国際学どうでしょう

私が気にしている情報のメモ

橘玲『臆病者のための株入門』文春新書

2006-06-25 01:05:04 | 
帯にでっかく「カモられずにお金を増やす方法」と書いている。また同じく帯には次のようなことも書かれている。「……「経済的にもっとも正しい投資法」が完成した。それはサンダルをつっかけて近所の証券会社にでかけ、「すみません、●●●●●●●●●●10万円分ください」と注文することなのである」。●は伏せ字であるが、150ページ代を読めばわかると帯に記されている。立ち読みすればすぐわかることなので、伏せ字を起こすと「インデックスファンド」である。

私は、株は別世界のことと考えているので、そんなもんかなと思っただけ。しかし一番蒙を啓かれたのは、この本ではどちらかといえば些末な部分。銀行の「いかがわしいキャンペーン」と題して5つが列挙されているが、その4番目だ。

「D銀行:年利1%5年もの定期預金をキャンペーン中。ただし銀行側の判断で満期が10年に延長される特約がついている」

いい条件ではないか。何が問題なのか?

「この商品の実態は「10年満期、中途解約付加」の定期預金なのだ。そのうえさらに銀行側は、5年目に一方的に早期償還する権利を持っている。だがこのことを正直に告げるとだれもお金を預けてはくれないので、話の順序を逆にして、あたかも魅力的な金融商品であるかのように装っているのである。」

「5年後に現在のような低金利が続いていれば年利1%の預金は銀行にとっては損だから、D銀行は早期償還の権利を行使して契約を強制解約する。逆に金利が上昇して、年利3%や5%になっていれば、1%しか利息のつかない定期預金は銀行にとっては得だから、預金はそのまま継続されるだろう。」

「この預金のポイントは、どう転んでも銀行に有利、顧客に不利なように仕組まれていることだ。その代償として、顧客は年利1%というボーナス金利を与えられているのである。…」

なぜ「蒙を啓かれた」などと述べるのかと言えば、これは、私が口座を持っている新生銀行がキャンペーンをしていたものと同様であり、私も心が動いたからだ。しかし後半の条件が小さい文字で書かれていたのを読んで、一気に萎えたことを覚えていたからだ。リスクなしにうまい話は転がっているわけはないのである。(新生銀行は、日曜休日にコンビニで預金をおろしても手数料が必要ないので愛用している)

ちなみに橘玲氏は、現在は「合理的な投資方法」は行っていないそうである。
「ひとには、正しくないことをする自由もあるからだ。」

臆病者のための株入門

文藝春秋

このアイテムの詳細を見る

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 中国の核戦力について | トップ | 割りばしは間伐材の有効利用... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

」カテゴリの最新記事