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医道審議会、20人(歯科医師8人)の行政処分を答申

2015-03-03 12:44:22 | 厚生労働省
医師の「免許取消」はゼロ、2006年以来

m3.com  2015年2月27日(金) 配信 橋本佳子(m3.com編集長)

 厚生労働省医道審議会医道分科会は2月27日、医師、歯科医師合わせて31人の行政処分の諮問を受け、20人(医師12 人、歯科医師8人)の行政処分を答申、決定した。残る11人のうち10人は「厳重注意」、1人は「不問」。処分の発効は3月13日。
 最も重い行政処分は「免許取消」だが、今回は該当者がなかった。該当者ゼロは2006年8月の処分以来だ。前回の2014年10月の処分では6人、前々回の2014年2月では4人など、毎回数人が、刑事事件で有罪になるなどの理由で、医師・歯科医師が「免許取消」とされていた。
 今回の処分の中で最も重い「医業停止3年」は3人。診療放射線技師法違反・保健師助産師看護師法違反・詐欺、薬事法違反、覚せい剤取締法等の違反で、いずれも有罪が確定済みの医師だ。
 医師、歯科医師の行政処分は原則、年に2回、実施される。前回の2014年10月7日には35人が処分され、今回分を合わせ、2014年度の処分人数は55人。過去数年の行政処分の動向を見ると、2007年度111人、2008年度104人、2009年度91人、2010年度70人、2011年度89人、2012年度44人、2013年度77人と推移しており、減少傾向にある(『殺人などで医師、歯科医師6人が免許取消』などを参照)。
 医道分科会に諮問される数も、前回は53件、今回は31件と少ないが、厚労省医政局維持課は、「明確な理由があるわけではない」と回答している。
 27日の医道分科会では、再免許交付の申請についても審議。5件の申請があったが、「再免許交付が適当」とされた事案はなかった。
■無資格者にレントゲン等「医業停止3年」
 「医業停止3年」のうち、1人は開業医で、2014年3月に懲役3年、執行猶予4年の有罪判決を受けている。診療放射線技師法違反・保助看法違反に問われたのは、無資格の診療助手にレントゲン撮影と心電図検査、准看護師にレントゲン撮影を行わせたことが理由。また、職員の傷病手当金の不正受給が詐欺罪とされた。
 残る2人のうち、薬事法違反の医師は、指定薬物、いわゆる危険ドラック(亜硝酸イソブチル)の輸入で有罪(懲役1年、執行猶予5年)。覚せい剤取締法と麻薬及び向精神薬取締法違反の医師は、覚せい剤やコカインなどの使用で有罪だった(懲役2年6カ月、執行猶予4年)。
■診療報酬の不正請求「3カ月停止」
 医療に関係した事由での処分は、前述の診療放射線技師法違反・保助看法違反の医師のほか、診療報酬の不正請求3人。内訳は、医師1人、歯科医師2人で、いずれも既に保険医等登録の取消処分を受けており、医業・歯科医業の停止期間は、いずれも3カ月。不正請求額は、212万2586万円、95万5735円、177万6321円だった。
 医療事故で業務上過失致死罪を理由に処分された医師は、前回に続いてゼロだった。
 患者情報を漏えいし、国立大学法人法違反とされ、罰金30万円の有罪となった大学病院に勤務する医師は、「戒告」とされた。同病院の入院患者2人の病歴を、外部のインターネットからアクセスして持ち出し、不特定多数の人が見ることができるファイル共有サイトに投稿したことが罪に当たるとされた。
■道交法等違反、最高は「1年6カ月停止」
 処分理由で最も多いのは、道路交通法もしくは自動車運転過失傷害で、有罪になったケースだ。6人が該当し、中でも重い処分は、歯科医業停止1年6カ月の歯科医師。右折時に安全確認を怠り、バイクの運転者に約3カ月のけがを負わせる交通事故を起こしたほか、直ちに停止して救護措置を取ることをせず、最寄り警察に届けなかったため、懲役1年2カ月、執行猶予3年の有罪判決を受けた。そのほか、「酒気帯び運転」では、「医業停止4カ月」など。
【2015年2月27日の行政処分の内容】
人数
• 医師12人、歯科医師8人
処分期間
• 医業停止3年 : 医師3人、歯科医師0人
• 医業停止1年6カ月 : 医師0人、歯科医師1人
• 医業停止8カ月 : 医師1人、歯科医師1人
• 医業停止6カ月 : 医師2人、歯科医師0人
• 医業停止4カ月 : 医師2人、歯科医師1人
• 医業停止3カ月 : 医師2人、歯科医師2人
• 戒告 : 医師2人、歯科医師3人

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