ぬのあそび「遊布」

布やウールで遊んでいます。

縄文杉に会いに行く!

2017-05-31 19:11:42 | 山行・健康
屋久島にあこがれて 苔むす森にいつか行きたいと思っていました。
険しい山中で長時間の登山が必要な縄文杉ルート 自分の実力ではまだ夢か・・・
そんなある日届いたツアーのチラシには縄文杉登山・ヤクスギランド・白谷雲水峡・秘境:羽神の滝ウォーク2泊3日と書いてあります!
これはチャンス!とりあえず申し込んでおいて 体は後から鍛えよう!
即決です!!

標高差680m 22キロの道のりを10時間かけて歩く!
たぶんレインコートを着て雨の中を・・・
富士山は一人で登ってきたので ゆっくり歩けたけどツアーとなれば標準時間位で歩く必要があるでしょう。
あと半年で自分の登山スキルと体力を上げていかなければ・・・

目標があれば頑張れるのが私の強み コツコツ努力は得意分野です!

出発前日に標高差905m登山を7時間ほぼ標準時間で行っても 筋肉痛なく当日を迎えられるまでになれました。

飛行機を乗り継いでバスで1時間。17時頃本日の目的地に到着。
ツアー参加者は22名キャンセル待ちがでる人気だったとか。
友達同士と夫婦・親子での参加と単独参加が6対4位の比率かな?年齢は60歳以上の方が大半と思われます。
初日は足慣らし ヤクスギランドで基本情報を頭に入れます!山道を含む90分歩行です。


屋久杉を伐採していたなんて考えもしなかった!
全く手つかずの原生林なのかと・・・
ほぼ全島が固い花崗岩地形の為杉の成長が遅く年輪が詰まり材が固い上樹脂の含有量は6倍もあり腐りにくい。
この特徴から年貢として 屋根材として多くの巨木が切り倒され 加工しにくい根元と上部は放置されていたと。



江戸時代の切り株に着生した植物が根をはり成長している 切り株更新と呼ばれている状態。
着生した木が杉であれば2代杉と呼ばれる。



土に埋もれていなくても土埋木




こんな風に長い間放置されても腐らないなんて不思議です。
民芸品やおみやげに加工されています。高貴な香りがします。



ハイノキ 灰の木
その灰を染色の際媒染に使ったり 囲炉裏の灰にしたことがいわれ。
地味な名ですがとても可憐な可愛い花でした。
屋久島の1000m以上のうっそうとした森で見かけました。
ひめしゃらのレンガ色の樹皮、さくらつつじのほんのりしたピンクも・・・
しけった空気が似合うにおい立つような木々でした。




幹のこぶが仏陀の頭の様だとか




渓谷を水が勢いよく流れています。
まさに岩走る!
花崗岩の一枚板なので水は浸み込まず 流れているのは雨水。





2日目は4時45分出発!1時間後荒川登山口到着!
いよいよ縄文杉登山に出発です。
朝食、身支度を終えて6時半 5人1組に現地のガイドさんが1人付きます。
最初の1時間はトロッコ軌道の枕木の上を爪先立ちで歩きます。
しばらく行くと岩をダイナマイトで吹き飛ばして作ったトンネルを抜けます。
オオ  楽しい!冒険気分です。



川を渡る橋がいくつもあるのですが これは手すりがないタイプ!
下はかなり落差があります。高所恐怖症の方無理かもしれません。




花崗岩の一枚岩のところでガイドさんの説明
水のあるところに苔あり!
その苔が植物の発芽を助けやがて木を育てる・・・
壮大な自然のサイクルが育てた森なのですね!




その岩に生息する食虫植物!
モウセンゴケがこんなに一杯!!



昨夜から今日にかけての雨で乾燥気味だった苔がみずみずしく輝いています。
雨も悪くない!



苔やシダ類がいきいきとおしゃべりしていそうな霧雨の森



生きてる木も倒木も緑の絨毯におおわれています。

トロッコ軌道は枕木から木を縦に渡した舗道になり歩きやすくなりました。



小杉谷集落跡で説明を聞きます。
なんと昭和の時代までこの地で屋久杉の伐採が行われていたことにショックを受けました。
切り出しやすいトロッコ沿いは伐採後50年程の若い森とのことでした。
急峻で平地が少ない屋久島ではコメはあまり採れず林業に頼るところが大きくても仕方なかったのでしょう。
伐採が禁止され保全が優先されるようになり、今島の主要産業は観光業が6割を占めているそうです。



江戸時代に盛んに切り出していた平木で屋根を葺いてある小屋。
左端に朽ちかけた木が見えています。今では本物の屋久杉は使えないので傷んでいるのかな?



トロッコ軌道は傾斜が緩やかで歩きやすいので さまざまな看板がありガイドウォークならではの楽しみに溢れています。
登山口から3時間 トロッコ軌道の終点に到着!



大株林道入り口です。910m地点です 登山口から240m登ってきました。
この後は険しい山道を1280mまで登ります。



こんな感じの傾斜です。階段と木の根道に滑りにくい花崗岩の山道。
普段山登りをする方にはお馴染みの道、それもかなり整備され歩きやすい印象です。





とても大切な注意書きが・・・
こんな山中で時間切れになったらかなり大変!
雨具も靴も甘い装備の方大丈夫かな?
途中のたった5分の迂回路(山道)で5人の実力が露わになり不安になっていた私・・・

さすがガイドさんも見ていました!
実力が不安な人から順に歩くように指示。
まず実力以上の段差を一気に登ろうとする2人に小さい段差で楽に登れるルートを先頭にたって道案内。
それでも 段差が大きいと足が止まってしまい 超スロー 渋滞を引き起こしています。
休憩毎に後続のグループに抜かされ、雨も本降りに・・・
この方といっしょでは目的地にたどり着けないかもしれない!グループ編成を変える?ピンチですよね。ガイドさん!
私の心の声が聞こえたのかと思うタイミングで
「あなたのこのスピードではたどり着けません!荷物を置いて行きましょう!」
有無を言わせぬ切迫感に腰にベルトを巻かれたその方は 人影もまばらになった後半の登りではガイドさんが引く命綱に導かれめでたく目的の地を踏むことが出来ました。私たちも全員でこの難局を乗り越える覚悟が決まり気持ちが一つになりました。



2010年に台風により倒れた翁杉。
ぽっかりと空が開けたことにより 新しい命が引き継がれようとしています。



ウイルソン株
とにかく大きな切り株で内部の空洞に祠も祀ってあります。
大人20人くらいは入れるかもしれません。
諸説あるらしく秀吉が方広寺を建てるにあたり寄進する為に切られたとか・・・
ガイドさんは何も語らなかったので信憑性に欠ける話かも・・・



今 有名なのはこの映像!ウイルソン・ハート
空洞内のと特定の位置に屈んでファインダーを覗くと現れる!
撮影の為に行列が出来る名所となっています。



堂々とそびえる大王杉



手をつないでいるように見える夫婦杉
真ん中から下方向に鋭く伸びてる枝は完全に同化しており今も伸び続けているそうです。
杉同志が結合することはあっても 違う種類の樹木ではないことだそう。

山道の入り口から3時間!標準時間+1時間でたどり着きました!



ひときわ大きなデッキの向こうに



縄文杉です!



根元を踏みつけないように遠くのデッキから眺めます。
三方向から見られるようになっていて毎日昼ごろをピークに賑わっています!
今日はそぼ降る雨の中けむっています。神々しかったぁ
この木が切られずに生き残れたのは 江戸時代に珍重された木の胴あたりにゴツゴツしたコブが多く平木に向かなかったという事情があるそうです。年齢は諸説あり現在も調査中とのことですが、空洞は小さくまだ倒れたりはしないと思いたい!

さて 長居は出来ません。辺りは潮が引くように人影が減り 下山して行きます。1時までには引き返さねばなりません。
12時35分下山開始!登るのが遅い方は下りも次の一歩がなかなか出ず すぐ立ち止まってしまいます。
時間との闘いは続きます。焦らず頑張って!

しかし下山で問題を抱えた人は別の方!がっちりした重量級の男性が滑りまくる!
前体重でほうり出すように置く片足に全体重が乗り 平衡を保てません。頻繁に派手な音を立ててころんでしまい怪我が心配です!
下り進むにつれて足首がヨロヨロになっているのですが ローカットの靴なので足首の固定が出来ていません。
おまけに 自分が危険な歩き方をしている自覚がないのか 前の人との間隔を極端に詰めて歩いてしまいます。
他の人を巻き込んでの転倒の後、遠慮などしていられず うるさい位 前の人との間隔を取るように注意しまくりました!!うるさい女で結構。みんなで無事に帰りたい!
切なる願いが通じたのかガイドさんが真顔で近付き その男性にベルトを装着!
今度は滑る男性を先に後ろから命綱を引きます。スピードを抑制出来ない男性と急な下りを駆け下りて行きます。
さすがの決断力!有無を言わさぬ迫力!プロです!
ホッとした残りのメンバーで黙々と降りていると なんとガイドさんが登りかえしてきました。
登るとき置いていった荷物を回収しトロッコ軌道まで戻る頃にはもう誰も歩いていませんでした。
ただ 足を痛めた青年とそのガイドさんが一組どうしようかと思案しているだけでした。

トロッコ軌道で先導するガイドさんは走るように早く 皆必死で食らいついて行きました。



人が居なくなったせいなのか 小猿がお食事中。



鹿も姿をみせてくれました。

屋久島でも鹿の食害は深刻で 捕獲して肉を提供している店も・・・
そこで屋久島に生息する哺乳類についてのクイズが出題されました。
6種類居るそうです。居そうでいないのが ウサギ・タヌキ・イノシシ。
正解は鹿・猿・イタチ・コウモリ・モグラ・ネズミでした。

せっせと歩き一つ前のグループに追いつきました。



トンネルのところまで戻って来れました!
18時登山口到着!全員無事に帰れてよかった!11時間半かかりました(-_-;)
ハイタッチで健闘を讃えあいます。ガイドさん本当にありがとう!
この達成感は ハンパなかったです! 




3日の朝 快晴 宮之浦より
シーサイドのホテルなので漁港を覗いてみました。
小さい島ですが険しい山々に囲まれています。
残念!ここからは百名山で名高い宮之浦岳は見えないそうです。




海岸は波の浸食を受け荒々しい表情を見せています。バスから見た限りですが、島の外周はほとんど同様な印象でした。
ウミガメがくる砂浜もあるはずなので 次回はぜひ浜にも行ってみたい!



ホテルと庭から山を望む
早くも山に雲がかかってきました。
陸からすぐに千メートルを超す山。湿った南の空気は冷やされ霧や雨になり森を潤し 苔を育みます。
1,2日目は山中では雨 でも平地に降りてくると美しい夕陽や朝日が見られるという体験をしましたが、それこそが屋久島特有の天気なのだと悟りました。運が悪ければバケツの水をひっくり返したようなすさまじいどしゃふりに見舞われることも珍しくないそうです。


今日のメイントレッキングは 羽神の滝。
ガイドさんと一緒でなければたどり着けない場所!
歩く時間は片道1時間ほどとのこと高低差もさほどではないのに秘境と呼ばれる所以は・・・




山ビル対策のスプレーをする時から 「今日は最初から難所です!滑らないよう気を付けて!」
川を渡るのは昨日と勝手が違います。とにかく滑る!どこに足を置いても滑る!
へっぴり腰にならざるを得ません。
班編成は昨日と変わらず 今日はフリーのガイドさんも1名加わって危険な場所を補佐します。

いよいよ滝をめざして渓流脇をトラバースします。
あれ 道は?そこは歩きやすく整備された形跡もない林の中。
堆積した落ち葉も昨日足場として大いに助けてもらった木の根も石もことごとく滑ります(-_-;)
誰も彼も慎重に慎重に足を運びます。生まれたての小鹿みたいかな?




苔のささやきがきこえる・・・かな



昨日の雨がみずみずしく光ってる!



もふもふ 絨毯!触らせてもらったらとっても分厚いので驚きました。
スポンジのように水をずっしり含んでいます。









苔むす森!




軽い負傷者を出しながらも無事滝が見える場所にたどり着きました!
やったー 気分爽快です!

我班では転倒の危険のある昨日の2名はお留守番。残り3名で滝壺付近まで進みました。




滝のしぶきが霧になって清々しい!
40メートル落ちているそうです。今日が雨なら来られなかった!(もっと滑るっていうことよね)
なんて運がいいんでしょう!




それにしても沢歩きは滑る!下りは尚更です。
すると派手に滑り続けるメンバーにガイドさんから意外な提案が・・・
その方の靴の裏がここの岩と合わないのではと・・・
ガイドさんと靴を交換することになりました。
すると 滑りません!
靴の裏には吸盤のような模様がある見たこともない靴でしたが この島に合う靴とのこと!
お見事!ナイスサポートです。

帰り道は少し余裕が出来 行きよりは滑らなくなりました。
山ビルが付いた人が3人いましたが 発見が早かったのでまだ血は吸われていなかったようでした。
なんだかモゾモゾしたら靴下周辺を点検!スプレーもスパッツも潜り抜ける知恵ものでした。




駐車場に琉球イチゴが!
黄色い実がとてもジューシー 美味しい!



同じ場所に オオバライチゴ
食べそびれて残念!


バスで白谷雲水峡に移動
滝見物に時間がかかったため1時間だけのガイドツアーです
屋久島に来たら誰もが行く有名な場所です。
良く整備された遊歩道を軽やかに歩きます。
ガイドさんが止まります。その指の方向に小さな生き物!
殻がとがった小さなカタツムリが!
写真がピンボケ過ぎてアップ出来ないのが残念です。
後で調べたところ イトカケノミギセルという種子島と屋久島に生息する固有種とのこと。
煙管貝(煙管に似た殻をもつかたつむり)かな?



ここでも苔が植物の生育を助けています。
タツナミソウのお布団!



二代大杉。
今まで見た中で一番若々しい!




苔むしています!



カワラサツキ!増水して水流にもみくちゃにされてもこのような岩場に生息するなはなぜ?
こんなふうに打たれ強く生きたいものです!



二日間お世話になった「山岳太郎」のベテランガイド 東瑞葉(ひがし みずは)さんです。
彼女の的確な判断力に何度助けられたことでしょう 感謝してもしきれない!
いつも大きなリュックを背負い 時にはメンバーのリュックまで背負い
雨の縄文杉登山でいただいた温かい味噌汁ほんとうに生き返りました。
どらえもんのポケットのように膝が痛んだらサポーター、ストックの先端キャップが無くなれば予備キャップ・・・
知りたがり屋の私の質問には屋久島愛が詰まった正確な回答!

別れ際の「屋久島の魅力はまだまだたくさんあります。また来てください!」
にはセールストーク以上の魅力を感じます!
東さんと一緒なら何でも有です!

その時はよろしくお願いします!


老婆心ながらこれから縄文杉登山を考えられている方にアドバイスを・・・
平地を10何キロ歩けても山道は勝手が違います。立ち止まらずに次の自分に最適な一歩を選び出す能力が身についていないと 他の登山者の迷惑になります。ぜひ階段ではない山道で登りも下りも立ち止まらず歩く訓練をしてからにしましょう。
どんな力量の人が参加するか分からないツアーでの参加はおすすめしません。現地のガイドさんに過度の負担がかかってしまいます。
出来ればお互いの能力を知っている仲間で現地のガイドさんをお願いするのが良いと思います。

ヤクスギランドも白谷雲水峡も非常に美しく豊かな自然を体感出来ます。どうしても巨木が見たいと思う人は別ですが、苔・植生、森の様子・秘境感いずれも縄文杉登山で見た景色と遜色ありませんでした。どちらも登山道を含むロングコースを持っています。
くれぐれも無理をされないことを願います。






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