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トリアージ・・・とは?

2008年07月19日 | 病院・薬・病気
トリアージ(Triage)は、人材・資源の制約の著しい災害医療において、最善の救命効果を得るために、多数の傷病者を重症度と緊急性によって分別し、治療の優先度を決定すること。語源はフランス語の「triage(選別)」から来ている。適した和訳は知られていないが、「症度判定」というような意味。なお、一般病院の救急外来での優先度決定も、広義のトリアージである。

以下では災害及び救急時における医療トリアージについて解説する。


概要
「トリアージ」は災害医療等において、大事故、大規模災害など多数の傷病者が発生した際においての救命の順序を決めるため、標準化が図られて分類されている。「トリアージ」は最大効率を得る為に、一般的に直接治療に関与しない専任の医療従事者が行うとされており、可能な限り何回も繰り返して行うことが奨励されている。その判断基準は使用者・資格・対象と使用者の人数バランス・緊急度・対象場所の面積など、各要因によって異なってくる。


判定基準
大まかに以下の要件で判定される。

総傷病者数
医療機関の許容量
搬送能力
重症度・予後
現場での応急処置
治療に要するまでの時間

判定分類
トリアージ・タッグの拡大画像判定結果は4色のマーカー付きカード(トリアージ・タッグ 不要な色の部分は切り取り、先端にある色で状態を表す)で表示して、一般的に傷病者の右手首に取り付ける。

※日本では、阪神淡路大震災の教訓から総務省消防庁によって、トリアージ・タッグの書式が規格として統一されている。この様に、同書式が国単位で統一されたのは日本が初めてである。

黒 (Black Tag) カテゴリー0
死亡、もしくは救命に現況以上の救命資機材・人員を必要とし救命不可能なもの。
赤 (Red Tag) カテゴリーI
生命に関わる重篤な状態で一刻も早い処置が必要で救命の可能性があるもの。
黄 (Yellow Tag) カテゴリーII
今すぐに生命に関わる重篤な状態ではないが、早期に処置が必要なもの。
緑 (Green Tag) カテゴリーIII
救急での搬送の必要がない軽症なもの。
搬送や救命処置の優先順位はI → II → III → 0となる。特に黒タッグはその被災者にとって唯一の診療録となり、後に遺族や警察・保険会社などが参照するものであるから、一目で死亡と分かる状態でも被災状況・受傷状況などを記載しておくべきである。


START法
救助者に対し傷病者の数が特に多い場合に対し、判定基準を出来るだけ客観的かつ簡素にした物がSTART法(Simple triage and rapid treatment)である。具体的には以下のようになる。

歩けるか?
歩ける→緑→状態の悪化がないか絶えず観察
歩けない→下へ
呼吸をしているか?
気道確保なしで十分な呼吸が出来る→黄
気道確保がなければ呼吸できない→赤
気道確保をしても、呼吸がない→黒
呼吸はあるが頻呼吸または徐呼吸である→下へ
ショック症状はないか?
ショックの兆候がある→赤
ショックの兆候無し→黄
小規模の災害なら赤になる例でもSTART法では黒になってしまう事が多くなるが、これは(現場に混乱を来してしまうほどの)大規模災害のために考え出されたものである。また、この方式は腹膜刺激症状やクラッシュ症候群などの病態を無視しており、追って詳細な状態観察とトリアージが継続される事を前提としている。


議論
傷病者が圧倒的多数の場合は、できる限り多くの人命を救助するため、処置を実施しても救命の見込みが無い傷病者は切り捨てる、すなわち見殺しにせざるを得ないという現実的な側面がある。この「切迫した非常事態のため、ある程度の見殺しはやむを得ない」という前提が存在する事で、初めてトリアージはその意味を持つ。また、負傷による苦痛について、訴える体力・能力を喪失している重傷者よりも軽傷者の方が訴え自体は激しいため、重傷度の迅速な判定が重要となる。

また、死亡診断の出来ない(=判定を下す事が許されない)救急救命士には、トリアージで「黒」を付ける決断が難しい、心理的な負担が医療関係者以上に大きい等の問題がある。

スタート法を用いるならば、ある一定の訓練を受けたものならばその判断に誤差が出ることはない。むしろ日々救命の現場で働く看護師や救命士の方が訓練を受けていない医師よりも迅速・確実な判断ができる事は明らかであるが、絶対的劣勢の災害現場では「黒」はすなわち「死亡」として切り捨てる判断に実質上なりえる事は否めない。2004年8月9日に福井県の美浜原子力発電所において発生した重大労災事故(10数名死傷)においても、救出時に心肺停止状態だった4名には「黒」の評価が現場でなされ、救急搬送はされなかった(のちの検死により、この4名は即死状態で蘇生不可能だったことが判っている)。

しかし「助かりそうにない患者」と「助かりそうな患者」を判別できるとは誤魔化しであるという批判も存在する。そのような診断、判定は往々にして、自己成就予言的なものではないかというものである。

また、トリアージは野戦病院でいかに早く軽傷者を前線に再投入するかという発想であり、平時の救急医療にはなじまないという批判も存在する。

いずれにせよ医師の配置や再トリアージの基準などについての徹底したガイドライン作りと、法的解釈の明確化の推進が不可欠なのはいうまでもなく、実際トリアージが行われた場合、美浜原子力発電所の事故のように「トリアージの判断に問題はなかったのか」という検証が求められる。



秋葉原の事件でも「トリアージ」の事が問題化している。

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