Pangea on the Land

創造と共に
リアルな生き方の記録

ヨモギブーム

2016-09-23 21:21:55 | COLORS
会社から帰宅するまでの20分。
僕は道端にある草を見つめヨモギを探す。
いま、僕はヨモギブームの中にいる。
いわゆる「マイブーム」というやつだ。

草や木。
世界は緑で溢れているというのに染物で緑が出る植物は非常に少ない。
どこか「緑」にたいして憧れのようなものが僕にはあるのだ。
ヨモギから薄い緑が出るということは読んだ本から知っていたが、どんなものなのか
試してみたくなったのだ。
濃染処理した丁シャツを煮出した染料に入れアルミの媒染液に浸すと思った以上の緑が出たが、
なんとも幼稚な緑だ。
ものは試しだと、今度は鉄媒染液で試してみると黒味の強いモスグリーン。
緑とは呼べないにしても、好みの色が出た。
僕の「ヨモギブーム」が到来した瞬間である。

そもそも、ヨモギで染めようと考えた理由があった。
「親友」という言葉をあまり好かないので友人と呼ぶが、その友人に子供が産まれたので、出産祝いに
丁シャツを贈ろうと考えたのだ。
そして、どうせ贈るなら、やったことのないヨモギで楽しみながらやりたいというのが僕の性格だ。
まあ、最初はどれがヨモギかもわからなかったのだが…。

その友人とは学生時代から14年ほどの付き合いだ。
僕が編集長を務めたフリーペーパーに協力してもらったり、随分と甘えさせてもらった。
北海道に移住する前に東京であったっきり、2年ほど会っていないが、そいつに子供ができるとあれば、
ボルテージが上がるのは、ごく普通のことだ。
片っ端から共通の友人に、「あいつに何か贈れ!」という恐ろしい電話もした。

ミュージシャン、政治家、宗教家、活動家、テロリスト。
移住する前まで、奇人・変人とばかり付き合ってきた僕には相変わらず友達が少ないままだ。
一歩引いてまで、人と向き合うことをしたくない自分の性格を恨みたくもなる。

北海道に移住してからもうすぐ2年。
時々、学生時代にバカをやり続けた昔の仲間に会いたくなる。
なんなら、「あいつらは元気にしているのか」と、同じ年齢の仲間を心配するほどだ。
移住することで、自分から地元を離れることを選択したけれど、結局、いま僕のやっていることは
あいつらに忘れられたくないと頑張っているだけだ。

お披露目する

2015-10-20 22:36:58 | COLORS
「パーカー脱いだ方が良いよね?」
僕はおなじ言葉を三度も繰り返した。
床屋のイタちゃんの店に髪をきりに僕は、髪をきる際に邪魔になるとは別の理由で
パーカーをとにかく脱ぐ方向へ持っていった。
なぜならパーカーの下に着ている、できたばかりの「Pangea丁シャツ」をイタちゃんに
お披露目したい為である。
イタちゃんに丁シャツはなかなかの好評であった。

そして、お披露目したのものは丁シャツ以外にもうひとつ。
それは人参の葉で染めた軍手である。
実験的に染まる色を確認するには安価で、失敗しても使い道のある軍手が良いと僕は思う。

今年、アパートの畑で人参を育てたのは「食べる」というよりも、葉で「染めたかった」方が
理由としては大きい。
ちなみに僕は人参が嫌いなわけでもないが、好きというわけでもない。
実際に人参を育ててみると、根菜の収穫が実に面白いことを知る。
なぜなら葉もの野菜などと比べ、引っこ抜くまで人参がどのようになっているのか結果が見えない。
葉は大きく成長していても引っこ抜くと三股に分かれて小さかったり、かといって、同じような
環境で育てたにも関わらず、僕の足よりも大きかったりと。
わからないぶんだけ、楽しみは膨らむものなのだな。



そして、スーパーで売られている人参と自分で育てたものを食べ比べてみれても明らかに
味が違うというのも、今回の畑でよくわかった。
僕が育てた人参の方が甘い!
スーパーでお金を介して手に入れることは決して間違いではないが、そのものにたいして
理解を深めようと思うのなら自分で育てるのが早い。
自分で直接触れるのだ。

自分びいきの味覚はともかく、人参の葉はなかなかいい色を出してくれた。
そして、その染めた軍手に、最近仲良くしてもらっているプチ書道家に「ぱ」という文字を
専用のインクと100均の筆を使って入れてもらう事にした。
ちなみに「ぱ」はPangeaからきている。

僕は手の甲に大きく「ぱ」と入れてもらい、気取った感をなくしてアホさを出したかったのだが、
そこは書道家。
まさかの右隅であった。
たったそれだけのことなのに、アホさと同時にどこかセンスを感じさせる。
ナイスである。

その軍手を汚したくない僕は車の運転の時だけするようにしている。
いや、北海道では手袋は「履く」ものなので、「履いている」。
滑り止めのゴムが着いていない軍手はハンドルを持つ手がすべるが、それでも運転の時にだけ、
履き続けようと思うほどに気に入っている。


PANGEA 丁シャツ

2015-10-16 22:00:32 | COLORS
「プロパン置いてないの?」
旭川で一番大きいと思われる文房具屋の店員は「プロパンですか??」と
キョトンとした顔で僕を見ている。
さてはこいつ、店員のくせに店の商品を把握していないな。
「透明なプラスチックの板でさ」という僕の説明に、店員は「それはプラ板ですね」と
言うのだ。
まったく恥ずかしかった。
僕は25年くらい、ずっと「プロパン」だと思い込んでいたのだ。

そんなこんなで、僕は「プラ板」を手に入れた。
そして、以前、友人のデザイナーに頼んだ「PANGEA」のロゴをプラ板に
マジックでなぞり、線を彫刻刀で切り抜いた。



濃染剤で下処理したものをハルシャギク、アカザのような草で染め、そこから輪ゴムで
絞りを入れ、フキで色を重ねたたところで、染めは良しということにして、ロゴを入れる。

切り抜いたプラ板を丁シャツにあわせて、筆でネビーブルーのインクをのせて、
インクを乾かし、アイロンをかけて終了。
普段、無地のシャツしか着ないので色だけでも良かったのだけれど、ロゴを入れた方が見た目が
引き締まる。
インクが少しはみだしてハロウィーン感が出てしまったが、なかなか気に入っている。
草木染め「PANGEA丁シャツ」第一号の完成である。



今朝の気温は0.6度。
もう昼間でも丁シャツになることは無くなったので、なかなか手作り丁シャツの
お披露目の場がないので、いつ来るとも知れないお披露目の「そのとき」を待つことにしよう。

そして、今日は仕事で入らせていただいたお客さんのお庭で栗のイガを頂くことができたので、
次回は冬でもお披露目の機会を待たなくてすむパーカーを染めてみようと。

丸い感じで

2015-08-31 20:30:24 | COLORS
僕は過去にフリーペーパーを発行していたことがある。
毎号3000部を刷り、静岡を中心に東京、神奈川、名古屋、千葉、京都など、知り合いから知らぬ人まで、
人から人へと繋がり配布されていった。
自費なので毎号費用がなかなかのものだったが、当時の僕は(いまも)好きなことをする為に
お金があると思っていたので気にすることもなかったが、中古車一台買えたなどと今更気がつく。

デザイナーは東京でデザイン事務所に努めており優秀な男である。
イラストレーターは、なんで一緒にやってくれるのか疑問に思うほどの大物である。
僕が編集長である事以外はかなりの編集部である。
そんなこともあってか僕は印刷物には、やたらとうるさい。

先日染めた草木染めの「丁シャツ」にプリントを入れたいと思い、デザイナーの友人にロゴの依頼をした。
仕事と子育てで忙しいのはわかっているのに、頼られるとやってしまう友人の性格を知りながら
依頼する僕もタチがワルい。

僕からのデザインに関する注文はふたつ。
「丁シャツに切り抜いた紙かなにかでプリントするから複雑にしないで」。
「あと、丸い感じで」。
と、頼んでから2週間。
頼られることに弱い友人から届いたロゴ。



あとは、プリントアウトして切り抜きしてインクを丁シャツに落とすだけだ。
が、僕はプリンターを持っていないので、しばらく考えてみる。
もうしばらく考える。
さらに眼を閉じて考えると、浮かんでくるのは近所の床屋の兄ちゃんであるイタちゃんの顔。
イタちゃん。
プリントはイタちゃんに頼むことにする。

丁シャツが完成する前に寒くなってしまうことが不安だったが、やはり北海道。
お盆を過ぎると一気に気温は下がり、朝晩と冷えるようになりアパートの畑の野菜も勢いが
衰えてきた。
好きな夕方の時間も日々短くなり、冬が近づく。
すると、丁シャツは着ても上着でほとんど見えなくなる。

冬、薪ストーブであたたかいカフェか、パスタのおいしい店に入り、僕が上着を脱ぎ、丁シャツになると、
誰かは知らぬ人物が「お!その丁シャツ!」というイメージで。

丁シャツ

2015-08-08 22:56:30 | COLORS
車ではしりながら道路の片隅に咲く、アカソ、ハルシャギクという草を眺めながら、
僕はずっと連休を待っていた。
そして、待っていた連休がようやくやってきて、はじめるのは「草木染め」である。

その名も「草木染め大全」という本を助手席に、さっそくアカソを採取しに出掛ける。
しかし、僕がアカソだと思っていたものは「草木染め大全」にある写真とは似ても似つかない草で、
どうやらアカソではないということがわかったが、茎や花が紅色に色づいていることから、何となく赤い色が
出そうな雰囲気はある。


ハルシャギクも写真とはどこか違う雰囲気だが、なんでも試してみれば良いのである。



今回染めるのはTシャツだが「丁シャツ」と言った方が江戸っ子な感じがでるので「丁シャツ」と、ここでは呼ぶ
ことにしよう。
ちなみに僕は生まれも育ちも静岡である。

染める前に濃染液に丁シャツを浸し、下処理しておいたものを乾かす。


ガソリンスタンドで頂いたペール缶で煮出した染色液に丁シャツをつける。


このままでは一般的な汚れでしかないので、色を定着させる為に媒染液につける。
今回は銅媒染液を使用。

渋い茶色をイメージしていたのだが、結果は濁ったピンクといったところか。


数日後、連休でも休日でもないのにイメージに近づける為、また「アカソのような草」で、もう一度重ねて染めてみと
少し茶色に近づいた。
気に入った色が現れるまで何度も重ねて染められるので失敗は考えにくい。
次回は少し灰色を取り入れるべく、フキで染めてみようと思っているが、きっとそれも「フキのような草」
でしかないだろう。
そして、「たったいま」そんなことを繰り返していれば冬がきて、丁シャツを着なくなってしまうだろうと、気付いたところ。
ここは北海道。
旭川。