杜の里から

日々のつれづれあれやこれ

風評被害を生み出すもの

2011年04月27日 | 原発
福島原発のおかげで福島県全体が風評被害にあっています。
特に、わが宮城県では小学校の修学旅行で毎度お馴染みの会津若松市が大変な様です。
(J-CASTニュースより)
キャンセル相次ぐ観光地からの悲痛な叫び【福島・会津若松】
2011/4/22 17:52
会津からのお願い

3月11日以降、会津から観光客の姿が全くといっていいほど見られなくなってしまいました。

年間350万人の観光客をお迎えする会津若松市は、観光が主要産業といってもいいほどの重要な位置を示しています。しかし全国的に有名な「鶴ヶ城」、白虎隊で名の知れる「飯盛山」さらに、東山温泉・芦ノ牧温泉はキャンセルが続いています。そして、観光施設や土産物屋などからは、閑古鳥が鳴いて悲痛な叫び声が連日のように聞こえてきます。

今さら言うまでもなく、すべて原発による風評被害です。地震と津波だけであれば、次のステップに進むことができますが、この原発の影響は、簡単に乗り越えることができない大きな魔物なのです。

さらに、「こんなときに旅行などしてはいけない」という日本人独特の考え方が根強いことも、状況を悪化させる要因の一つのようです。

毎年、会津若松に修学旅行や遠足に来る小中学校は、約1千校で約8万人にお越しいただいており、各観光施設を巡り、お土産を買ったり、お食事をしたりと、この経済効果は大変大きく会津の観光全体に与える影響は計り知れません。

特に、宮城県からの修学旅行が多く、その大半がキャンセルとなり、大きな痛手になっております。そこに原発の影響ということで福島県内はもとより、千葉県、新潟県などの学校は、行き先変更や中止、延期がなされております。

現在、会津若松市民は、全く通常通りの生活をしており、この風評被害に立ち向かっております。観光施設や観光地は、原発の影響で閉鎖しているところは1箇所もありません。

最近では風評被害で困っている会津を心から応援したいと、栃木県那須町の中学生が、遠足で訪れることになりました。本当に涙が出るほどうれしく感謝の念が絶えません。
会津の観光地は、毎日が淋しい思いをしております。会津を応援していただけるなら、一人でも多くの方にお越しいただくこと、それが私たちにとっては最高の幸せです。お待ちしておりますので、よろしくお願いいたします。
(会津若松観光物産協会)
(サイトはこちら、強調は引用者による)
この記事を見て、当初お得意様の宮城県が被災地となってしまったから仕方がないと思っていましたが、次のニュースを見ますと、どうやらそんな事情ではなさそうです。

(Yahooニュースより)
修学旅行先「会津」回避 宮城の小中校で変更相次ぐ
河北新報 4月23日(土)13時25分配信
 春の修学旅行シーズンを控え、宮城県内の小中学校が日程や行き先の再検討に追われている。学校や家庭に東日本大震災の爪痕が深いためで、甚大な津波被害を受けた沿岸部の一部学校は実施を延期した。福島第1原発事故の長期化が影響し仙台市内を中心に福島県会津地方だった行き先を変更する動きも目立っている。

 各市町村教委によると、修学旅行の行き先は小学校が福島県会津地方、中学校は東京が大半を占める。
 学区が大きな津波被害を受けた石巻市門脇中は、5月に予定していた関東方面への修学旅行を秋に延期した。平塚隆教頭は「旅行費用は積み立てを済ませており、実施する方向だ。家庭によって事情が異なる。保護者の意向を聞く機会を設けたい」と言う。
 石巻市の小学校の修学旅行は例年、5月下旬~6月中がピーク。市教委学校教育課は「被害の大きい学校は、秋以降に延期するか、場合によっては中止もあるかもしれない」と話す。
 気仙沼市面瀬小は6月に福島県会津地方への旅行を計画していたが、9月に延期した。行き先も岩手か秋田に変える。熊谷俊一教頭は「津波で家が流された児童もいるが、思い出深い学校生活を送らせたい。福島を避けるのは、万一を考えてのこと」と説明する。
 仙台市立小学校では、会津地方だった行き先を変更する動きが加速している。市教委の22日までの集計によると、85校が会津地方を行き先にしており、うち83校が変更したか、変更を検討中という。
 鶴谷小(宮城野区)は5月下旬に予定していた会津地方への旅行を盛岡市などに変えた。瀬戸幸子校長は風評と分かっていても、福島と聞くだけで心配する保護者がいる。会津は毎回児童を温かく受け入れてくれた。こんなときにお返しできず申し訳ない」と苦しい胸の内を語る。
 岩手行きを決めた北仙台小(青葉区)の星俊行教頭は「子どもの安全を考え、保護者全員の理解を得るのも難しいと判断した」と指摘。立町小(同)は具体的な計画を立てる時期にJR東北新幹線の再開見通しが立たず、時期を10月に遅らせ、行き先も岩手にした。
 深刻化する会津観光への風評被害について、菅家一郎会津若松市長は「非常に残念。最近、栃木県の中学生を受け入れたばかりで放射線量も安全レベルと証明されている」と危機感を募らせる。
 菅家市長は会津若松市と仙台市はともに、福島第1原発から100キロ前後の距離にあることを指摘。「積極的に情報を提供するので、ぜひ会津を訪れ、応援してほしい」と話している。
(佐藤素子、上村千春)
もう、同じ仙台人として恥ずかしい限りです。いつの世も、こういうほんの少数の「無知から来る不安」というものが、やがては世間を誤った方向へ導いたりするものなのですね。
昨日のNHKニュースではこんな報道がなされてました。
仙台 修学旅行先の変更相次ぐ
毎年、修学旅行で福島県の会津地方を訪れている仙台市立の小学校で、ことしの旅行先を岩手県などに変更する動きが広がっています。東京電力福島第一原子力発電所の事故による影響を懸念した動きと見られますが、教育委員会では、「風評に惑わされるべきではない」としています。
仙台市教育委員会によりますと、仙台市立の125の小学校のうち例年は9割前後の小学校が、5月から6月に福島県の会津若松市など会津地方を修学旅行で訪れています。
しかし、ことしはすでに92校から、修学旅行の行き先を岩手県や山形県に変更するという連絡があったということです。
教育委員会には、児童の保護者から、「原発事故の収束のメドが立たないなか、福島県には行かせたくない」という意見が相次いで寄せられていて原発事故の影響を心配する保護者の意見を反映したものと見られます。
しかし、東京電力福島第一原発から会津地方まではおよそ100キロで仙台市までとほぼ同じ距離です。
仙台市教育委員会では、「仙台は安全で会津は危険だという話は成り立たない。風評に惑わされるべきではない」としています。
一方、仙台市の奥山恵美子市長は、26日の記者会見で、「修学旅行の対象が小学生であることなどを考えると、今年度の行き先として会津若松が適切かどうかはかなり慎重な判断にならざるをえない」と述べ、保護者の意見に一定の理解を示しました。
04月26日 17時31分
もう市長さんも何言ってんですか。栃木県の学校を見習って下さい。教育委員会の言ってる事がごもっともではないですか。
こういう時だからこそ、同じ東北人として積極的に応援すべきではないのですか? それとも、それほど一部の有権者の目が怖いのですか?
ついそんな小言を言ってしまいたくなってきます。

今回の記事を読んで、いつぞやの事件を思い起こしてしまいました。こちらの方のブログで引用されている言葉を改めて紹介します。
安全とは科学的な事実を言い、
安心とは感情的な問題です。
安全であるものを安心できない原因は無知にあります。
科学に弱い政府の対応や、
科学を知らない無知マスコミが無責任報道を繰り返し、
世間に無知を増産します。
この無知に踊らされた少数の者により、結果的に仙台市全体が無知による風評被害をばら撒く当事者になる。
それがこの後、どんなマイナス材料となってしまうのか、そんな事を考えると何ともやりきれない気持ちになってしまいます。

この間の土曜日、以前宣言した通り、福島の「花見山」に行って来ました。
あいにくの小雨混じりの天気と風評被害もあいまって、現地は空いていました。
おかげでゆっくり探索する事ができましたが、その風景は何となく泣いているかの様でした。





せめてもの支援のつもりで地元福島の地酒を買ってきたのですが、今回のニュースを見て、思わずやけ酒になってしまいそうな気がしてなりません。



25 コメント

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Unknown (二児の父)
2011-04-27 14:42:15
大変な苦労をなさっている方々の、お気持ちは、解りますが、福島第一原発事故の収束も目処がたたずにいる中わざわざ子供らを危険な所に行かせる気にはなりません。今後、福島原発で何かあったとしたら?…これは、風評では無く危機管理の問題です。
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どこが危険なんですか? (OSATO)
2011-04-27 20:30:31
いらっしゃいませ二児の父さん、初めまして。

>わざわざ子供らを危険な所に行かせる気にはなりません。

会津若松市は危険なのですか?
市長さんもおっしゃってますが、会津若松市は原発のある双葉町から100km近い距離があります。
ちなみに仙台はもう少し短く、およそ90kmです。
会津若松市が危険なら、仙台はもっと危険なのですが。

>これは、風評では無く危機管理の問題です。

福島県はすべて危険という考えこそ、風評そのものなのですよ。
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どっかのおしゃべり市長さん (pooh)
2011-04-29 06:08:25
なんとなく自治体の長ってのを人気商売だって割り切ってる風情が見えなくもないような。

いやべつに平時ならしあわせなポピュリズム実現に結びつくだけなので問題はないのかもしれませんけど、いまは平時じゃないんですよね。
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口先だけは (OSATO)
2011-04-29 09:47:16
いらっしゃいませpoohさん。
本当にねぇ。
こういう時の自分の発言の重みというものをどう感じているのでしょうか。
彼女はGWに併せてこんなメッセージを発信していますね。↓
http://www.city.sendai.jp/shicho/message_20110428.html
〔引用 ↓〕
> 仙台市は、東北の旗振り役として、震災にへこたれずに立ち直ろうとする各地の頑張りを、これからも応援して行きます。ともに頑張りましょう。
〔引用終わり〕
会津若松市に向かって言ってやりなさい。
僕は今回、仙台市民である事をこれほど恥ずかしく思った事はありませんよ。
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初めまして (モッケ)
2011-05-01 21:27:55
“会津の風評被害”を検索してたら来ちゃいましたm(_ _;)m

新潟県に住まいするもので、中越地震でも中越沖地震+柏崎原発でも「風評」という見えない災害を味わいました。
すぐ隣りで自分も大好きな会津のこの状況は、自分の事のように悲しく思いました。だから、福島県関連のニュースには最近は敏感です。

そんなことで申し訳なくも、奥山市長さんの会見のことは自分のブログ記事にさせてもらいました。
市長という立場・子を持つ女性という立場、両面を持った市長さんなのでしょうが“仙台”という大きな立ち位置から発言するにはコトバを選んで欲しかったなぁ。
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言葉の重み (OSATO)
2011-05-01 22:12:23
いらっしゃいませモッケさん、初めまして。

>“仙台”という大きな立ち位置から発言するにはコトバを選んで欲しかったなぁ。

本当にその通りでして、あんな言い方だとさも会津若松市が危険であると認めているようなものです。
子を持つ親の立場が分かるなら、その不安を払拭するためにも会津の安全性を積極的にアピールすべきでした。
そしてせめて、
「気持ちは分かるが好ましくない。」
と言ってもらいたかったです。
市長と言う自らの立場をよく自覚し、発する言葉の重みというものを考えてもらいたいものです。
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会津若松は安全です! (ぽんた)
2011-05-04 03:41:15
初めまして。東京に住む者ですが福島全体が危険!みたいに言われるのは納得いかないと思います。特に西日本の知人の大騒ぎっぷりにうんざり…世界的基準値を超えてるならともかくとして、会津地方は水道水だってセシウム検出なし、と出てるじゃないですか(ほら見た事か、と言われたくないので色々調べてます)新聞にも毎日数値が出ているんだから、ちゃんと調べて無責任な事をネットで拡散しないでほしいです。

トップの人が、完全にシロなところを「危険かもしれないし」とか言うのはダメですよホント。
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正しい情報を (OSATO)
2011-05-04 12:54:07
いらしゃいませぽんたさん、初めまして。

本当にトップの人は尚更正しい情報を発信してもらいたいですよね。
福島県から放射線分布マップが発表されました。↓
http://www.pref.fukushima.jp/j/monitaring.mesyu0502.pdf
これを見ても会津若松市なんかまるで関係ない事が分かります。
この所マスコミでも風評被害の事を取り上げるようになり、おかげでこのGWは何とか人が戻ったようですが、インタビューで地元の商店街の人は、
「修学旅行の生徒達の元気な声が戻ってほしい」
とも言ってましたね。
これを聞いて果たして仙台の学校関係者はどう思うのか、そこの所をぜひ知りたいですね。
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がっかり (yuki)
2011-05-06 19:28:54
栃木の中学校、「会津遠足」を引率した一人です。突然、すいません。ブログを読み、書かずにはおれませんでした。

前日までに我々が行くことを新聞等で報道していたので、鶴ヶ城では多くの市民が出迎えてくれました。「前日の報道」があるくらい、風評という名の被害は著しく、拍手をする方、手を合わせる方、地に伏せる方等々に出迎えられました。
報道にあるように、「東京」も検討しました。でも、同規模の地震が再度襲ったら、東京では帰ってこれません。放射線レベルだって、レントゲン技師が受ける量と比べれば、全くの問題外。そんなこんなを検討し、「会津遠足」を決定した次第。感情論ではありませんでした。

悲しいのは、我々が行った二日後の報道、仙台の学校が修学旅行等をとりやめたとのこと。とある小学校へ、私はメールしました。会津はブルーシートを被った家は一軒も無かったことなど。そうしたら、返信がありました。校長自らでした。宿泊予定のホテルが今後避難者を受け入れるので、早めに決定して欲しいとのこと。自らの学校自体が避難先であり、この対応で大変な上に、事前調査の派遣も苦しい。だから、会津を見送って盛岡に決めたのだと。

変でしょ?付け焼き刃の「盛岡」なんて、学習効果は全くありません。その後、仙台市長のコメントを知り、納得しました。

仙台市長のコメント並びに仙台市の学校が修学旅行会津行き取りやめの報道を、そのまま生徒に伝えました。うつむく者、涙する者…。


ある生徒がつぶやきました。「僕たちの募金、仙台にも行くんですか?」

色々な考えが交錯する、微妙な部分。私も答えられませんでした。だって、私自身が涙してしまったのですから。



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お恥ずかしい限り (OSATO)
2011-05-06 22:36:32
いらっしゃいませyukiさん、初めまして。
会津遠足については会津若松市から随分感謝されたという記事を見ました。本当に地元では困っているんですね。
実際に自分が被災者となった時、こういう他県からの支援というのが一番有難く思ったし、また勇気を貰うものだと実感したものです。
仙台市民はあの時の思いをもう忘れてしまったのか、そんな事をつい感じてしまいます。本当にお恥ずかしい。

エントリー中のリンク先が皆リンク切れとなっていますが、5月2日になってなぜかまたあちこちで取り上げられていました。その中で一番詳しく紹介されていたのをご紹介します。

毎日jpより、2011年5月2日 20時37分(最終更新 5月2日 20時44分)
〔以下引用 ↓〕
【修学旅行:仙台の小学校8割 会津若松避け行き先変更】

 仙台市の全市立小学校(125校)の8割近い96校が、修学旅行先を当初予定していた福島県会津若松市から他の場所に変更していることが2日、仙台市教育委員会への取材で分かった。福島第1原発事故の影響を心配する保護者が多いためだが、原発からの直線距離は両市ともほぼ約100キロで大差なく、健康に影響を与える量の放射線は測定されていない。「被災した東北同士なのに」と再考を求める保護者もいるという。

 仙台市教委などによると、旧会津藩と旧仙台藩が幕末に協力した縁などから、仙台市の小学校のうち100~110校は毎年6月ごろ、会津若松市を修学旅行で訪れている。しかし原発事故を受け「福島県に子供を行かせるのは心配だ」と変更を求める保護者が相次ぎ、各校の判断で山形県や岩手県などに変更するケースが続いたという。

 ただ、仙台市教委教育指導課の担当者は「『冷静に考えるべきだ』『被災した東北同士なのに』と再考を求める保護者もいる」とも打ち明ける。

 会津若松市観光課によると、09年度に同市内を修学旅行で訪れた小中学校約1090校のうち、宮城県(仙台市を含む)の学校は約350校で、47都道府県のうちトップ。同課は「仙台市や宮城県の学校に来てもらえないのは残念だし、寂しい。安全だと理解される努力を続けたい」とコメントした。

 会津若松市観光物産協会長も務める菅家一郎市長は「風評被害が観光面にも打撃を与えている。科学的なデータに基づき安全性をアピールしていく。キャンセルされた学校には安全性をご理解いただき、可能なら旅行先を当市に変更するようお願いする」と話した。【平元英治、太田穣】
http://mainichi.jp/select/wadai/news/20110503k0000m040077000c.html
〔引用終わり〕

やはり無理解な保護者の声が大きかったみたいですね。多分校長先生も随分苦慮なさった事だろうと思います。
市長さんも、ぜひもう一度再考を促すコメントを出すべきだと私は思っております。
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