ぱんどらの日常プロジェクト

ぱんどらのはこの、料理以外の日常プロジェクトの日記です。

太陽発電を一時休止

2016-09-10 13:51:31 | 発電

2011311日に東北地震があり、そのときあたりが大規模停電になりました。仕事でスマーターシティーの部門に移り、その影響もあって翌年2012年の春に太陽パネルで自家発電装置の構築を始めました。原発電力にお金を払いたくないのと、停電時の一時電力を確保したかったからです。190Wのパネル4枚をアレイにして4年間運用しました。

残念ながら、以下ふたつの理由で今回、一旦運用を休止することとしました。

  • マンション理事会から暗黙的な警告があった
  • 大規模修繕工事で片付けなくてはならない

今回、解体してパネルだけは売却しました。ベランダ運用に都合のよい、別のパネルを買って再構築するつもりではいますが、大規模修繕工事が終わるまでの間、しばらく休止します。 

ここで、あまり書籍とかで解説されてない、いくつか学んだことをまとめておきたいと思います。

1.ある程度の規模以上では法的規制が関係する

自作太陽パネルは、ある程度の規模を超えるとだんだん法的な規制が関係してきます。このへんは知らずに初めてしまいました。100W程度のパネルを一枚買って発電した電気でパソコンのバッテリーを充電する程度なら勝手にやってもかまいません。しかし今回私が構築した、ある程度大きな発電アレイだと、いくつか法律に触れてきます。

ちなみに、私は第2種電気工事士免許を取得しましたので、ある程度大丈夫です。

30Vを超える発電電圧

電気工作物と呼ばれ、第2種電気工事士免許が必要です。

・壁を通した引き込み

充電した電力を屋外で充電し、AC100Vへインバーターで変換しています。屋内だと発生する水素が気になりますし、インバーターのファンの音がうるさいからです。これを壁を通して屋内に引き込む工事も第2種電気工事士免許が必要です。

・売電は自作システムではできない

売電をするには、買電している電力会社と契約し、それに適した潮流装置が必要です。買電の契約は、国の認可を受けている業者を通す必要があり、自作発電装置で売電することはできません。 

・大型構造物の設置

より厳密には建築法とかに関係するらしいですが、個人設置のものがどこまで関係するかわかりません。ただし、マンションの場合は、利用規約に触れる可能性があります。

 2.発電効率を上げるのが難しい

構築する前は、発電効率を上げるというのは「光をどう当てるか」が最大の課題だと思っていました。しかし、実際にはまったく違います。 (もちろん、光の当て方は関係します・・・)

これは、他の発電にもおそらく言えることだと思いますが、発電の効率は以下のように決まります。

  • 使うときに発電する。発電したら即使う。あまったらどこかへ消えてしまう。
  • あまったらなにかで貯める。貯めるときにはいろんな理由で放電してしまう。
  • 貯めるためにかかるコストもある。

ここでいう「使う」というのは、テレビや冷蔵庫につないで実際に使うことも、空のバッテリーを充電することも含みます。接続されているバッテリーがフルの状態だと発電はできません。

たとえば、水力発電の場合はダムの水を流すときに発電します。流しても負荷をかけなければ消滅します。流すのをやめれば発電が止まります。ダムに水を貯めることで「エネルギーを貯めている」わけです。余ることもありますが、その場合は巨大なフライホイールを回転させてエネルギーを貯めます。しかし回転摩擦があるのでだんだん回転が落ちてロスします。これは熱になって逃げているわけです。

原発は制御棒というのを使って臨界のタイミングを調節しますが、数日単位でのスイッチングです。

火力発電では燃料で制御しますが、これも1日とかの単位でのスイッチングです。小型の発電機の場合は数十秒くらいで制御できます。

太陽光発電の場合は「発電できるタイミング」をコントロールできません。昼間しか発電できませんし、雲りや雨なら発電しません。晴れてたら使う、という使い方が効率よいわけです。風力発電も同じで、風が吹くタイミングを制御できません。

実際には勤め人の日中のマンションは無人です。無人のとき、何に電気を使うか?という疑問になります。晴れた日の南中時刻が最大発電量になります。我が家の4枚パネルで公称760Wですが、実際には500Wくらいの出力が出ます。だれもいないマンションで500Wの電力を使う用事がないのです。だから売電という制度が生まれたわけですが、自作発電では不可です。

次に「バッテリーに貯めて、あとで使えば?」という考え方が生まれます。実際、最初はそうしました。115Ahのバッテリーを4台つなぎ、48Vでインバーターに入力、夜間使う、という方法をとりました。なにが起きたか?なんとバッテリーは2年でダメになりました。4本で6万円もします。10年運用したら30万円もかかってしまいます。これでは発電量より高くなってしまいます。

そこで、ラズパイを使って自動切替器を作り、発電量が大きいとき(日中の日当たりの良い時間帯で、充電電圧がある程度上がったら、という検出)に、屋内の電力を自動切替する装置を作りました。この場合も、安定化のためにバッテリーは必要です。この電力をテレビと冷蔵庫に送っています。テレビはつけている間じゅう240W、冷蔵庫はコンプレッサーが動くとき180Wくらい、通常100Wくらいです。ですが、家にいてテレビをつけていれば240420Wくらいの電気を使うわけですが、留守なら冷蔵庫だけになるわけです。これでは電気はあまってしまいます。バッテリーはフル発電量のときは2時間もあれば満タンになってしまいます。こうして、日中電気はあまり、パネルは実力を発揮できないままエネルギーは取得できず、どこかへ消えていきます。

3.センシングは難しい

自作発電の場合、効率の制御をどのように行うか工夫をする、という点が一番の楽しみなわけですが、これがまた難しい。なぜなら、適したセンサーがなかなかないからです。

先ほども触れたように、太陽光発電を最も効率的に行うには「もっと発電量の大きいときに負荷をかける(利用する)」ということになります。この「もっとも発電量が大きい」というのをなにをもって検出するか、ということになるわけですが、発電装置からはわかりません。なぜだかわかりますか?

負荷をかけないと発電は起こりません。ここが大きな勘違いポイントです。負荷をかけない、つまり解放電圧はコントローラーによって制御されます。バッテリーがフル充電だとバッテリー解放電圧にセットされ、太陽がたくさん当たっているかどうかを検出するのは難しいのです。

今はつけていませんが、次回再開するときには、判断材料としてパネルの近辺に照度計をつけてみようかと思っています。

4.最も不安なのは風

太陽発電を始めたころは、IBMでスマーターシティーというソリューションに関わっていました。IBMの研究所でも太陽発電のプロジェクトが様々なところで行われていて、自分でもいろいろなアイデアを考えました。それらのアイデアには、日本では大きな制約があることが、実際に運用してわかりました。それが「風」です。

日本は「風の谷」ならぬ「風の国」です。「雨の国」でも「地震の国」でも「火山の国」でもありますが・・・。今年も「スーパー台風」なるものが上陸して猛威を振るっていますが、それ以外にも突風、竜巻といったものがたまに起こります。太陽パネルは、この風にとにかく弱いのです。壊れるだけならまだしも、もし15kg以上もあるパネルがマンション4回から地面に降ってきたら、と思うと非常に危険です。重いから飛ばないだろうと思う方もいるかもしれませんが、受風面積のことを考えると、十分ありえます。これが大きな心配事なわけです。

ということで、次回はより小さく軽い、フレキシブルタイプのものを買い、風が強いとわかる日には「取り込んで片付ける」という運用が可能なようにしようと思います。