まず、日経新聞の記事を引用する。
首相「万全な備えがたくらみへの抑止力」
集団的自衛権で閣議決定
20140701 19:00
安倍晋三首相は1日夕、集団的自衛権の行使容認を閣議決定したことを受けて首相官邸で記者会見した。
法整備を踏まえ「万全の備えをすること自体が日本に戦争をしかけようとするたくらみを挫く大きな力を持っている。
これが抑止力だ」と強調した。
”抑止力”を考える上で、私の記憶に残っている言葉がある。それは、加藤友三郎の「海軍不戦論」である。
加藤友三郎は、日本海海戦で、連合艦隊参謀を務めた。1915年に第2次大隅内閣で海軍大臣となり、
その後3代の内閣で、海軍大臣を留任した。1922年には、内閣総理大臣になった。
その言わんとするところを、伊藤正徳著「連合艦隊の最後」から引用する。
その存在のために、外国の侵略を躊躇させればいい。
大いなる犠牲を払わなければ、日本をを侵せないだけの力で足りる。
相手の軽侮を受けないのが目標である。あとは政治外交の領分である。
要は、「相手が我が方の力を憚って手控えし、それで平和に落ち着くのが国防の要諦だ」との主張である
ついでに、孫子を読んでみた。 曰く、
百戦百勝は善の善なる者にあらず。戦わずして人の兵を屈するは善の善なる者なり。
上兵は謀を伐つ、その次は交を伐つ、その次は兵を伐つ。
戦わずして相手を屈服させることこそが、最上の勝利である。
最上の策は、敵の意図を見抜いて、これを封じることである。
次は、敵の同盟関係を断ち切って、敵を孤立させることである。
次が、戦火を交えることである。