杉浦 ひとみの瞳

弁護士杉浦ひとみの視点から、出会った人やできごとについて、感じたままに。

・憲法記念日 ~ 憲法改正国民投票法が動き出すことに

2010-05-04 00:50:30 | 憲法問題
5月3日は憲法記念日でした。
でも、テレビなどでは憲法の話題があまりにも報道されていませんでした。

新聞も、またあまり大きく取り上げてはいませんが、今年は国民投票法施行後3年がたち憲法改正案が出せるようになるわけです。
大きな出来事だと思うのですがどうなんでしょうか


読売新聞では
「憲法改正原案、自民提出へ…発議要件緩和」という報道がありました。
 自民党が、今月18日の国民投票法施行後、今国会の会期中に憲法改正原案を提出する方針を固めたということです。
そして、その原案は、まず今後、改正を簡単にできるようにするために、厳格な改正要件を緩めようというものだということです。

 今の憲法96条は、国会が憲法改正を国民に発議する際の要件を「各議院の総議員の3分の2以上の賛成」と定めていますが、これを、自民党は憲法改正を容易にするため、「過半数の賛成」で足りるとすることのようです。

 手続を変えるというのは、地味なことのようで、現在の硬性憲法(改正が厳しい要件の下に置かれている憲法)の良さを失わせる危険と裏腹です。

ところで、もう一つ憲法改正について、危ないなと思うニュースがありました。
それは、毎日新聞の
「改憲に期待」50%」という見出しの記事です。

毎日新聞が4月17、18日実施した全国世論調査では、憲法改正国民投票法施行によって憲法改正の動きが進むことに
「期待する」との回答が50%、
「期待しない」が48%と
拮抗(きっこう)している、というのです。

半分が憲法改正に期待している!?
改正したら、この長く続く不況に終止符が打たれるとか、国民の中に出来た格差がなくなるとか(戦争をしてガラガラポンをしたら、今よりは良くなるかも、という若者の発言に似ているのではないでしょうか?)、この閉塞感の救世主が憲法改正、憲法改正にでも賭けよう、と思っているとしたら、これはとても危険なことで、ナチスドイツを生んだ時と異なりません。

憲法がどれほど大切なのか、憲法を変えることの意味は・・・メディアは、こぞって、わかりやすさを競って報道すべきだと思います。

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4 コメント

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はっきり言って「何を今更」 (鉄甲機)
2010-05-04 23:26:28
>改正したら、この長く続く不況に終止符が打たれるとか、国民の中に出来た格差がなくなるとか

 前の選挙では、政権交代したらこの長く続く不況に終止符が打たれるとか、国民の中に出来た格差がなくなるとかの期待で投票した人が多かったでしょう?
 国民にろくな情報も与えず、きちんと考えさせないからこうなるんですよ。

 ちなみに朝日新聞では「改正の必要がある」47%「ない」39%です。朝日的には改正派が50を切って一安心。また「9条を変えない方がよい」67%、「9条は日本・東アジアの平和に役立つ」計70%で大喜びしてますが。

>憲法がどれほど大切なのか、憲法を変えることの意味は・・・メディアは、こぞって、わかりやすさを競って報道すべきだと思います。

 「憲法には問題があるから改正する必要がある」との意見に対して、護憲派の方々は「憲法は大切だ」「憲法を変えることの意味は…」、つまり「憲法は変えちゃいけない」ではなく、「その問題というのは誤認」「その問題は現憲法をこう適用して解決させる」と応えるべきではないかと。

 また、メディアには「憲法を変えなきゃならない意味」も受け止めて、憲法を掲げる日本の現状・その日本を取り巻く世界の現状をもしっかりと情報提供していただきたいですな。
 まあ、「99条によって尊重擁護義務を負う国務大臣・国会議員は改正発議の権利を持たない」(謂わば憲法は不磨の大典)とか当の国会議員が主張しても、何も不思議に思わないメディアには荷が重いと思いますが。
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この程度の国民に (多摩)
2010-05-05 00:16:58
昔、はたあきら(漢字を覚えていません)と言う自民党の議員さんが「この程度の国民にこの程度の政治」と言われました。
私は本当に名言だと思います。
人権や労働者の最低限の権利を保証している国では、やたらと首を切れないので国内の従業員を生産調整に使える様にした昨今の規制緩和にしても多くの国民が賛成しています。上手にやられたと言えばその通りでしょうが、GDPの半分が大企業の留保に貯まっているとしても、まだ企業が潰れる事や国家財政の破綻を心配する国民なのです。みんなの党あたりに一番期待するその思考からすれば、骨に残った最後の水分まで搾り取られる事を心の底から望んでいるのでしょう。
あれだけの戦争をやらかしてもまだ反省材料が足りないとなれば、、、、。
冷戦の終わりに、政治を国民の手に取り戻そうと、非暴力で勝ち取った民衆が世界に沢山います。それも励ましにはならない。こんな国民性を作り上げた自民党の政治はある意味偉大です。
ただし、望みを捨てる訳ではありません。ベルリンやバルト三国、多くの東欧諸国の様な市民パワーが沖縄で起きるかも知れません。本質をどう捉えるか。
防衛問題なのか、国民の主権なのか。あるいは、21世紀最大の脅威にはっきりと意思を表す事なのか。
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なんだか (多摩)
2010-05-05 00:49:16
無理に沖縄問題に持ってっちゃったみたいですが、とことんいきます。
最近増々ハギレがよくなったこの女傑のコメントを。
http://blog.livedoor.jp/ikedakayoko/
先日のワセック・ジャシムさんの講演でお見かけしました。本当に心を動かす人ですね。近くにいるとエネルギーがぶつかってくる様でした。

脱官僚なんてインチキスローガンに騙される人が少しでも減れば、この国の未来も開けてくるのですが。
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全く同感です。 (林 俊成)
2010-05-05 02:19:37
日弁連・宇都宮会長は国民投票法の凍結解除を延期すべきだと声明を出しました。これに、心ある人々は大きな賛意を示すべきです。
また、解り易い言葉で立憲主義の素晴らしさを、そして、そのためには硬性憲法であるべきなのだと広めないといけないと思っています。指導者が変わると自分勝手に憲法を変えることに悩む、アフリカ等の若手官僚が私達の憲法を勉強してゆくそうです。法学館の伊藤真塾頭が言っていました。
それにしても、憲法を自分の問題として捉えてもらうにはどうしたら効果的なのでしょうか。
杉浦様の解り易く、素晴らしい問いかけを楽しみにして居ります。
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