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PARC Audio 内部配線ケーブル

2008年07月25日 23時09分00秒 | オーディオ




こんばんは。

今日は以前少しお話していたPARC Audioの内部配線用ケーブルについてのお知らせです。最初に言っておきますが、この商品は某大手販売店様から
冨宅さん、この商品は絶対に売れない。私の知っている限りでも、過去似たようなものがいろいろ発売されたがぜんぜん売れず、おそらく年間でも10本前後しか売れなかったと思いますよ。数10円とかで売っても多分売れない
とかなり手厳しいダメ出しをいただいており、既に通常のレギュラー商品としての発売はボツと決めました。後は限定販売でやるかどうかを迷っていたのですが、あることがあり限定での発売を決めました。


正直なことを言えば、私自身は極論すればスピーカーケーブルによる音の差などスピーカーユニットに比べれば目クソ鼻クソの世界だと思っていました。(ケーブルメーカーの皆さん、ごめんなさい) 
というのも
、ケーブルで周波数特性が変わるようなことはほとんど無く、スピーカーユニットに比べればその差は誤差と言ってもいいかなと思っていたのです。なにせスピーカーユニットは同じ特性のユニットは無いと言っても過言でないくらい違いが多く、その上振動板の材質が紙やら金属やら最近は木まで使っているのですから同じ音が出るわけがないと・・・。

私がスピーカーケーブルの音の差をいろいろと聴き始めたのはビクター時代にさかのぼりますが、当時のビクターはF倉電線という会社とタイアップして無酸素銅銅線(今では当たり前となりましたが)の開発をやっていました。ビクターという会社は非常に真面目な会社で、本当に細かく音質評価をやっており、最終的にはスピーカー用だけでなくボイスコイル用線材まで開発をしていたのです。驚いたのは、ビクターが音質だけで評価をして選択したケーブルが、線材屋から見てちゃんと理論的な相関が取れていたことで、これは線材屋さんたちも非常に驚いていましたね。つまり音の良さで選ばれた線材は結果的に巻き線材としても非常に巻きやすく素材面でも優秀な素材だったのです。恐るべし人の耳!!

ただその当時も私の正直な印象は、確かに差はあるけど一般の人でこの差が直ぐに分かる人はどの程度いるのかなぁという感じでした。もちろん、スピーカーの部品点数は非常に少なく、それぞれのパーツで細かい改良を行いそれらの相乗効果で大きな改善結果を出していくという姿勢は非常に重要な事ではあるのですが、ユニット屋の私自身はケーブル以外に先にやるべきことの方が多いのかなぁというのが正直な実感だったのです。

では今回どうして内部配線ケーブルの商品化を企画したかと言えば、それは自分自身がいろいろな試作デモ機を製作するにあたり非常に不便だと思ったからです。少し前のコメント欄で書いたのですが、私はユニットへケーブルを半田付けすることはあまり推奨していません。過去のコメントと重複しますが、理由はハンダ付けの際リード線部に使用しているハンダが溶け出してリード線にしみ込み、結果としてリード線の根元が設計での想定以上に硬くなり、耐パワー性が落ちることがあるためです。音質的にファストンよりハンダ付けがメリットがあることは事実ですが、耐パワー性の劣化というリスクがあるので、出来るだけ避けた方が良いと私は考えています。短時間で半田付けをすればOKという方もいらっしゃるかと思いますが、短時間で確実に半田付けをすることは結構難しく、下手をするとイモ半田になってしまうこともあり、その方が音質的にダメージが大きいこともあるのです。

そのため私にとっては内部配線材としてファストン端子は絶対条件なのですが、これが意外に加工済みのものが販売されていない。先の販売店様に言わせれば売れないから販売されてないのですよ、とのことでしたが、実際にファストン端子を加工したことのある方はお分かりかと思いますが、これの端末処理(圧着処理)をするには専用の工具が必要で、またものすごく面倒なんです。少なくとも私はこの作業が大嫌いです。ということで、私がこんなに不便と感じているのだから多分同じように感じている方もきっと多いだろうと・・・・。

でもどうやらそれも私の勘違いだったようで、早とちりをやっちゃったかなぁという感じだったのです。ではどうして限定販売をすることに気が変わったかと言うと、部品販売とは全く別の話として、既にお知らせしているPARC Audio初のスピーカーシステム完成品(DCS-W3)の内部配線材の検討をしていたのですが、そこで私の予想を大きく裏切る結果が出たからです。

先にも書いたように、あまり大きな声では言えませんが私は内部配線材に対して音質面でそんなに大きな期待はしておらず、ユニットの足を引っぱらないようなレベルのものは使っておきたいという感じだったのですが、実際にW3での実装確認をした結果は本当に意外なものでした。テストに使ったのは、一般によく使われているOFC線材と某有名メーカー製OFC材、それと今回驚きの結果を出したモンスターケーブルの3種類。細かいことを言えば、W3を検討する前に他のデモ機を使ってその他のケーブルは数種類確認し、だいたいケーブルでの差はこの程度だなぁとほぼ予想通りで進んでいたのです。

今回のモンスターケーブルはオーディオファンの間では結構メジャーなブランドですが、今回採用することに決まったケーブルは現在取引をしているネットワークメーカーがたまたまある大手オーディオメーカー用として持っていたもので、日本では流通してないモデルのようでした。ただ在庫分限りということで、モンスターケーブルとしては比較的安く入手できるということと、ファストンの端末処理をするのにわざわざ日本からケーブルを中国に送らなくてもよいという不純な理由から候補の中に入れておいたものです。

で、その試聴の結果ですが・・・・。いやぁ~、このケーブル本当にいいです! 私のモンスターケーブルに対して持っていたイメージをいい意味で裏切ってくれました。私のモンスターのイメージというと、音は太めだけど、かなり甘めの音で、スピーカーによっては低域がゆるくなったりするというイメージだったのですが、今回のものは全く別物で、とにかくこれにすると情報量がものすごく増えます。色で言うと256色がフルカラーになったという感じです。念のために言っておきますが、比較に使ったもう一つのケーブルもかなりメジャーなもので、これはこれでかなりいい感じだったのです。

そんでもって情報量が多いクセに音も太いのです。普通情報量が増えると、ちょっと音が神経質になったり細めになったりすることがあるのですが、これはそんなことは全く無い感じです。音場感も非常に広く(スピーカーから外にかなり広がる感じ)、音程もしっかりと下がり、とにかくケーブルそれもたった数十センチでなんでこんなに変わるの? って感じです。営業トークに聞こえるかも知れませんが、長い設計経験の中でも久しぶりに感じた驚きでした。思わず配線を確認したくらいです。恐るべしモンスターケーブル!!(本日2回目)

ひょっとしたらW3の持つ解像度とか情報再現能力との相乗効果かも知れませんが、ここまでの差を聴いてしまうとやはりこれは限定でも発売するしかないかなと・・・・。今まで売れないと言われていた常識をひっくり返すことにちょっぴり挑戦もしたいし・・・・・。

ただ限定にする理由はもう一つあって、今回のものは先のような事情で入手していますので数量そのものに限定があります。まだ中国に少し在庫はあるようなのですが、今あるものが無くなればそれで終了ということになるので、その点はご了承ください。取りあえず今回は100セット(1セットは写真のように赤黒各1本ずつです)で販売させていただきます。長さはいろんなスピーカーで使えるように45cmと少し長めに設定しました。またファストン端子はPARC Audioのユニットにベストフィットする金メッキ仕様の#205(Mサイズ)と#110(Sサイズ)のセットです。外観は写真のようにそんなに高級感はないのですが、音質で定評のあるより線仕様で触った感触は非常に柔らかいものです。

販売価格やその他詳細については近日中にホームページに掲載させていただく予定です。はたして何セット売れるのか想像もつきませんが、少なくともPARC Audioのユニットとの相性は抜群なことだけは確かなので、是非お試しいただければ幸いです。では今日はこの辺で。

コメント (14)
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