杉浦 ひとみの瞳

弁護士杉浦ひとみの視点から、出会った人やできごとについて、感じたままに。

・セカンドチャンス!交流会 ~ 広島第1回

2011-11-15 01:54:17 | セカンドチャンス!
「セカンドチャンス!」は少年院から退院した者たち(当事者といいます)が中心となって、少年院退院者の社会での生活を支援しようとするNPOの活動です。
結成して約3年になります。

その活動の中心的なことに、交流会があります。
これは、当事者が主催の中心となって、地域で少年院出院者とミーティングを開くものです。
そのなかでは、最初に
お金の貸し借りはしない、アルコール禁止、人の意見は批判などせずに「聞く」、そしてそのなかで出て来た個人を特定できるような情報は外に出さない、という簡単なルールを守ることを確認します。

その後は、フリートークです。

この週末、広島での第1回交流会が開かれました。
参加者は、5人の当事者と少年院での職員経験のある方、非行の親の会の方、そして私も参加しました。
当事者は、そのうち4人が当時からの知り合いで、「おまえがこんなにまじめに仕事のことを話すようになるなんて・・・」
と当事者同士が、それぞれの変わりように驚いているのをみて、お互いに不思議な感慨を持っているのだろうなと思ってみていました。

方向はともかく(!)、当時もそれなりにまっすぐに生きていたという思いはあるようでしたが
全員が口をそろえてはなしていたのは母親のことでした。
「お母さんを悲しませたことは辛かった」と。
母親と父親は彼らの気持の中でだいぶ違うもののように感じられていたことは驚きでした。
何でだろう・・・、とみんなで話したりもしました。

参加した当事者5人が全員男性で、ほとんどが家庭を持ち子どもを持って、
子どもの事をうれしそうに語るおとうさんになっていました。


ひとりの当事者の青年が、広島駅まで車で送ってくれたのですが、彼はこんなことを話してくれました。
「子どもを持ってみると親も気持ちが分かるようになりました。
この子が警察につかまったらと思うと、やっぱりたまらないです。
でも、自分たちは被害を与えた人たちがいることを忘れたらいけないと思っています。
被害者には本当に申し訳なかったと思います。
自分たちは、2度と失敗したらいけない。被害者はもう出しちゃいけないから。」

そして、彼はいつか保護司になりたいといっていました。

今年の犯罪白書で再犯率の増加が明らかになり、新聞にも掲載されていました。
繰り返さないために、必要な時期に必要な政策をとることは重要です。
有効なところへお金を使うことは社会が貯金するようなものです。
その人の持つ力を引き出して、自分の力で立ち直ること、そのためにセカンドチャンス!
の活動が役立てばいいなと思います。

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