ネットで選ぶ私好みの一着、店頭にないユニークデザイン、カタログより豊富

2007年02月14日 | 通販/モール
価格は高め
 インターネット販売に限定した衣料品が売れ行きを伸ばしている。ユニークなデザインや数量が限られた希少性などが受けており、自分の好みに合った素材や色を選べるのも魅力。幅広い品ぞろえで、店頭での買い物では飽き足らない消費者やこだわり派らを引き付けている。
 ネット販売で扱われる特徴のある商品は「ロングテール」と呼ばれ、単体では爆発的ヒットにはならないが、特定の消費層に対する吸引力は強い。
 ユニクロが昨年中にネット限定販売したのは前年比五割増の約百品目。交通事故を予防するため反射鏡がついた子供用ダウンジャケット(三千九百九十円)、ひざ下丈まであるトランクス(千円)などが人気。サイズは店頭では通常SからXLまで四種類だが、ネットでは男性向けのXXL、女性向けのXSを一つずつ余計にそろえた。
 昨秋、発売したのが衣料ブランド「ザ・モード・エディション」。価格帯はカシミヤのセーターで八千九百九十円、スカートが四千九百九十円で通常の商品の一・五―三倍程度。装飾品や柄素材など凝ったデザインの商品が多く、ネット中心に販売している。
 ユニクロのネット売上高の前期比伸び率は二〇〇五年八月期が一四・〇%、〇六年八月期が二五・四%と店頭販売を大幅に上回っている。
 千趣会では昨年二月、ネット限定商品を集めた通販サイト「エディテ」を始めた。袖口に膨らみを持たせたり、スカートを風船のように丸くするなど流行を取り入れた。一月の売上高は昨年二月のサイト開設時に比べて二・八倍に増えた。
 カタログは商品販売の半年以上前に印刷しなければならず、売れ筋予測が難しい。このため、天候や流行に左右されない無地のTシャツなど定番に品ぞろえが偏りがちだった。価格はブラウスで一万―一万五千円、カットソーで六千―一万二千円。客単価は一万七千円前後でカタログより八割近く高い。
 良品計画は素材や製法にこだわったブランド「MUJI LABO」をネット中心に販売している。価格は従来の商品より二―四倍高い。今月下旬からは無農薬のコットンで織った男性向けシャツやイタリア製の麻を使ったカットソーなどを売り出す。価格はそれぞれ九千八百円、八千九百―一万二千円。
 バッグ・宝飾品製造販売のサマンサタバサジャパンリミテッドも携帯通販サイト限定のブランド「エスティニーbyサマンサタバサ」を販売している。五千―一万円の雑貨類の人気が高い。「三百点そろえた約五千円の商品が三日で売り切れることもある」という。
 ▼ロングテール現象 ネット販売で「死に筋」の集積が予想外の収益を生むことをロングテール現象という。縦軸を販売量とし、横軸の左から販売量順に商品を並べると、右下がりの曲線が「長い尾」をつくることから名が付いた。
 マーケティング理論では「売れ筋」の上位二割が売上高の八割を占め、残り八割は収益を生まない「死に筋」とみなされていた。だが在庫コストが低いネット通販は「死に筋」を多く扱えるので、幅広い顧客層をつかめ、収益力が高まる。