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大阪・淀川で天然ウナギ 果たしてその味は… 

2012-11-03 09:26:14 | 旅・鉄道・グルメ…

 

大阪・淀川で天然ウナギ 果たしてその味は… 

 稚魚のシラスウナギの減少で絶滅危惧種への指定も取り沙汰されているウナギ。希少価値の高まったウナギだが、実は大阪市を流れる淀川の河口域で天然ウナギが捕れるという。大都会のど真ん中で本当にウナギが捕れるのか。どれだけの数が捕れるのか。 

    

 大阪市漁業協同組合(此花区)を訪ねると、北村英一郎組合長が「ウナギ漁? やっていますよ」とあっさり教えてくれた。

 

 淀川河口域での漁業の歴史は古く、江戸時代から活発だった。栄養分が豊富なため、ウナギやイカナゴ、シジミなど魚介類の宝庫だった。

 

 戦後の高度経済成長期に工業化の影響で水質が悪化。淀川産の魚介類のブランドが低下し、安値での取引が多くなっていったという。しかし、ウナギ漁は脈々と受け継がれ今は8人の漁師が独自のルートに乗せて販売している。

 

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  実際に漁に同行してみた。協力してくれたのが、淀川での漁師歴50年の松浦万治さん。10月中旬の晴れた午前、小型ボートで出航。此花区の淀川の左岸で漁が始まった。

 漁に出て十分ほど、松浦さんは水中に仕掛けた直径7~8センチほどの筒をおもむろにすくい上げた。長さ1メートル弱の「タンポ」と呼ぶ2本一組の筒を取り上げ、水ごと網に流し込むとウナギがにょろり。ボートを動かしながら、あちこちのタンポを引き上げる作業を続けると、1時間ほどで10匹強、重さ2~3キロほどの水揚げになった。

 

 ウナギは寝床を求めてタンポに入り込むそうだ。天候が荒れた後、水が濁ったときの方がよく捕れ、多いと15キロは捕れるという。夏から晩秋の漁期の終盤にしては、上々の成果だったようだ。

 ウナギは記者の好物。ぜひ味わいたいと思い、割烹(かっぽう)の扇町柿右衛門(大阪市)に向かった。6月から淀川ウナギを食材に扱い、3~4キロ分のウナギをさばく日もある。うな重にして約10人前にあたる。

              
          淀川産は肉厚で歯応えがある(大阪市北区の「扇町柿右衛門」)

 淀川ウナギのうな重(3千円から)を注文した。脂が乗りうま味十分だが、やはり天然物は肉厚で歯応えがある。淀川と聞いて「泥臭いだろう」と思っていたが、そんなことはなかった。淀川ウナギを出す店は関西で約10ある。 

 

◇            ◇ 

 

 淀川ウナギはどのくらい捕れるのか。実は漁獲量ははっきりしない。「漁師が独自ルートで販売していたので、統計をとっていなかった」(市漁協)ためだ。

 

 松浦さんによると「水がきれいになってきた20年ほど前からまた捕れるようになった」。近年は河川敷の整備が進み、ウナギが住める水辺環境が再生されつつある。川底に砂地が増え「淀川に住むウナギは増えているようだ」。

 
 
 

 市漁協は今年から淀川ウナギを隠れた名産品として取り上げ始めた。漁師が独自に販売していたウナギの一部を市漁協の関連会社が買い取り、大阪府内の和食店など業務向けに卸す。ブランド名は「淀川産(よどがわもん)」だ。

 

 市漁協の買値は漁師がこれまで販売してきた価格より高い。「高値で買えば漁師の収入増につながる。(市漁協が高く買っても)天然物でおいしいので高く売れる」と北村組合長は自信を示す。市漁協が今年販売したのは400キロほどとみられるが、漁師が市漁協に回す量が増える見込みの来年はもっと増えそうだ。

 

 農水省によると、2010年の国産ウナギの漁獲量は2万トン強。うち天然ものは245トンで全体の1%ほどしかない。天然ウナギの漁獲量も10年前から3分の1に減っている。淀川ウナギへの注目度が高まれば、大阪の漁業の活性化にもつながるはずだ。

 

(大阪経済部 井上達也)

[日本経済新聞大阪夕刊いまドキ関西2012年10月31日付]

                  

 

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