「地デジ」やっぱり問題多し ～ テレビ買えない！情報遅い！

２０１１年から地上デジタルテレビ放送に変わり、これまでのテレビでは見られなくなるということは、既に既定のこととして進んでいて、「今のテレビはどうするのよッ！新しいテレビを日本のみんなが買い換えなければいけないの？」と腹立たしく思っていました。
テレビが今は映るから見られるけれど新しい物は買えない、という人は情報も得られなくなるわけで、全員がそう取っ替えしなければならないということが信じられない思いでいました。

「郵政民営化で過疎の村から、郵便局をなくし、いずれは配達も切り捨て、テレビも使えなくして情報からも孤立させ、田舎の高齢者を切り捨てていく政治になっていく」と“知識人”といわれる人が批判していたのを聞いたことがありました。

先日の毎日新聞で
「地デジ対応テレビ：高所得者ほど所有－－民放連調査」を読んで、やはり、の感を強くしました。 （０８年６月２１日新聞情報）
　年収が高い世帯ほど地上デジタルテレビ放送に対応した受信機を所有している比率が高いことが、０８年６月２０日の日本民間放送連盟の調べで明らかになったということです。
年収１０００万円以上の世帯では、すでに６１・０％が対応機を所有しているのに、年収の低下とともに所有比率は徐々に下がり、１９９万円以下の世帯は２４・２％にとどまっているということです。
　調査は３月後半から４月にかけて、全国１万８０００世帯を対象に実施し、８０・２％から回答を得たというものですが、既に、地デジ対応のテレビ所有比率は４３・３％だったということです。もうこんなに対応しているのですね。

　地上波テレビ放送は１１年７月２４日にデジタル放送に完全移行するということなので、我が家では「もうテレビはやめようか」と私が提案していますがどうなりますか。実家の親などは「あと３年こちらが持つかどうか」と開き直っています。総務省は低所得者など経済弱者に対し、デジタル対応の受信機購入を支援する方針だというのですが、いろんな場面に格差がでてきます。

と、そうこう言っていたところ、もっと致命的なことが発覚しました。
「岩手・宮城地震：地デジ２秒遅れ　緊急速報間に合わず？」というニュースです。
（０８年６月２２日新聞情報）
　岩手・宮城内陸地震の発生時、震源に近い宮城県栗原市中心部で、アナログ放送なら強い揺れの直前かほぼ同時に伝わったはずのテレビによる緊急地震速報が、地上デジタル放送（地デジ）だと間にわなかった可能性があることが分かったというのです。
システム上、地デジでは、約２秒遅れるのが原因だということです。
アナログ放送は１１年終了し、地デジへ全面移行するため、速報を出す気象庁は「２秒の差は大きい」と思わぬデメリットに困惑しているというのですが、泣きたいのは国民の方です。
地デジへの移行で無理矢理新しいテレビを買わされた上に、情報遅れで逃げ遅れたりして地震の被害に遭うのではたまりません。

　先日のことでは
　地震の検知は１４日午前８時４３分５１秒で気象庁が各放送局へ速報データを送ったのは４秒後。データ受信とほぼ同時に警報音と字幕を放送する仕組みのＮＨＫの場合、アナログ放送は同５６秒に流れ、地デジは同５８秒と２秒の時間差があったということで、構造的には、地デジは、映像と音声情報を圧縮し電波に乗せるために、受像器（テレビ）内で復元処理に約２秒かかるため、地デジは地域に関係なくアナログより映像と音声が遅れるということです。

　気象庁の速報担当者が、速報の限界を認めた上で「強い揺れが伝わる速さは１秒に４キロ。２秒遅れれば間に合わない範囲が広がる。アナログ廃止は残念」という始末。残念ではすまないでしょ、といいたいです。
これに対し、地デジ移行を進める総務省放送技術課は「時間差はデジタル技術の宿命。速報はラジオや自治体の防災無線でも流している。他のメディアも活用してほしい」と苦しい説明をしているというのですが、普通テレビを見ているときにラジオはつけていないでしょう。命にかかわる問題だということを真剣に考えてほしいです。

　せめて、選局数が限られてもいいからアナログも併用というわけにはいかないのでしょうか。