杉浦 ひとみの瞳

弁護士杉浦ひとみの視点から、出会った人やできごとについて、感じたままに。

・新藤総務相の「控訴取り下げない」~もっとバランス感覚を

2013-05-22 10:04:54 | 憲法問題
昨日成年被後見人の選挙権を回復する公職選挙法の改正案が衆議院を通過しました。
このタイミングで、総務省の新藤大臣が
「でも、やっぱり控訴は取り下げないんだ!」とあえて発言。
「ちゃんと上の裁判所でも判断してもらいたいんだもん!」
「自分からおりるのはいやだ。このままでいいんだもん!」

裁判の三審制も保障されているから、そういうのは、理屈ではいえなくはないです。
でも、3月14日の判決後、誰もこの違憲判決を批判することなく、歓迎したわけです。
... それが日本の人権感覚です。

例えば、棋士の「投了」というのがありますよね。
完膚無きまでに詰められないでも、お互いに、何手か先を読んで
「投了です」あるいは「負けました」と頭を下げる、あれです。
あれをいう悔しさというのはあるでしょうが、あの潔さです。
今回、総務省とか法務省は「投了」を告げるべきです。

ところで、これは、単に気持ちの問題ではありません。
実は、今、日本は障害者の世界基準である障害者権利条約に署名をしており、
批准という手続きを済ませていないので、途中の状態にあるのです。

でも、批准するためには、障害者の人権侵害だらけではダメで、国内での制度の充実が必要なのです。
今回の被後見人の選挙権の問題もその一つで、これを改正する必要がありました。
そして、今回、判決から70日という異例の早さで、この宿題をこなしたのです。
これは世界に誇れるものがあります。

しかしながら、一方で、「だって、まだ争うんだもん!」大臣です。

今の日本は、国内でも意地の張り合いとか面子とかいっているような状況ではなく
世界に対して、障害者問題にどう取り組んでいるかを示すときなのです。
国会の異例の頑張りを、なぜ、こんなつまらない発言でけちをつけるのか。

もっと大きな視野で捉えるべきです。バランス感覚を持つべきです。
「投了」することが国の評価を上げるチャンスだということを気づいてほしいです。

それで、昨日の申入書の送付になりました。(内容は、この記事と同趣旨です)
外務省に参考送付したのはそういうわけです。

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