います。これらのPPコーンの音については、紙コーンの音を紙くさいと思うか、軽やかで鳴りっぷりの良い音と感じるかで評価が分かれるでしょうね。

その後PPコーンは射出成形が主流となり大量に生産されるようになりましたが、剛性アップのために補強材を入れるケースが多く、その音質はPPコーンの割には少しキャラクターが強くなり、他の材料と比べると重めの振動板ということもきいて音も重め(暗め)の印象のものが多いように感じます。ソニーでも材料Gpが中心となって同じオレフィン系の樹脂で材料を極限まで配行させて剛性を上げるという改良を行いましたが、射出成形の場合は軽量化をするためには金型を薄くする必要がありこれにも限界があり、個人的にはやはりもう少し・・・という印象を持っていました。

その後ソニー退社前の最後っ屁というわけではありませんが、ドサクサに紛れて真空成形法で極限まで軽量化を行ったPPコーンモデルをカー用で商品化し、このモデルもそれまで弱かった2ウェイモデルでヨーロッパを中心に好評を得ることができました。この時のモデルは、退社後に部下から聞いた話では「商品評価用にこのモデルを試聴評価に使った回路屋さんたちが、ソニーにこんな音のするスピーカーがあったとは驚いた。」と絶賛だったようで、本当にしてやったりという感じです。ちなみに長年ソニーでスピーカーの設計をやっていて一番評価が厳しいのは誰あろう身内のソニーの連中なんです。それだけにソニーの他部課の者からの評価を受けるというのは本当にうれしい限りでした。まぁ退職後に褒められてもという感じも少しありますが・・・・。

ということで、前置きが大変長~くなりましたが、そんな流れを受けての今回のDCU-F131PPの商品化なのです。はい。 このモデルも実を言うと、最初からフルレンジで商品化をすると決めていたわけではなく、とにかく自分として今までのPPコーンの常識(音は素直だけど、ちょっと重めで引っ込む感じ)ということを打ち破ってやりたい ということが最大のテーマでした。そのため、とにかく極限の軽量化をやってやろう ということで設計を進め、結果としては自分としてもかなり満足できるレベルに仕上がったかと思います。

裏話ですが、あるシステムメーカーさんに発売前のPPコーンと紙コーンのフルレンジを聴いてもらったところ、その音の軽さからPPコーンの方を紙コーンと思ってコメントをいただいたことがあったくらいなのです。試聴後に、絶賛された方がPPコーンだと伝えるとかなり驚かれていらっしゃいました。これは販売店様に聴いていただいた時も同様で、やはり皆さんが驚かれていましたね。

このモデルの最大の売りは、PPコーンらしくない音離れの良い軽やかな音ということで、同時にPPコーンの最大の良さである聴き疲れしない素直な音ということも両立していますので、クラフトスピーカーの入門用としても非常に使いやすいかと思います。また忘れてならないもう一つの特徴は、PARC Audioのモデルの中ではかなりお買い得な価格だという点です。13cmのPPコーンと8cmのウッドコーンが同じ価格ですので、正直これは戦略的な価格設定をしています。と言いながら現在メーカー欠品中でご迷惑をおかけしていますが、8月のお盆ごろには次期ロットが入荷予定ですので、もう少しお待ちいただければと思います。

お使いになる時のポイントとしては、全体に音は軽めであるという点でキャビネットは出来るだけ大きめのもので、バスレフの設定もどちらかと言えば若干高めの設定にして量感を出す方向に した方が相性が良いかと思います。また中低域が豊かに出るという点でバックロードとの相性も良いようです。実際、ハセヒロ工業様のバックロードとの組合せでお楽しみになられているユーザー様もかなりいらっしゃるようです。

最後にこのモデルのシリーズ化について今後増やしていきたいと考えていますが、時期などは全く未定で、今後の皆様のご感想等を参考にさせていただきながら考えていきたいと思いますので、是非コメントよろしくお願いいたします。では今日はこの辺で。

 

 

 


 

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16 コメント

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Unknown (高橋)
2008-06-28 20:02:07
社長さんこんにちは。恥ずかしながらPPコーン=お風呂用の防水スピーカーみたいな先入観かあり、おまけに値段が安いので、パークさんの主力(予定)商品というのを見て、初めてスペックを拝見しました。低音も高音もやや中途半端な印象を受けたのですが、大口径のコアキシャルなんかを期待しています。

Unknown (tanukine)
2008-06-28 22:32:25
スペックで音が分かるなんて、すごいですね。
Unknown (PARC)
2008-06-28 22:41:32
>低音も高音もやや中途半端な印象を受けたのですが

なかなか手厳しいコメント恐縮です。
おっしゃるようにスペックだけではこのユニットの特徴を知っていただくのはちょっと厳しいのかも知れませんね。まだ販売店様で試聴ができるところが少ないので、こちらとしても今後デモ機を増やしていけるよう頑張ります。
また機会がありましたら、一度先入感を忘れて是非お聴きいただければ幸いです。今後ともよろしくお願いいたします。
Unknown (Unknown)
2008-06-29 08:43:11
はじめまして。
PP振動板の実用化にまつわるお話興味深く読ませていただきました。PPの低密度と高減衰能を維持したまま如何に剛性を賦与するかが肝だと理解しましたが、例えば金属やセラミックの蒸着で曲げ剛性を上げるような方向はどうだったのでしょうか?
もしご経験がおありなら差し支えのない範囲でお話いただけませんでしょうか?
フルレンジ2発 (K村)
2008-06-30 06:32:05
先日は回答頂き有り難うございます。又ウッドコーンの話ですみません
DCU-F121Wがますます滑らかに、ウッドコーンは余韻の消え方が良いですね、他社のアルミコーンを使っていますが、余韻がなかなか消えないせいなのか、前後の奥行きがあまり感じません、DCU-F121Wを聞き始めてから、スーピーカーが楽しくなってきました、そこで質問ですが、DCU-151WとDCU-F101Wで2ウエイは邪道でしょうか?もし可能ならば、接続はネットワーク、そのまま直列か並列ですか?変な質問で申し訳ございません。
PPコーン剛性upについて (PARC)
2008-06-30 18:20:48
たしかにPPコーン剛性upについては前回のエントリーでちょっと省いた感じでしたね。近日中に続編3で書きたいと思います。
Unknown (PARC)
2008-06-30 18:31:40
K村様

>DCU-F121Wを聞き始めてから、スーピーカーが楽しくなってきました

これは最高の褒め言葉です。音楽はやっぱり楽しくなくちゃあいけませんよね。

151WとF101Wの2ウエイとは、正直考えたこともありませんでした。非常に独創的な発想で驚きました。不可能ということはないと思いますが、トライされるなら直列だけはないと思います。ネットワーク付きが良いかどうかは正直やってみないと私も分からないです。中途半端な回答ですみません。

複数ユニットの場合、私なら同じ小口径ユニット(F101WやF121W)を2個(パラ接続)または4個(シリパラ接続)でトライするかも知れません。2個の場合はインピーダンスが3オームとなり、少しアンプにはきついですが、多分1個の時よりさらにゆったりと鳴ってくれるでしょうね。一応参考にしてみてください。
Unknown (tanukine)
2008-07-01 08:36:05
複数でドライブした場合、より低域寄りになってバランスが悪く成ったりしませんでしょうか?
Unknown (PARC)
2008-07-01 10:08:52
tanukine様

複数ドライブの場合、おっしゃるように若干低域よりになる傾向はありますね。ただそれ以上に同じ入力に対しての各ユニットの負担が大幅に減るので、とにかくゆったりと(楽に)鳴ってくれるというのが最大のメリットではないかと思います。特に小口径の場合では、ユニットの負担はかなり大きいのでその効果は大きいようです。F101Wなんかを見ていると、f0が低いこともありほんと一生懸命動いているのがちょっと可愛そうなくらいです。
Unknown (倉田 有大)
2008-07-12 20:36:18
すいません、DCU-F131PPのダクトのアドバイスをいただきたいのですがよろしいでしょうか?
図面を見るとφ40mmのダクトを二つだそうですが、市販のダクトでφ40mmがありません。
そこで、二つのダクトを一つでまかないたいとおもっているのですが、φ51mm、φ60mmでは、どちらが適当でしょうか?
塩ビパイプを加工できればよいのですが、経験と知識がないのです^^;
φ35mmを二つ使うのもありなのかな?後はφ49mmがありました。
Unknown (倉田 有大)
2008-07-12 20:55:24
すいません、検索したら、38mmや45mmもありました。
ぴったり40mmはないですが、どれにしようか考えて見ますね。
ダクトって設計でまったく音がかわるから、悩みどころです。
Unknown (PARC)
2008-07-12 23:41:02
PARC Audioは、ダクトについては音質最優先で強度を考慮し塩ビパイプを基本に設計しております。地方の方は分かりませんが、首都圏ではホームセンターで塩ビパイプは簡単にカットしてもらえるので、それが一番実用的と考えていました。
市販の成形ダクトはR加工が付いているのでポートノイズ(風切音)には有利ですが、板厚が薄いため強度的に弱く、PARCとしてはお勧めしておりません。
Unknown (倉田 有大)
2008-07-13 00:33:06
なるほど、塩ビパイプが強度的に有利なんですね。
いまいち加工に自信がありません。
塩ビパイプの外形ぴったりに穴を開けるのが難しそうで。
塩ビパイプ自身はやすいので、今回はじめて試してみようかな。
うまく加工できる人は、出口もリーマーで加工してとても綺麗に作られてますね。
ああいう感じに、作れるようになりたいものです。
PPコーンについて (小川)
2009-07-15 12:01:23
古い話題で恐縮ですが、
「その後ソニー退社前の最後っ屁というわけではありませんが、ドサクサに紛れて真空成形法で極限まで軽量化を行ったPPコーンモデルを」
のことで、厚さはどのくらいだったのか教えていただけませんでしょうか?
Unknown (PARC)
2009-07-15 23:10:03
小川様

>厚さはどのくらいだったのか教えていただけませんでしょうか?

このモデルについてはソニー時代も公表してないので、ちょっと具体的な数値はご容赦ください。ただ1~2クラス小口径のユニットで使っていたレベルのものと同じという感じでしょうか。
まずインジェクション成形では不可能だったレベルの厚さです。
PPコーンの件 (小川)
2009-07-16 13:33:17
PARCさん
うっ、そうですか
ありがとございました。

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