熱帯果樹写真館ブログ

 熱帯果樹に関するトピックスをお届けします。

マンゴー吊り紐結びの提案

2016年01月30日 | マンゴー

 マンゴーの出蕾シーズンになりました。
 国内で生産されているマンゴー「アーウィン」は、花や果実にしっかり日光を当てることで赤く色付くことが知られています。
 そのため、マンゴーの枝先から花芽が出てくると、枝の先に紐の一方の端を結び(又は自作の金具で枝先に紐を引っ掛け)、もう一方の端を予め樹上(栽培者が両手を上げた程度の高さ)に設置した吊り棚へと結ぶことで、花軸が自重で倒れるのを防ぎます。

 この吊り上げた紐は、花軸が伸びた際に再度一端緩めて花軸に巻き付ける様に吊り直さなければなりません。
 このとき、ほどくのは長さに余裕がある頭上の紐の端となります。

 つまり、出蕾から開花までの期間に行う枝(花)吊りの作業手順は、

 1)出蕾時に枝の先端に紐を結ぶ。
 2)もう一方の紐の先端を吊り棚に紐を結ぶ。☆
 3)花軸伸長時に吊り棚に結んだ紐をほどく。☆
 4)花軸に紐をかける。
 5)吊り棚に紐を結び直す。☆

となります。
 作業手順の後ろに☆を付けた作業は頭上で紐を結んだり、ほどいたりする作業(以下、頭上作業)です。
 栽培者によっては、常に花に日光が最適に当たる様に4)5)の作業を繰り返すこともあります。

 栽培者は頭上作業をどの程度の回数こなすのでしょうか?

 例えば、直径4mの樹であれば吊り上げる枝数は80枝程度でしょうか。
 そのため300坪程度(10a、1,000㎡)のビニールハウスであれば、60樹植わっているとして約5,000枝の吊り上げとなります。
 このため、夫婦2人で1,000坪のビニールハウスでマンゴーを栽培していたら、出蕾から開花までの期間に2~4万回/人の頭上作業が必要になります。
 さらに、果実が着果したら果実の吊り上げ作業(途中で1回は吊り直しを行う)ので、果実に袋掛けを行うまでに頭上作業は約3万回/人追加となります。

 頭上作業は、首と肩に大きく負担をかけます。




図1.首と肩に大きく負担をかける頭上作業

身長が高い方に合わせた作業は、身長が低い方にさらなる危険と負担が生じます。


 1~5月のマンゴー栽培者は、首や肩の痛みに耐えながら真っ赤なマンゴーを作っています。
 良いものを作るには手間がかかりますね。


 で終わってしまえば消費者向きの「真っ赤なマンゴーには農家の手間暇がかかっているから、敬意を払って食べましょう」みたいな話になりがちですが、今回はマンゴー栽培者向きの「頭上作業を如何に減らすか?」の話題です。

 以下の2つの提案を実行することで、頭上作業は確実に減ります。

【提案1】吊り紐は、(麻紐を用い)長めに使う。
【提案2】吊り紐は、吊り棚の上を通した後に、目~頭の高さで「ほどかずに紐の長さが調節できる結び方」で結ぶ。

 詳細を説明します。

 まず【提案1】について。
通常、吊り紐の長さは「枝の先端の高さ~両手を上げた高さ(吊り棚の高さ)+余裕」だと思います。
 概ね、栽培者の「みぞおち~両手を上げた高さ」程度の長さでしょうか?
 これに「片手の中指の先から肩」程度の長さを足してください。

 次に【提案2】について。
 【提案1】で作った紐は、

 1)出蕾時に枝の先端に紐を結ぶ。
 2)もう一方の紐の先端を吊り棚の上を通す。☆
 3)目~頭の高さで結ぶ。

となります。
 
 このとき 3) の結び方を「ほどかずに紐の長さが調節できる結び方」にするのがコツです。
 この様な結び方は色々とあるでしょうが、1例を示します。



写真2.ほどかずに紐の長さが調節できる結び方

結び方が解りやすい様に太い紐で説明しています。


 この様な結び方をしておくと、結び目を押さえて上下にずらすと、ほどかずに紐の長さが調節できる様になります。

 写真2では解りづらいと云う方のために動画も準備しました。





 こうすることで、出蕾から開花までの期間に行う枝(花)吊りの作業手順は、

 1)出蕾時に枝の先端に紐を結ぶ。
 2)  〃 吊り棚の上を通す。☆
 3)目~頭の高さで結ぶ。
 4)花軸伸長時に紐を緩めて伸ばす。
 5)花軸に紐をかける。
 6)紐の長さを調節する(縮める)。

となり、頭上作業の量は1/5~1/3に縮小されます。
 さらに作業時間も頭上作業で結んだり、ほどいたりすると10秒以上とられますが、結び目を緩めて縮めるだけなら5秒程度に短縮できます(7,500枝×5秒短縮=10時間以上短縮)。




図2.作業は目の高さから胸の高さの間で行える様にしましょう。

身長が低い方に作業の高さを合わせることで、危険と負担を減らすことができます。


 最後に、【提案1】で(麻紐を用い)と吊り紐の種類まで提案した理由を説明します。
 「ほどかずに紐の長さが調節できる結び方」は色々とあるのですが、結び方や紐の種類によって結び目の摩擦係数(緩みやすさ)が異なります。
 マンゴーの吊り紐に用いる場合、私の中のブランド資材は小泉製麻株式会社の「結束用サンリン麻紐 C14×3」です。
 樹が少ない場合は、同じ様な太さのダイソーの「麻ひも(3玉入り)」でも良いです。

 話を戻します。
 吊り紐に麻紐を用いる理由は、麻紐で紹介した結び方をすると1kg程度(大玉の「キーツ」マンゴー果実の重さ程度)の負荷でギリギリ結び目が緩まない程度の摩擦係数になるからです。
 「そんなの固く結べた方が良いのでは?」と思う方もいるかもしれませんが、私は動きが雑なので、沢山の紐で枝等が吊られたマンゴー樹の管理をしていると、腕や体が紐に引っかかり引っ張ってしまうことがあります。
 このとき、固く結ばれていると枝の先端や果実を吊った部分に負荷が多くかかり、枝が折れたり、果実が落ちる原因になります。
 しかし、必要以上の負荷がかかると紐が伸びる結び方なら、紐が伸びるだけで枝は折れず、果実は落ちません。

 加えて、麻紐は半年~1年で朽ちるので、果実収穫後に片付ける際に地面に落として片付け損ねても後日足を取られたり、草刈機に絡んだりしません。

 私の様に「吊り紐に引っかかって、枝を折ったり、果実を落としたりしたことがある人」「古い吊り紐に足を取られる等のトラブル経験者」は【提案1】+【提案2】で問題解決です。

 農作業に完全無欠な正解はありません。
 今回のやり方も吊り紐を長くした分だけ資材代がかかるデメリットがあります。
 これら提案は「こうすれば良いよ」ではなく、「こういうやり方もあるよ」程度の軽い話題として受け止め、参考になる部分だけ取り入れていただければ幸いです。





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謹賀新年2016

2016年01月01日 | ブログ運営

 新年あけましておめでとうございます。

 毎年の様に元旦は昨年の目標達成状況および今年の目標設定を行います。
 まず昨年の本ブログにおける目標は「ブログの10回/年程度の更新+5回/月ツイート」でした。
 その実績は、

○2015年の「熱帯果樹写真館」更新回数
 ・ブログ更新・・・・・・・・・・・・・・・・・15回
 ・ツイート数・・・・・・・・・・・・・・・・103回(Twitter)、86回(Facebook

と「ブログの10回/年の更新」、「5回/月ツイート」を共に達成できました。
これも皆様のご愛顧があっての結果です。ありがとうございました。

 また「日本熱帯果樹協会」では「苗木交換会(沖縄支部)」「総会、講演会、現地検討会(全国)」といった支部イベントでの交流の他、支部の有志での「市場見学会」「個別での種苗交換」等の個別での交流ができた年だったと思います。

 今年も当ブログや Facebook やtwitter で情報を発信しつつ、熱帯果樹愛好家の方々と交流を深めていきたいと思います。
 2016年の目標は「ブログの更新12回/年+80回ツイート/年」としたいと思います。
 今年も、宜しくお付き合いください。




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