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“ 嵐が吹き消した 恵みのろうそくを 再び取り上げ、それに新しい明かりを灯さなければならぬ。” 教皇ヨハネ二十三世

file.no-122 『 RULE of ROSE ―ルール・オブ・ローズ― 』 parte03

2011-10-10 09:20:05 | et cetera
 
“ 第一幕 ” “ 第二幕 ” を、お読みいただいて 問題なかった方のみ、この先へ どうぞ。
2006年発売の、サイコホラー・ゲームの異色作 『 RULE of ROSE ―ルール・オブ・ローズ― 』 のレヴューです。

        



【 ここからは、ネタバレやら、性的かもしれない 18禁っぽいネタも含みます… 】


作中世界は、主人公・ジェニファーと 彼女を導いた『少年』 の 「過去の記憶」 と 「精神世界」 とが、溶け合ったようなもの。
クリーチャー出現や、不思議なステージ、人物が現れたりするのは、ゲーム 『サイレントヒル』 のオマージュ。

また、ジェニファーをサポート (?) する、犬・ブラウン。
GO、STAY、FIND などのアクションが出来たのは、いまから思えば、おそろしいほどの 『DEMENTO』 へのオマージュ。 愛狂しいほどの、恋慕を感じますよ……。

ただ、本作『 RoR 』 は、パク(ry…… ただのオマージュではない。
「 子供特有の残酷さと、純粋さを 作中シナリオで 描き切っている」 とは、感じます。

子供というのは、「楽しいことだけ、したい」、「嫌なことは、したくない」。
「わたしが、あなたを好きなんだから、あなたもわたしだけを好きでいてくれなきゃいやだ!」
… ですとか、自分の嫌いなものは、とことんイジメ・嫌いぬくといった、傾向が見られます。
まさしく、理性なき、動物。 けだもの。 汚らわしい生き物。 けだもの同士が、おたがいに嫌いあい、ののしりあう。
( 作中冒頭から、不思議なくらいに、キャラたちが 『汚らわしい』 と口にする )

その反面、好きになれば、どこまでも 好きを つらぬく。
歪んだ愛に、変質するほどに、どこまでも……。

メグは、ダイアナに恋をして、ラブレターを書く。
ダイアナは、エレノアに メグからラブレターを貰ったことを言って、メグを笑いものにする。
メグとダイアナは、エレノアの小鳥を隠し、窒息死させる。
ダイアナは、ホフマン先生( 初老のエロオヤジ ) から、体中を触られるセクハラを受ける。 それを、窓の外から覗き見るエレノアとメグ。

ホフマン先生は、孤児院の年長の クララと、性的関係にあったようで、クララは妊娠する。

    ***

作中、すべてのはじまり的な存在の 『少女』は、彼女だけを愛してくれない ジェニファー( 過去時 ) へ、歪んだ愛を抱く。

ジェニファーを、『救い出した』 という経緯を持つ 『 少女 』 は、ジェニファーへの罰として、彼女の愛犬を殺させる。
それでも、ジェニファーは、彼女のモノにならない。
それどころか、『 少女 』 は、孤児院の中で保っていた、プリンセスの地位をも 失い、ひとりぼっちになる。
孤独と、憎しみに 駆り立てられた彼女は、自分の 『ノライヌ』 を使って、孤児院の子供たち全員を殺してしまう。

ジェニファーが、孤児院に来た時、院が荒れ果てていたのは、『少女』 が、子供たち全員を殺させていたから……。
昨日まで、一緒にいた院の子供たちを殺させた、理由は、はっきりと語られていない。

おとぎ話の 『 ノライヌ 』 を、ほんとうに してしまった理由は、分からない。

けれども、クライマックスまでプレイすれば、分かる気がします。
わかる、わかりますよ―― ただ、実行してしまった以上、 罰は受けてもらわなければ。

『ノライヌ』 を連れて来たけれど、ジェニファーは、自分を愛してくれなかった。
自分を裏切った、孤児院のみんなを殺したけれど、ジェニファーの愛は 戻らなかった。

―― ナニかを悟った 少女もまた、『ノライヌ』 に、彼女自身を殺させた
( …と解釈。 「罰」 は、受けた… )

    ***

ゲーム、終盤 ( 第10章:ノライヌとうそつき姫 )。
すでに、ジェニファー ( =プレイヤー )は、自分が “ 過去の記憶のなか ” にいることが分かっている。
『少女』 は、ジェニファーに “ 『ノライヌ』 の凶行を止めて ” くれるように頼んで 死ぬ ( …と解釈 )。


“ 『ノライヌ』 を止める ” ことが、トゥルーエンディングにつながります。
( これを殺すと、バッドEDとなる。
  その場合、スタッフロールが、ボーカル無しの曲にて流れる。 トゥルーの場合、ボーカルありver. )

ただし、本作では、トゥルーEDであっても、バッド そのもの という 後味の悪さ。

    ***

ストーリーは、そもそも、“ 1930年3月 リトルプリンセス ” のタイトルから始まります。
続けて、“ 1930年4月 不幸なクローバー畑 ”、“ 1930年5月 紳士のピーター ” … と、章が進んでいきます。
“1930年12月 ノライヌとうそつき姫” の章にて、ラストバトルがあります。

これで、「めでたしめでたし…」 かと思いきや、最終章は、“1930年1月 むかし むかし…”。
1月に、ループして戻っている。

“ ノライヌとうそつき姫 ” で、死んだはずのキーパーソンも、生きている。

――。
―― この、ゾッとする おそろしさ。 逃げられない。 閉じられた、時間の環の中。

ジェニファーが思い出した過去の記憶、約束は、彼女に、ナニをさせたか。


 “   私の愛しい宝物……
    もう二度と失いたくない
    もう決して失いたくない

   everlasting.    永遠に変わらぬ
       true love    愛に誓って  
    I am yours,   あなたに従います

     私がずっと守ってあげる
   ずっとずっと 死ぬまでずっと…  ”


―― とのセリフとともに、子犬のブラウンに 首輪を付ける。
ブラウンが、それを 真実 嫌がったのは、首輪を付ける瞬間、『 キャイン!! 』 と悲痛な叫びをあげたことで示される。

かつて、ともだちとして愛し、“薔薇の掟” によって、失ってしまった 愛犬ブラウン。
作中で、ともに困苦を乗り越えた、友 ブラウンに、首輪を付け、納屋に閉じ込める。
「 …ガチャン!!」 という、鍵の音とともに。

「 私がずっと守ってあげる。 ずっとずっと 死ぬまでずっと… 」 のセリフで、締めくくられれるストーリィ。

陰惨な、後味の悪いゲームです。
ただ、作中で描かれた 孤児院の過去、子供の生態、紡がれた物語は……。
“ あまりにも 残酷で、美しい物語 ” でした。


ギャグとしてなら、“ 私の愛しい宝物 ” ……マイ・プレシャアァァァァス!!!!
ということで、指輪物語の ゴクリのような、哀れでおもしろい例もありますけれど、薄汚さは、RoR のほうが 上を行きます。

では、最期に、今頃 『 RoR 』 をレヴュった 理由
 

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