杉浦 ひとみの瞳

弁護士杉浦ひとみの視点から、出会った人やできごとについて、感じたままに。

・選挙権を持ってもいい人から選挙権を奪っている

2011-11-24 10:54:39 | 憲法問題
成年被後見人に選挙権を認めていないことがおかしい、という裁判を起こしていることは
何度かテーマにしています。

これは、大きく分けて2つ問題があって
ひとつは、選挙権を持つのに能力が必要ですか?
もし、必要だとしたらどんな能力ですか?
という点。

もうひとつは、
現行法は選挙権を行使するには能力を必要としているように見え
後見が付くような人は選挙をする能力がない、として
被後見人から選挙権を奪っていますが(公職選挙法11条1項1号)
今被後見人となっている人たちが本当に選挙する能力がないですか?
という点です。

本質的な問題は前者です。
もし、国民から選挙権を奪うなら
どんな能力があったら選挙権を行使でき、どんな能力がなかったら選挙権を行使できないか
国がこれを証明して、権利を奪わなければならないのです。

しかも、最高裁は、選挙権を制限するには
その選挙権を行使させたら選挙の公正が確保できないような場合
に限るといっています(最高裁判決平成17年9月14日)

これを証明できるでしょうか。



でも、後者についても国会の中ではこんな答弁がありました。

枝野幸男さんが国会の答弁(国務大臣として)
「ただ、実態は、その(事理弁識能力を)欠くというのを厳格に捉えないで、
実際にはそうでない方でも成年後見が付かれた方が・・いいということで、
・・・その方は実際に投票権持っていただいていいじゃないかと思われる方
は事実上(被後見人に)入っているという恐らく実態があると思われます。」
(平成23年4月21日参議院内閣委員会会議録より)

つまり、現在、後見が付いた方(被後見人)にも選挙権を認めないとするのは問題だろう
と述べられているわけです。

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