勝てない 2015-11-19 23:55:28 | 女子キノコ 君と逢う日はキノコ日和 森を潤す恵みの雨でぐっしょり濡れた体 指先が冷えたおかげで一瞬感じたわずかな温もり 本当はいつだってキノコ日和 晴れた日は前を行く落ち葉を踏む足音が 誰かと一緒にいる幸せを感じさせてくれる お天道様にゃ勝てません ちっぽけな自分を好きになれる魔法の呪文 本当はぐずって甘えようとしたのに 柔らかな日差しの方にそっと導いてくれた そんなあなたにゃ勝てません (アシナガタケ)
覗きたい 2015-11-14 01:44:23 | 女子キノコ ひとかたまりで菌糸をひろげる木の中のキノコ 体はひとつなんだから、ひとつのキノコでいいはずなのに なぜこんなにたくさんの子実体を作るんだろう 迷いの数だけ答えがあると、言ってしまえば答えのような 錯覚に陥ってしまえばラクなんだけど 本当の姿を隠すために 分身の術で攻めてきたのか そのどれもが同じ形をしていて むしろわかってほしい心がむき出しとも言える そのちいさなひとつひとつを握り締め 木の中にかくれた恥ずかしがりやな君の心の中を そっと覗かせてもらおうじゃないの でも気をつけなきゃ こっそり胞子を仕込まれて これ以上心の中を真っ黄色に染められたらたまらない (ビョウタケ)
上から目線 2015-11-13 01:43:36 | 女子キノコ そこにキノコが生えたのは、そこに落ち葉があるわけで そこに落ち葉を落としたのは確かに私 軽く上から目線でこちらを眺めるキノコ その生意気ないただけない目線 その目線が大好きだった このちいさなキノコ、いっちょまえに傘なんて開いているが ほんとうは誰からも見られない場所で大きな傘の下でその身を温めたかったのだ もう君は目一杯大人になったんだ その傘は遠くから来る光を受け体を温める能力を十分もっている あとは傘の向きを修正するだけだよ 落ち葉を落としすぎてなんだか空っぽになっちゃった心 もう無理に埋めようとは思わない ただ、またいたずら心をおこした神様がちいさな偶然をあちこちにばら撒き始めた 拾うもよし、知らんぷりするもよし 空っぽの方がよく響く しゃぶった指先が冷たさを感じる方へ今はただ流されていたい (アカチシオタケ)