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世界はやがてジャパネスクの時代を迎える(非公式)

英米の草刈り場となる日本を乗り越える「草莽の士」

2014-03-16 | 歴史・普遍

 外交官として働いていた時、多くの“日本人"の方々と会っていて気付いたことがある。
 それは「米国」については悪く言う人も、「英国」については全くそうではないということだ。「日本が見習うべきなのは、同じ島国である英国なのではないか」とまで言う人もいる。
 一方、歴史もののドキュメンタリーを見ていると、戦中の我が国では「鬼畜米英」などというシュプレヒコールが起こっていたことに気付く。決して「鬼畜アメリカ」ではなく、米英はセットだったのだ。このことは、現代の我が国における両国に対する国民感情からすると、極めて奇異な話なのであるが、誰もあえて語ろうとはしない。これもまた不思議だ。
 そもそも我が国を「開国」したのは、ペリー提督を派遣した米国であった。その軍艦(黒船)にかつての日本人は恐懼し、武力制圧を恐れて不平等条約に調印したのであった。だがこれに先立って、アヘン戦争(1842年)で帝国「清」と一戦を交え、東アジアの人々を震え上がらせたのは、他ならぬ英国だったのである。その意味で、我が国において明治維新から、戦争、そして二つもの原子爆弾の投下などその後に起きた全ては、とどのつまり英国が原因だったと言っても過言ではないのである。
「1842年に清を打ち負かしておきながら、なぜ英国は我が国へ開国要求を突きつけなかったのか」こう問われた時、歴史家たちは一般に、インドで反英暴動「セポイの乱」が起きて、それどころではなかったからだと説明する。そこまで余裕がなかったから、米国に先を越されただけだというのである。実にもっともらしく聞こえる説明だ。
 それだけではない。1902年に締結された日英同盟について、歴史の教科書にはこう書いてある。「世界中で勢力を拡大してきた大英帝国であったが、国力の低下に伴いもはや東アジアはコントロールできないので、大日本帝国と同盟関係に入り、任せることにした」と。
 アジアの一員でありながら、大英帝国のパートナーと見なされた我が国は当時、熱狂的にこれを歓迎した。対する米国はといえば、中国マーケットでことごとく我が国と対決。「英国は好ましいが、米国はけしからん」という議論の底流がここにある。

http://www.web-nile.com/article/article.php?category=03&article=000246

 

 だが、少なくとも当時を生きていた日本人にとって「米英は結局のところ同根」という冷静な認識はあった。なぜならば、双方は共に国際金融資本のネットワークによってつながっているからだ。
だからこそ「鬼畜米英」という標語が使われたのである。
 その後、第2次世界大戦の敗戦を経て、GHQが行った統治はイコール、マッカーサー将軍率いる米軍によるものであったと我が国では信じられている。実際には違うのであって、中国・四国地方はGHQという名の英連邦軍によって占領統治されていた。
しかし、そのことを語る人は今や、ほぼ皆無なのである。
 そうこうしている間に「大英帝国は衰退し、今や化石のような存在。それでも文化と伝統が有るからいいものの、これらがなく、金融資本主義で肥大化した米国が我が国のマーケットを草刈り場にしている」というイメージが日本社会においては着実に広がってきた。これを巧みと言わずに何と言おうか。
 そして今年(2013年)秋。英国からアンドルー王子が来日し、「21世紀型の同盟関係」を議論する国際会議を開催することが徐々に明らかになってきた。その意図は「第2次日英同盟」の締結にある。
 にわかには信じられないかもしれないが、本当のことである。
 我が国は歴史的に見ると、米英にとって「草刈り場」なのである。そして間もなく選手交代になる。しかし、米英と日本を巡る本当の歴史を教えられたことのない私たちは、そのことを認識もせず、ただひたすらやれ「アベノミクス」だ、「バブル」だと大騒ぎをしているというわけなのだ。植民地統治を生業としてきた英国からすれば、何と下ろしやすい相手であろうか。また可哀想なのは米国で、このまま行くとこれまで起きた全ての「悪事」の責任を負わされつつ、覇権国の地位から引きずり卸されることは必至なのである。
 本当の問題はここからだ。
 戦後日本で「米国の言いなりになれば勝ち組になれる」と味を占めた日本人は、続々と「英国詣で」をし始め、魂を売り渡すに違いない。そうした中で「いや違う」と毅然と語り、立ち上がる“真正日本人"が「草莽の士」として現れるのか。これが世界史の本当の焦点だ。

 

http://www.web-nile.com/article/article.php?category=03&article=000246&page=2

 

(2013.09.18)



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