今年もやってきました。
年に一度の大イベント、入試です。
『イベントなんて不謹慎な・・』と感じる人もいるかもしれませんが、オイラの業界ではまさに大イベント。
この期間のために何年もかけて頑張り続けている子どもたちがいるんだから。
そして毎年毎年本当に信じられないようなドラマが生まれるのも、このイベントならではの話だ。
負けん気の強いSの話をしよう。
Sはとにかく人に負けるのがキライな女の子。
人の2倍は当たり前。3倍やらないと自分に勝てないと言い切る。
負けると地団駄踏んで悔しがる、そんな子だ。
彼女は中学入試解禁の2月1日から3回Y学校を受けて3回落ちた。
もうひとつ別のK学校も受けていたが、補欠だった。
Y学校4回目(ラストチャンス)の今日、彼女は得意なはずの国語で分からない問題があり『マズイ』と焦り、その気持ちを引きずったまま算数を受けてミスを連発した。
発表後オイラに電話をしてきたSは『落ちました』とわんわん泣いた。
『もっともっとできたはずなにのに、たぶん私は理由をつけて逃げていた。あれもこれももっともっとやっておけばよかった・・・』と悔しがった。
『でもその悔しい気持ちがSを大きくするんだから、今の気持ちを絶対に忘れるな。思い切り悔しがれ』とオイラは静かに言った。
こういうときは下手にいい子いい子するんじゃなくて、思い切り泣かせたほうがいいというのは経験から学んだことだ。
Sは思い切り泣いて思い切り悔しがって、そして這い上がる力がある子。
だから存分に泣いてくれ・・・と思っていた。
でも。
思い切り泣いたのはオイラだった。
『ごめんね、先生』
と、いつも元気で負けん気が強くて憎まれ口ばかりたたいているSが声を震わせて言った。
なぜ謝る?
一番辛くて悲しいのはS、お前なのに、なぜオイラに謝ってるんだ?
・・・と一瞬頭が真っ白になったオイラ。
『ここに入ってからずっと・・・昨日だって朝から晩までたくさん勉強教えてくれて、応援してくれて、励ましてくれたのに、落ちちゃってごめん・・・。
合格してオレンジ先生にうれし泣きしてもらいたかったのに。』
もうダメだった。
こんなときにオイラのことを心配するくらい、この子はいつの間にか人として大きくなっていたんだなあ・・・
とか
受験の神様はなぜこの子に微笑んでくれなかったのか・・・
とかいろいろ浮かんできて、涙が止まらなかった。
『S、お前・・・強いなあ・・・』
としか言えない情けないオイラ。
とりあえず受験が終わってもせっかく勉強習慣がついたから、もったいないしこのまま勉強は続けるから明日また自習室に行くよ。と保護者のような大人な発言をするSに別れを告げて電話を切った。
ところが。
10分後。
奇跡は起きた。
再び電話をかけてきたSは、今度は興奮している。
『補欠だった学校から今電話がきて、繰上げ合格だってーーーーーっ!!』
『えーーーっ!!やったーーーーーーーーーーーーーっ!!!!!』
今度こそ一緒に嬉し泣き。
周りの子たちが驚いた顔をして泣いているオイラを見ている。
これよ、これ。
これがあるからこの仕事はやめられない。
浮かれて喜んでいるオイラにSは言った。
『でもさ、さっき先生に言われたように、さっきの悔しい気持ちは絶対に私忘れないよ。次につなげるよ。』
うーむ。
Sよ。
お前は本当にたいした奴だ。
年に一度の大イベント、入試です。
『イベントなんて不謹慎な・・』と感じる人もいるかもしれませんが、オイラの業界ではまさに大イベント。
この期間のために何年もかけて頑張り続けている子どもたちがいるんだから。
そして毎年毎年本当に信じられないようなドラマが生まれるのも、このイベントならではの話だ。
負けん気の強いSの話をしよう。
Sはとにかく人に負けるのがキライな女の子。
人の2倍は当たり前。3倍やらないと自分に勝てないと言い切る。
負けると地団駄踏んで悔しがる、そんな子だ。
彼女は中学入試解禁の2月1日から3回Y学校を受けて3回落ちた。
もうひとつ別のK学校も受けていたが、補欠だった。
Y学校4回目(ラストチャンス)の今日、彼女は得意なはずの国語で分からない問題があり『マズイ』と焦り、その気持ちを引きずったまま算数を受けてミスを連発した。
発表後オイラに電話をしてきたSは『落ちました』とわんわん泣いた。
『もっともっとできたはずなにのに、たぶん私は理由をつけて逃げていた。あれもこれももっともっとやっておけばよかった・・・』と悔しがった。
『でもその悔しい気持ちがSを大きくするんだから、今の気持ちを絶対に忘れるな。思い切り悔しがれ』とオイラは静かに言った。
こういうときは下手にいい子いい子するんじゃなくて、思い切り泣かせたほうがいいというのは経験から学んだことだ。
Sは思い切り泣いて思い切り悔しがって、そして這い上がる力がある子。
だから存分に泣いてくれ・・・と思っていた。
でも。
思い切り泣いたのはオイラだった。
『ごめんね、先生』
と、いつも元気で負けん気が強くて憎まれ口ばかりたたいているSが声を震わせて言った。
なぜ謝る?
一番辛くて悲しいのはS、お前なのに、なぜオイラに謝ってるんだ?
・・・と一瞬頭が真っ白になったオイラ。
『ここに入ってからずっと・・・昨日だって朝から晩までたくさん勉強教えてくれて、応援してくれて、励ましてくれたのに、落ちちゃってごめん・・・。
合格してオレンジ先生にうれし泣きしてもらいたかったのに。』
もうダメだった。
こんなときにオイラのことを心配するくらい、この子はいつの間にか人として大きくなっていたんだなあ・・・
とか
受験の神様はなぜこの子に微笑んでくれなかったのか・・・
とかいろいろ浮かんできて、涙が止まらなかった。
『S、お前・・・強いなあ・・・』
としか言えない情けないオイラ。
とりあえず受験が終わってもせっかく勉強習慣がついたから、もったいないしこのまま勉強は続けるから明日また自習室に行くよ。と保護者のような大人な発言をするSに別れを告げて電話を切った。
ところが。
10分後。
奇跡は起きた。
再び電話をかけてきたSは、今度は興奮している。
『補欠だった学校から今電話がきて、繰上げ合格だってーーーーーっ!!』
『えーーーっ!!やったーーーーーーーーーーーーーっ!!!!!』
今度こそ一緒に嬉し泣き。
周りの子たちが驚いた顔をして泣いているオイラを見ている。
これよ、これ。
これがあるからこの仕事はやめられない。
浮かれて喜んでいるオイラにSは言った。
『でもさ、さっき先生に言われたように、さっきの悔しい気持ちは絶対に私忘れないよ。次につなげるよ。』
うーむ。
Sよ。
お前は本当にたいした奴だ。