杜の里から

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沖館川では今もEM投入が行われているのか?

2015年12月01日 | EM
2012年(平成24年)7月3日、この日朝日新聞青森版に環境教育等で用いられているEMの効果を疑問視する記事が載り、当時は大きな話題となりました(アーカイブはこちら)。
その記事に対して、Digital New Deal(略称DND)事務局長の出口俊一さんが現在、DNDメールマガジンにて反論コラムを連載しています。
しかしそのコラムの中では、新しい情報にアップデートされる事なく、古い情報に基く誤った認識を抱いたままの箇所も見受けられます。

つい最近、2015年11月11日にアップされたコラムの中で、出口さんは自身が青森市で現地取材した「沖館川」の状況について、
 ◇効果を実証した沖館川のヘドロ現地調査
というサブタイトルを付け、写真入りで以下の様に報告しています(以下引用、なお強調・改行処理は引用者によります)。
ぼくは、当時の沖館川のヘドロ調査報告書を入手し、県庁の担当者に数度面談、調査の受託会社の専門技師からも直接確かめた。それで、朝日の記事が事実と違うことが確認できた。
いまその西滝橋の右岸は、ヘドロがすっかり消えて幅5m、長さ十数mにわたって砂地と化している。地元の里村誠悦市議と歩いてぼくも確認した。
調査以降、引き続いて毎年、EMの投入が継続されている。

(コラムはこちら
沖館川の環境浄化に取り組んでいる団体は複数ありますが、その中心的役割を担っているのは、地元小学生の手紙がきっかけで平成14年(2002年)8月1日に地元有志で結成された、「沖館川をきれいにする会」という団体です。
この会の環境浄化活動では、結成当初は確かに、定期的に行う河川清掃作業と共にEM活性液を川に投入するという活動も行っていた様です。
しかし、平成25年からは会としてのEM投入は中止しており、その事は会のHP上にもこの様にはっきりと明記されています。
 浄化活動では、毎年7月の「海の日」に「全国一斉EM団子・EM活性液投入~EMで海・河川の浄化~」(U-net 主催)に平成24年度まで当会も参加してEM菌を川へ投入してまいりましたが、平成25年度以降、会としてはEM菌を活用しての活動は行わないことと致しました。
理由:EM菌の活用については賛否両論があり、会として現状で可否の判断ができないため。

(HPはこちら
今年は平成27年、つまり2年前からもうこの会では、EM投入は行っていないはずなのです。

(※2016(平成28)年1月9日 追記)
2016年よりHPがリニューアルし、「EM菌について」の項目は下記の様に改訂されました。
 沖館川をきれいにする会では、川を望む土手の遊歩道の除草や河川水の浄化活動に取り組んでいます。
浄化活動では、毎年7月の「海の日」に「全国一斉EM団子・EM活性液投入~EMで海・河川の浄化~」(U-net 主催)に平成24年度まで当会も参加してEM菌を川へ投入してまいりましたが、平成25年度以降、会としてはEM菌を活用しての活動は行わないことと致しました。

理由 : EM菌の活用については賛否両論があり、会として現状で可否の判断ができないため。

 会としては、平成25年度以降EM菌を沖館川へ投入する活動はしておりませんが、これ以降も活動しているのではないかとの問い合わせがあり、その都度役員を招集して確認し回答しております。
 また、会員が個人的に投入活動に参加する場合でも、河川管理者の許可を得た活動であることの確認を行なうことを義務付け、会の活動に支障を及ぼさないようにと念押ししております。

(新HPはこちら

出口さんがDNDコラムの中で沖館川を取り上げた事は3回あり、初めに登場したのは、朝日新聞の記事を受けて自ら実地検証した、2012年(平成24年)8月1日付け「朝日のEM批判記事検証:青森からの現地報告」と題したコラムでした(→こちら)。
実は、朝日新聞の記事では具体的な川の名前は挙げていなかったのですが、出口さんがコラムで取り上げてくれたおかげで、そこが「沖館川」である事が明らかになったのです。
そしてこの時期はまだ会でも、海の日「全国一斉EM団子投入」イベントに参加してEM投入を行っていましたから、この時点では確かに出口さんの認識は間違いではありませんでした。
このコラムの中で沖館川のヘドロ調査については、
 ■県庁の水質調査報告を誤報の疑い
というサブタイトルが付けられて、以下の様に詳しく紹介されています。
 もっともヘドロの減少が著しいのが西滝橋付近だった。 報告書によると、調査開始時の15年9月17日では、ヘドロの堆積が左岸で53㎝、中央から右岸で18cmに及んでいた。が、翌年3月には、左岸で 14cm、右岸で15cm減とそれぞれ大幅な減少を確認した。
冬場の減少から一転、夏場にかけて増加傾向を示し、16年9月になると、15年9月17日によりはヘドロが左岸で3㎝、右岸で6cmそれぞれ減少を示した。
沖館橋で平均1cmの減少、青森工業高校裏では3月までは最大左岸で13cmも減少したが、最終的には平均で1-3㎝増加した、とばらつきがみられた。
この報告でもっとも著しい減少をしたとされる「西滝橋」のヘドロ減少量は、1年間で「左岸で-3cm、右岸で-6cm」であり、それに対しての県の見解も以下の様に紹介されています。
 報告書は、潮位や雨量、それに季節的要因による変動が高いことを指摘しながら、いわゆるEMの効果が裏付けられたか、どうかについては、「明瞭な傾向は確認できなかった」と判断を避けていたのである。
そして出口さんは、ご自身の感想をこう続けています。
 一部で顕著な改善はあったことは確かだ。

次に沖館川が取り上げられたのは、2年後の2014年(平成26年)7月18日付けのコラムでした(→こちら)。
ここでは
 ◇・朝日記事を否定した青森県の報告書、EM投入でヘドロが減少した!
というサブタイトルが付けられ、この様に紹介されています。
 報告書の巻末に記載された結果は、平成15年9月から1年間、毎月2トンのEM 活性液を投入したら、明らかな減少傾向が見られたのだ。誤差の範囲での増減はあったが、16年3月末時点では、全地点で著しい減少傾向を認めたのだ。それを示す数値が並んでいた。
2012・8・1コラムでは平成15年9月から翌16年9月までの【1年間】の変化を提示して、「一部で顕著な改善」と書かれていたのが、このコラムでは平成15年9月から翌年3月末までの、暑い時期から寒い時期に移行する【半年間】の事だけを取り上げて「全地点で著しい減少傾向」としています。
2012・8・1コラムでは、
冬場の減少から一転、夏場にかけて増加傾向を示し

報告書は、潮位や雨量、それに季節的要因による変動が高いことを指摘

EMの効果が裏付けられたか、どうかについては、「明瞭な傾向は確認できなかった」と判断を避けていた
とまで書かれているのに、ここではこのヘドロ減少が、まるでEM投入による効果であるかの様に印象付ける書き方となっています。

そして最後は前述した2015年11月11日のコラムで、その中で沖館川の状況はこう述べられている訳です。
ヘドロがすっかり消えて幅5m、長さ十数mにわたって砂地と化している。

調査以降、引き続いて毎年、EMの投入が継続されている。
そもそも前回2014年(平成26年)7月18日のコラムが載った時点では、会ではとっくにEMの投入は止めているはずなのですが、その事を出口さんはご存じなかったのでしょうか。
ちなみに私は、この「沖館川をきれいにする会」の「EMについて」のページは、2012年9月2日にブックマークして把握しておりました。(↓ クリックで拡大)
    

それとも逆に会の方では、出口さんが仰る通り現在もEM投入を続けているのでしょうか。
事の真偽を確かめるため私は、「沖館川をきれいにする会」に直接この事を伺ってみました。
そして会の理事で事務局次長である三戸孝二様から以下の様な返答をいただき、ブログ掲載にも快諾して下さいましたので、ここに改めてその時のメール内容を公開させていただきます。
(2015年11月20日受信)
 2015年11月11日付けの出口氏の記事に関連したご質問
 Q.「沖館川をきれいにする会」では今現在もEM 投入活動を行っているのでしょうか?
 (回答)
平成25年から会としてEM 投入活動を行っているという事実はありません。
平成24年度に私が会に参加するようになり、水質浄化に係わる川の流域住民への啓蒙活動にホームページも活用することを提案し、了承されたため具体的に各ページ作りを進めましたが、会の活動状況について個別に精査した結果、EM菌の活用については国内でも色々な意見があることが判明しました。
明確に浄化に有効であると認められていない状況下で、もし、河川や海を汚染するだけという結果が出た場合に、会として地域にどのような責任が取れるのかと考えた時、この活動を継続することは会として如何なものか・・・と意見具申した結果、会としての活動参加を行わないという結論に至ったものです。
また、コラム内で紹介されていたヘドロの減少についても、翌日さらにこの様な回答をいただきました。
(2015年11月21日受信)
 実情は、土手が整備されてから(当然、平成15年以前です)この地点は西滝川と沖館川の合流直下に位置していること、その形状から土砂が堆積しやすい場所で、大雨で土砂が流されては堆積するといった状況が繰り返されている場所である。
ヘドロが・・・についても、ヘドロといえる程のものではなく、上流側と同様の土砂の堆積状態程度のもので、河川水も普段は少なく流れも遅いので、同様の河川に見られる程度のものです。
それなりに汚れた海水が入り込む汽水域なので、清流に見られるような川底が砂と云った事は、どだい無理な話だと認識しています。

 当然、現在も状況は平成15年以前とさほど変わってはおらず、記事は書いた人の主観によるものと判断しております。
そして更にメールには、この様な文言が付け加えられていました。
 何れにしても、会員の多くは(特に役員)高齢でインターネット環境を持たないため、このような情報が発信されていることを知らないので反論もしていないというのが実情です。
この文面を見た時、2015年11月18日のコラムの中で出口さん自身が仰っていた言葉が、思わず私の脳裏をよぎっていきました。

サブタイトル「◇高齢者を貶めるネットの罠」より
高齢者がネットに疎いというのをいいことに、どうせわからないだろう、とネットの裏で、こんな人を貶めるような謀略に走るのだ。

会では、私からの質問メールが届くまでは出口さんの記事内容についてはまるで把握しておらず、すぐに緊急理事会を招集し、改めてEM投入は行わない事を確認したそうです。
「沖館川をきれいにする会」は現在、これまで続けてきた河川清掃活動に加え、生活雑排水低減の啓蒙活動を行っています(→参考PDF)。
また、流域にあってこれまでEM投入を続けていた沖館小学校でも、平成24年に表明した会の方針を受け、現在はEM投入活動は行っていないそうです。

メールの末尾には、この様な言葉が書き添えられていました。
人間の行いが、自然が織りなす水の循環による浄化作用の範囲を超えると川や海が汚れます。
汚したらその行いを厳しく律して、自然の力で元に戻して貰うのが一番だと考えております。
この意見には、私も深く同意するものです。

見ず知らずの者からの突然のメールに対し、真摯に対応して下さった三戸孝二様並びに理事の皆様方へ、この場をお借りして改めて御礼申し上げます。
ジャンル:
環境
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