A.N.A.L. Co., Ltd. Executive Office of the President

“ 嵐が吹き消した 恵みのろうそくを 再び取り上げ、それに新しい明かりを灯さなければならぬ。” 教皇ヨハネ二十三世

file.no-122 『 RULE of ROSE ―ルール・オブ・ローズ― 』 parte02

2011-10-10 09:04:55 | et cetera
 
“ 第一幕 ” を、お読みいただいて 問題なかった方のみ、この先へ どうぞ。
これは、2006年当時、欧州発売 禁止措置を 喰らった 異色作 『 RULE of ROSE ―ルール・オブ・ローズ― 』 のレヴューです。

    ***

本作は、ゲーム『サイレントヒル』( 以下、サイヒル ) シリーズの影響のためであろう、登場する敵役は、異形のクリーチャ―たち。
ただし、『サイヒル』 のソレは、看護婦や 主人公の仕置き人が具現化したモノ―― 多くは、闇堕ちの大人たちや動物でした。
本作では、おそろしいことに、子供たちが異形化したもの が、クリーチャーとなっております。

…… というか、そう、解釈するしかない。
というのも、本作 『 RoR 』 は、攻略本も設定集も、サントラすら、発売されなかったという ( そういった意味でも ) 問題作。 CMも、ほぼ無かった。
「売る気あんのか!!」

そのため、作中のクリーチャーや謎解きなどが、いったいナニを意味するのか、すべてはプレイヤーの解釈次第 という 素晴らしさ。
デッキブラシを持ち、薄汚れたパジャマ を着た 妖精たち ( クリーチャー )。
主人公・ジェニファーに、「フヲワァァァァ…!! キィヤァァァァ…!!」 と 奇声をあげながら襲ってくる。
ナイフはもとより、鉄パイプや 肉切り包丁で メッタ刺し にして倒せる様子は、まるで孤児院の悪ガキどもを処刑しているような爽快感 があります。

ステージも、最初は “ 孤児院 ”。
次に、“ 飛行船 ” ( 時代設定が1930年ですので、ヒンデンブルグ号のような、大型飛行船が建造された時代です )。
飛行船から、“ 森の中 ”、“ 一軒家 ” のステージへ、そしてまた “ 孤児院 ”と、変化していき、『サイヒル』 の表と裏の世界を行き来するようなスムーズさ。 ボエェェェ という 音は、しませんが…。

ビジュアルは、あくまで、飛行船や孤児院を描写しており、クラシカルな美しさ。
キャラたちも、クリーチャーはともかく、( 見かけは ) まともな 子供たちは、綺麗です。

作中舞台で、中核を担う 歪なソロリティの一種 『赤いクレヨンの貴族』 の三人のレディたち。( ――というか、小娘たち
ダイアナ ( 階級:こうしゃくふじん )、エレノア ( 階級:はくしゃくふじん)、メグ ( 階級:だんしゃくふじん)。
この三人のビジュアルも、たいへん綺麗で、2006年発売 PS2ソフトとしては 異色の出来。

また、貴族のしたっぱ、気の弱い 肥満少女 アマンダ ( 階級:ひんみん) のビジュアルも、たいへん醜く、2006年発売 PS2ソフト (ry

文学作品や 実在する、ある種の 子供特有の、邪悪さ・狡猾さ・脆さを 見事に描写。
下記の画像は、ムービー時の “ メグ ” ( 階級:だんしゃくふじん) ですが、これをみた時、
「 この子が、ラスボスね!! 」 と思ったぐらいに、ニヤリとした笑みに、邪悪さを感じたものです。

     

    ***

ジェニファーは、ローズガーデン孤児院 到着後、メグたち三人のレディたちから、 いろいろな 『みつぎもの』 を要求されます。
それら、みつぎものを探すことこそが、ジェニファー自身の過去を 「思い出す」 ことにつながります。
彼女は、過去、孤児院で三人のレディたちと 過ごしたことがある……。
―― ただし、思い出すことは、忘れていなければならない、思い出してはいけない、おぞましい事件をも 揺り起すことに。

彼女を、そこへ導いた少年は、彼女に 「 過去を思い出させる 」 ことが目的。
彼女が、事件とともに忘れてしまった 『 薔薇の約束 』 を思い出させたい――。

ただ、ガキンチョたちが、彼女を 「 ばか 」、「 まぬけ 」 だの、子供ならではのボキャブラリーで罵ってくれるのには、ゾッとします。
ストーリーは、彼女の過去の記憶を取り戻すことを中心に展開しますけれど、『過去の記憶』 イコール 『過去の、追体験』 と同じこと。
ジェニファーが、過去、『赤いクレヨンの貴族』たちから受けていた 陰湿ないじめや、院のホフマン先生たちの様子を、追体験することと、同じこと――。

〇 中庭で、ピッチャーに汲まれた水を 何杯も浴びせかけられる。
棺桶に、閉じ込められる。
〇 棒の先にくくり付けられたネズミを、顔に押し付けられる―― 何度も、何度も。
〇 大きな麻袋の中に入れられて、その袋の口から、カマキリ、クモや、アリがびっしりたかったお菓子などを 入れられる。
〇 ロープで縛りあげられ、赤いクレヨンを何本も、口の中いっぱいに詰め込まれる。

〇 少女ジェニファーが 目撃してしまった、ホフマン先生と 院の年長組クララの ベッドシーン―― おぞましい光景。
  ( ただし、露骨なシーンはない。
   露骨だったのは、上記 水かけイジメ。 最初、もしやの 聖水イジメ かと思ったくらいでした。
   そこまで行ったら、CERO15 などでは、とても売れないだろうと… ネズミもどうかと思うけど )

そして、ラスト。
これまで、ジェニファー( =プレイヤー )を さんざんいじめてきた “ 孤児院の子供 全員処刑 ” という ( プレイヤー的に ) スカッとする展開。

2006年当時、欧州発売 禁止措置を 喰らったのは、このあたりの描写が すさまじすぎたため ではなかったかと…。

嫌だ、長くなっちゃった。“ 第三幕 ” へ――。
 

この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« file.no-122 『 RULE of ROSE... | TOP | file.no-122 『 RULE of ROSE... »
最新の画像もっと見る

Recent Entries | et cetera