杜の里から

日々のつれづれあれやこれ

ピロリ菌がいた!

2011年11月18日 | 日記
東日本大震災を経験した人の中で、体調を崩す人が数多く出ています。私もその一人です。
元々震災前からずっとお腹の調子がいまいちで、震災前に行ったがん検診では「要再検査」の診断をもらっていたのですが、震災とその後のごたごたでずっと延び延びになっていました。
それでも震災直後などはそれなりに緊張した日々を送っていて腹の痛みもあまり気にならず、むしろアルコールの量などは普段より多かったぐらいでした(酒量が増えたのも、震災からのストレスが影響していたのかもしれません)。
しかし、一ヶ月も経つといよいよ無視出来なくなる程の痛みとなり、ようやく医者の門をくぐったのはもうじき5月も終わる頃でした。
久々に飲んだ胃カメラの検査では幸いにもガンは発見されず、下された診断は『逆流性食道炎』(アトムのCMでお馴染みのこれ)というものでした。
処方された薬を飲むと痛みもある程度和らいだため、そのまま一ヶ月ほどずっと薬を飲み続けましたが、やがて薬を飲んでも痛みは中々取れなくなり、その痛みも潰瘍とは違う様に感じてきたので再度検査を依頼した際、そこで念のためピロリ菌の血液検査も行う事となりました。
そして一週間後、出てきた検査結果は見事にビンゴ!となったのです。

  

ピロリ菌とは、今では随分ポピュラーな名前となりましたが、正式には「ヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori)」と言い、その名の通りヘリコプターの様に回転させるしっぽを持っていて、ピロリの名は胃の出口(幽門)を意味する「ピロルス」から来ています。
そしてこれは、日本人の約50%以上が感染しているとも言われ、中でも50代以降では保持者が70%以上、潰瘍を持った患者の90%は感染しているともされ、胃がんの大きな原因とも言われています。
こうなると、ここでどうしても気になってしまうのが、いわゆる「がんリスク」というものです。
福島の東電原発事故以降、放射線の影響による「がんリスク」という話題があちこちで囁かれており、国立がん研究センターでは生活習慣によるがんリスクとの比較なども発表しています。

  

しかし、この資料ではピロリ菌については述べられていないので他で探してみた所、同じ国立がん研究センターサイト内『東日本震災関連情報』ページの「放射線と発がんに関する情報」項目の3番目、「わかりやすい放射線とがんのリスク」(PDF)の中に求める答えがありました。↓



いや~びっくり! 
よく100ミリシーベルトの被曝でガンで死ぬ相対リスクが0.5%増え、もし1万人がこの放射線量を浴びた場合、浴びない時と比べて死者が50人増えてどうのこうのという話がありますが、こんな数%なんてもんじゃありません。
10倍ですよ、10倍!
1.05を105%のリスクと言うなら、ピロリ菌は1000%のガンリスクという訳です。
先の表では喫煙が2000ミリシーベルト被曝と同等でリスクは1.6倍ですから、これが10倍となると一体何ミリシーベルトに換算されるのか、少なくとも2000ミリシーベルトを遥かに超える量を被曝しているという状態を想像してもらえば良い訳です。
しかも重要な事は、

ピロリ菌は感染するのです。

こちらに非常に興味深い記述がありましたのでその一部を紹介します。
(以下引用 ↓)
日本では40歳以上で約70%の感染率で、全国民の約半数が感染しており、ほとんどが5歳以下の幼少時に感染するといわれており、一度感染すると除菌しない限り胃の中に住み続けます。感染経路としては、経口感染(感染している親からの離乳食の口移しなど)や井戸水によるものがほとんどです。
(↑ 引用終わり)
近年、子供への放射線の影響を不安視する親御さんが増えました。それは当然と言えば当然なのですが、しかし実際がんリスクというものを考えた場合、それは別に放射線ばかりではありません。
特にこのピロリ菌などは、保有してると確実に30~40年後には身体に影響を及ぼすものであるのは間違いないのです。
自分自身の事を考えてみると、別の資料中では、【40歳以上の戦後の衛生状態が悪い時代に生まれ育った人も高い感染率を示しています。】ともあり、どうやら私は子供の頃からずっとピロリ菌を保持していたようです(確かに何度も潰瘍を患っていました)。
でも勿論、ピロリ菌に感染したからといって誰もがガンになる訳ではありません。こちらに分かりやすく述べられてますが、ピロリ菌+高血糖、+喫煙、+塩分のとりすぎなどの生活習慣によって、よりガンにかかりやすくなる訳です。
自分はタバコは止めましたし、若い頃と比べ最近は塩分も随分控え目になりました。それでもやはり、少しでもガンリスクを減らすにこした事はありません。

診断後、病院からこのような除菌キットが渡されました。

 

一週間、朝・夕毎に分けられたその薬を飲み続けました。勿論その間酒・タバコは一切禁止です(途中でアルコールが入ると、その時点で効果が失せるそうです)。
そして様子を見る事更に一ヶ月、前回は血液検査でしたが今回は「尿素呼気試験法」によって検査を行った所、見事にピロリ菌が除菌されたのを確認出来ました。

 

この診断結果を見てちょっと安心した訳ですが、やはり不安などを持っている場合、このように数値で示されるというのはそれなりの説得力があるものです。
原発事故後、各地で健康への不安が湧き上がっており、安心を得るための検査態勢のより一層の拡充が求められていますが、そればかりに目を向けているとつい他のリスクを忘れがちになってしまうものです。
子供の将来に対して不安があるならば放射線ばかりに目を向けるのではなく、このような別な要因にもしっかり注意を払って、お父さんお母さん方にはぜひピロリ菌の検査も受けてもらいたいと思った次第です。



(参考)
 ・『川越駅前胃腸・肛門クリニック』HPより「ピロリ菌とは?
 ・『ピロリ菌事典』より「1分でわかるピロリ菌!胃の病気になる確率が上がる細菌
 ・『大塚製薬』HPより「ピロリ菌の検査
 ・『ポストさんてんいちいち日記』より
   「1Sv、100 mSvの被ばくで、がんによる死亡者数は何人?(統計学の勉強)
 ・『国立がん研究センター』より
   「わかりやすい放射線とがんのリスク(pdf)
   「飲酒と大腸がんリスク
   「喫煙とがん


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