だいぶ昔に書いたものです。
ちょっと露骨に浄化してるんで、そこんとこどーなのよとも思うのですがまぁいいや。
では、どうぞ。
振動をするその玉を
両手でわっしと握みとると、電気鋸のプシュケーが宿る
その震える身体はいったい何に恐怖しているのだろう
天災か、自然か、秩序か、科学か、機械か、言葉か、人口か、食糧か、構造物か──
いや、それはきっと迫り来る、黒い光なのだろう
手のなかで暴れ回るその玉を必死の思いで握り締めるが
もう指が引きちぎられてしまいそう
もう指が引きちぎられるかと思ったら
もう指は電気鋸のプシュケーに侵されていた
手が、ものを、切り裂く
朝のコーヒーを飲もうとするも、まずは把手がつかめない
豆も挽けない、お湯もつげない、服も着れない、飯も食えない──
身体が、ものを切り裂く
ものを切り裂くにつれて、電気鋸のプシュケーは震える身体と共鳴し
髪の先まで振動する
昇華したI2分子を原子と原子に切断する
もう、止まらない
共鳴したプシュケーは、いつの間にか見えなくなった
存在は感じつつも
見えない、見えない
もしかしたら、切り裂いてしまったのだろうか
電気鋸のプシュケーを、切り裂いてしまったのだろうか
アンクザイエティーは止まらない
電気鋸のプシュケーを取り戻そうと思った矢先、一枚のチラシが舞い降りた
『第37回東日本プシュケリズム大会を開催します
あなたのプシュケーは、真のプシュケーですか?
私達のプシュケーは、真のプシュケーです。
より多くのプシュケーを一同に会することで、
新たな「神的カタルシス」を得ましょう!
──参加費:払える限り
──場 所:歩ける限り』
迷わず銀行に行き、鞄をふくらませて帰ってきた
限りなく、歩いてやる
電気鋸の足において、服の必要性はない
電気鋸の身体において、服の必要性はない
地を切り裂いて進むのみ
みなを切り裂いて進むのみ
黒い光のみ待っていた
電気鋸のプシュケーは、こわれた体を待ってなかった
こわれた体の集団は、真のプシュケーを失っていた
電気鋸の髪の毛は
もはや切り裂く力はなかった
手が、ものをつかむ
朝のコーヒーを飲もうとして、まずは把手をつかんでみる
豆を挽いてお湯をつぎ、服を着た後飯を食う
何日ぶりの、飯だろう──
白い光が見えていた
白いプシュケーが、宿っていた