環境法令ウオッチング

2006年7月から2007年12月までの環境法令情報・行政情報・判例情報を掲載。

東京大気汚染訴訟 国が原告団と話し合いへ 環境基準の設定以上に大切なもの 

2007-02-14 06:52:46 | 大気汚染
2007年2月14日 
 東京高等裁判所の和解勧告が出されている東京大気汚染訴訟で、国が原告団との話し合いのテーブルにつくこととなりました。これまで、国は一貫して和解勧告を拒否していましたが、東京都案の提示、自動車メーカーが東京都案をたたき台とした和解案の協議に応ずることとなったこと、を受け、今回の決定となった模様です。
 この点について、2月5日、環境省事務次官は、『繰り返しになりますが、環境省としても訴訟を徒に長引かせるべきではないという思いを強く持っていますので、関係省庁とも相談の上今後、解決点を見いだすべく原告と話し合いを進めていき、その中で国として何ができるかについて誠意を持って、検討していくということです。これまでも、大気汚染対策を中心とした環境対策をしっかり行ってきていますが、これからも更にどのようなことができるか考えていきます。代表的なものとしては、御承知のようにNOx・PM法の改正を含めて検討しているところです。原告の方々から施策についていくつか例示されているものもあり、原告との話し合いの中でそうしたお話もあるかと思いますので、それらも含めて考えていくということです。』とし、今後の法政策のなかで、今回の教訓を生かしていくという姿勢を示しています。
 また、2月9日、若林環境大臣は、大臣記者会見において、『原告側は依然として、医療費の助成の負担金を国に求めていくということに変わりはないようですが、改めて伺いますが、その点は国としてはどうなのでしょうか』との問いに対し、『直接的に医療費を負担するということについて、環境省として責任を持つ立場にあると思っておりませんから、そういうご要望があるということについてはよく承って、直接ではなく、健康管理など、何らかの形でお役に立つようなことがあれば、その点について検討をしていくことはあると思いますが、医療費そのものについて国側が負担するというようなことは、前からお話ししてありますように、基本方針としては変わっておりません。』と回答しています。
 一方、これまでの報道各紙の内容を総合すると、原告団が考えている具体案は、①大気汚染の主な原因となっている粒子状物質の環境基準を34年ぶりに見直し、これまでは対象としていなかった直径が1000分の2.5ミリ以下のきわめて小さな粒子にも、新たな基準を定める方向で具体的な内容を検討する、②深刻な大気汚染が続いている東京の環状7号線の車線を減らして通行量を減らすとともに緑地帯を作ることや、首都高速道路で路線によって料金に差をつけて車を都心から湾岸線に誘導するロードプライシングという方法の実験など、を実施することである、とされています。
 1000分の2.5ミリ以下の微粒子に対する環境基準を設定することは、意義のあることであると思います。しかし、環境基準はあくまで行政目標であり、強制力のある数値ではありません。自動車から排出される窒素酸化物及び粒子状物質の特定地域における総量の削減等に関する特別措置法(自動車NOx・PM法)の改正を視野に入れた『今後の自動車排出ガス総合対策のあり方について(最終報告案)』では、環境基準の達成状況等を『大気汚染の状況については、二酸化窒素及び浮遊粒子状物質について、全体として改善傾向が見られるものの、大都市圏を中心に環境基準を達成しない測定局が依然として残っている状況にある。また、光化学オキシダントについては、環境基準の達成状況は依然として極めて低い水準となっている』と分析しているように、環境基準が設定されるだけでは実際の環境は好転しません。大切なのは、せっかく設定した環境基準を遵守できるよう法政策を整えていくこであると思います。

【官報ウオッチング】
号外第27号
〔省令〕
海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律施行規則の一部を改正する省令(国土交通省令第4号/昭和46年運輸省令第38号の一部改正)
1.特定油防除資材に関する改正
 大量の特定油の排出があつたときに排出特定油の防除のための措置を規定しているが、本規定に関する『排出油防除資材』を『特定油防除資材』に、『特定油』を『ばら積みの特定油』とし、特定油防除資材を備え付けたとき及び変更したときに、速やかに、提出すべき書類等について新たに規定した。など。
2.特定油以外の油及び有害液体物質を輸送する国土交通省令で定める船舶、海域、防除資材等について新たに規定した。など。
施行日:1.については、平成19年4月1日。2.については、平成20年4月1日

【行政情報ウオッチング】
環境省
中央環境審議会循環型社会計画部会(第33回)の開催について
第2回「国立・国定公園の指定及び管理運営に関する検討会」の開催について
環境大気中におけるアスベスト測定法セミナーの開催について
「光害対策ガイドライン(改訂版)」の策定について
戦略的環境アセスメント総合研究会の開催について
中央環境審議会地球環境部会(第48回)の開催について
日中韓こどものための環境教育教材プログラム実施結果について

厚生労働省
水道課ホームページ(法令・通知等の更新)
ボイラー等の自主検査制度の導入の可否に関する検討会第4回議事録

資源エネルギー庁
ウェブサイト及びエネルギー広報に関するアンケート結果

【判例情報ウオッチング】
新しい情報はありません。

ISO14001
◆「環境法令管理室」に「2月5日から2月12日までに公布された主な環境法令一覧」をアップしました/2007.2.11
◆「環境法令管理室」に「2月5日から2月12日までに発表された改正予定法令一覧」をアップしました/2007.2.11
◆行政書士向け実務講座の講師募集を開始しました/2007.2.11
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