Noriaki Hosoya - 細谷紀彰のドイツ日記

ベルリン在住、日本人ベーシスト細谷紀彰のあれこれ。
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Falk Bonitz Trioレコーディング回想

2014-04-24 | 音楽-活動
このブログでもくどい程取り上げていますが、先日、日本でも僕がヨーロッパで活動しているピアノトリオ、Falk Bonitz Trioのファーストアルバム「Märzsonne」が発売されました。

発売先はこちらの記事にまとめてあるので、まだ購入なさっていない方は是非ご参照下さい。
これもブログに書きましたが、先日追加オーダーの発注もあり、どうやら順調にお買い求めいただいているようです。有り難い。
一週間程前に追加分のCDを日本に向けて発送しているので、間もなく在庫が補充されるはずです。



さて、Märzsonneのレコーディングですが、実は今から数えて一年以上前、2013年の3月12、13日に、二日間でレコーディングをしておりました。

Märzsonneというタイトル、ドイツ語で「三月の太陽(日差し)」という意味なので、3月のレコーディングはアルバムにぴったり!
2013年の冬はとても長かったので、3月中旬のこの時期にも外は雪が積もっていたのを覚えています。





レコーディングで使ったのは、ベルリンにあるStudio P4
天井も高く、ブースも3つほどあり、ピアノ/ベース/ドラムどの音も、お互いに被ってしまう事なくクリアに録音できました。


一日目にコントラバス使用の曲2曲と他数曲。二日目にはバンドがノってきたので、結局コントラバスを使わない残りのエレキベースの曲を全部録り直したと思います。


僕のブースの中の光景。コントラバスにKen Smithのベース(当時はまだAdamovicを所有していなかったので)、そしてVanderkleyのキャビネットにWalter Woodsのヘッドアンプ。
エレベの音はWalter Woodsのアンプを経由してRadialのDI(おそらくJDV MK3)から録音しました。コントラバスはマイク録りでした。


実は僕、ヘッドホンだけでのモニターのレコーディングはどちらかというと苦手な方で……。
アンプからの音圧というよりは、音のスピードを感じながら演奏したいタイプなので、Vanderkleyのキャビは完全に自分のモニター用に持ち込みました。
それでも(レコーディングなので当たり前なのですが)ブースの中の音がかなりドライで、初日は若干苦戦しましたが、二日目にはそれにも慣れて、とても良いものが録れたと自負しております。


そして、ヘッドホンのモニタリングが苦手とは言えども、レコーディングなので、他の楽器は当然ヘッドホンで聴かなければなりません。
そこで強い味方となってくれたのが、これ。


スタジオで借りた、Beyerdynamic DT-880 Pro。セミオープンタイプのヘッドホンです。
この「セミオープン型」というのがポイントで、密閉型に比べると空気感があり、僕の中ではダイレクトすぎる音の密閉型のヘッドホンでレコーディングするよりも幾分快適に出来たかな、という印象です。
このヘッドホン、使用感が気に入ったので、レコーディングの後に自分用のものを購入しております。今では録音の現場に必ず持って行くものの一つとなりました。








ブースに入ってもお互いが見えるようにちゃんと窓があり、アイコンタクトも完璧でした。
2012年から本格的にトリオの曲を演奏し始めて、レコーディングまでにみっちりと曲を本番で演奏して、アレンジや雰囲気などを煮詰めていきました。
その甲斐があって、レコーディング時には皆曲を暗譜済。とてもライブ感のあるテイクが録れました。


二日目が終わって機材を全て撤収し、車を持っているYatzivに送ってもらって部屋に帰ってきたのが夜10時過ぎ。
周りのお店はほとんど閉まっていて、近所の謎のアジア系のインビスでチャーハンを買って食べたのを思い出しました。(笑)
味は微妙でしたが、達成感をかみしめながら食べました。


実は、アルバムに収録されていない曲も一曲録音しております。

Falk曰く
「悪くはないけど、他の曲と並んでアルバムに収録すると、なんとなくコンセプトに合わない」
という理由で、現在お蔵入りになっています。そしてこのレコーディング以降、ライブでも演奏していません。
いつかこの曲が日の目を見る事もあるのかな?



次回は僕視点でそれぞれアルバムの曲を解説してみたいと思います。6曲収録なので、全6回予定!

また沿岸部 - Falk Bonitz Trio@Kühlungsborn 19.04.14

2014-04-22 | 演奏後記
先週の土曜日、Falk Bonitz Trioでバルト海沿岸の街、Kühlungsbornで演奏してきました。

バルト海沿岸といえども、3月に行ったZinnowitzとは反対方向です。こちらはRostockの西側。
海風がとても強くて寒かったのは共通していましたが……。
今年は海辺に呼ばれている気がします。(笑)


車だと2時間近くかかるみたいです。東側がZinnowitzで西側がKühlungsborn。


以前の記事にも乗せましたが、きれいな所でした。海辺のリゾート観光地ですね。



今回はKunsthalleという、ギャラリー兼演奏スペースというような感じの所で演奏してきました。
壁には画が展示されており、なんともアーティスティックな空間でした。

そしてピアノはリチャード・クレイダーマン並みの真っ白なグランドピアノ!


そんなこんなで演奏してまいりましたが、今回はロジスティック上の理由で、ウッドベースを運べませんでした。
というわけで、おそらくFalk Bonitz Trio史上初のコントラバスの曲をエレベで演奏しました。



コントラバスヴァージョンと比べると、勿論響きなどは違うのですが、これはこれでアリかな、というサウンドになってひと安心。


他の機材に関しては、同じくロジスティック上の理由でVanderkleyのキャビネットが運べず、今回はEdenのキャビにAguilar Tone Hammer 350を組み合わせての演奏でした。
シールドは先日購入したDL Cables。ジャズ系で演奏する時は純正の方向性で接続。
愛用Adamovicは今回もオールパッシブ。

会場がかなりリバービーな所だったので、アンプのEQも、ローをカット気味、ミッド~ハイを少し持ち上げてモニターしやすい音を心がけて演奏しました。



今回は、お客さんの反応が鈍く、トリオが温まってくるまでに少し時間がかかったかな、というのが率直な印象です。(苦笑)
ドイツは特に、そしてドイツの中でも特に北部はそうなのですが、お客さんの反応がとにかく硬いです。ヨーロッパでも「ドイツのオーディエンスは難しい」と言われているくらいなので。(笑)

そんな中でも、なかなの演奏が出来たかな、と個人的には思っております。


僕自身に関しては、最近特に力を入れている基礎練習(スケール、アルペジオ、右手と左手のエクササイズetc...)の効果が出てきたかな、という気がします。
フレーズが、今までは若干スケールに沿ったものが多かったとしたら、今回はもう少しインターバリックなアプローチになったかな?と自分では思っております。やはり基礎練習の継続は重要ですね。



次回のFalk Bonitz Trioのライブは、6月にRostockで。
ここはFalkが音大に通った街なので、ライブをやる度に盛り上がります。Kühlungsbornでの反応を考えると、本当に有り難い事ですね。(笑)
ロックバンドやサッカーチームではないですけど「お客さんと一緒にライブを作っていく」って、まさにその通りだと思います。


次回のライブに向けて、さあ練習練習。Falkも新曲を何曲か書き始めているようです。新曲の中にはとんでもないユニゾンもあるそうな…………。

David Laboga Cablesを反対に繋いでみたら……

2014-04-21 | 楽器と機材
Falk Bonitz Trioのライブ後記も書きたいのですが、昨日のライブで面白い発見があったのでここにメモ。


昨日はKühlungsbornから帰ってきた後、ベースをAdamovicからP Bassに持ち替えてのライブでした。

いつものようにAguilar Tone Hammer 350とDavid Laboga Cablesを持って行ったのですが、サウンドチェック時に以前Davidが
「あえて逆の方向性で使って違うキャラで音を作るのもアリ」
と言っていた事を思い出しました。



この画像のプラグの部分の矢印が方向性を指しているのですが、今回は



逆向きでベースにプラグイン!


そしてそのままサウンドチェックに臨みました。


実際にライブを通してこのままの方向性で演奏してみたのですが、良い感じでした!

ノーマルの方向性がクリアでバランスが良い音とすれば、
逆の方向性は、ローが分厚く出る、元気な音になりました。
正直、P bassで演奏する時は逆の方向性の方が好みかもしれません。逆に、Adamovicなら純正(?)の方向性が楽器の特性を活かせると思います。


というわけで、これからDL Cablesを使う際には積極的に逆方向の繋ぎ方でも使っていきたいと思います。特に、R&Bやソウルなど、パンチが欲しい時に。

またまたバルト海沿岸部で演奏してきました

2014-04-20 | 日記
本日、Rostockにほど近い街、バルト海沿岸のKühlungsbornでFalk Bonitz Trioで演奏してきました。



行きの電車の車窓からの風景。春ですね。


そして辿りついたリゾート地、Kühlungsborn。





きれいな所でした。
海沿いなので、風が強かったです。ベルリンよりもだいぶ寒いです。

前回のZinnowitzで学んだので、今回は真冬仕様のダウンを着て行きました。おかげで快適!


ライブの雑感は、ベルリンに帰って落ち着いてから書きたいと思います。
明日の朝の電車で帰って、そのままベルリン内で別のライブのサウンドチェックに直行です!

音楽×天気コラム4回目

2014-04-19 | 日記
昨日無事に音楽×天気コラムの4回目の記事を入稿し、無事にアップされたようです。

こちらからご覧ください。本日はピアソラのブエノスアイレスの四季です!

このコラム、本来なら800字程度に収めるのが良いと言われているのですが、毎回のドイツの様子、近況報告などを含めて書いていると、すぐに1000字をオーバーしてしまいます。
今回も、1000字強と、少し長くなってしまっております。。。。
そして、美容のサイトにアップしているコラムなので、どこまでしっかり音楽の事について書こうか、いつも迷う所です。ピアソラがパリでクラシックの作曲家になりたかった事や、各曲の解説なども、もっと突っ込んで書きたかった!でも、そうすると字数が大変な事になってしまいそうです。

ドイツでの近況を楽しみにしてコラムを読んでくれている方もいるそうなので、しばらくはこのままのスタイルで書いてみようと思います。


そして、次回からのコラム、本格的にネタがないです。困った!

もしも音楽と天気にまつわる面白い事を知っている方がいたら、是非ご一報下さい!(笑)