「ホームへ」
八十年生き来し人の行く末を「福祉」という名のもとに決めたり
診断は「認知症」なり一通の書類が入所手形となりぬ
子はいない妻はいないと頑なに首振る老いの背(せな)の小ささ
娘らの居場所は既に知りおれど連絡はせぬ最後の礼儀
ただひとりここに暮らしし半生の北向きの窓六畳二間
リモコンとテレビとわずかなる服をタクシーに乗せホームへ向かう
この老いの生きたる証か廃品の収集先の分厚きリスト
廃品に埋もれし部屋を撤去する費用は哀し五万円とぞ
帰庁せしわれを無言に迎えたる白き看板「保健福祉課」
惑いつつ老いのかたちを探りいる人らと向き合い今日われも老ゆ
8月に審査結果をいただいていたのですが、今日、芸術祭の文芸部門作品集である
「さっぽろ市民文芸 第27号」が届きました
短歌部門の応募作54篇のなかで最高の賞である奨励賞をいただきました
「今日的な問題をテーマに取り上げ、表現が実際に基づき説得力がある」と
講評していただきました
今回は、これまでになくテーマ性を強く出した作品で、
一首一首はまだまだ甘いのですが、
連作としてはいくらか訴えるものが出せたかなと思っています
もっともっと引き締まった、奥行きのある表現を目指して
来年は全部門を通しての大賞を狙います! ……なんて(笑
私が入院している間、手紙で熱心に指導してくださった恩師に感謝です
3月の授賞式が楽しみです☆
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八十年生き来し人の行く末を「福祉」という名のもとに決めたり
診断は「認知症」なり一通の書類が入所手形となりぬ
子はいない妻はいないと頑なに首振る老いの背(せな)の小ささ
娘らの居場所は既に知りおれど連絡はせぬ最後の礼儀
ただひとりここに暮らしし半生の北向きの窓六畳二間
リモコンとテレビとわずかなる服をタクシーに乗せホームへ向かう
この老いの生きたる証か廃品の収集先の分厚きリスト
廃品に埋もれし部屋を撤去する費用は哀し五万円とぞ
帰庁せしわれを無言に迎えたる白き看板「保健福祉課」
惑いつつ老いのかたちを探りいる人らと向き合い今日われも老ゆ
8月に審査結果をいただいていたのですが、今日、芸術祭の文芸部門作品集である
「さっぽろ市民文芸 第27号」が届きました
短歌部門の応募作54篇のなかで最高の賞である奨励賞をいただきました
「今日的な問題をテーマに取り上げ、表現が実際に基づき説得力がある」と
講評していただきました
今回は、これまでになくテーマ性を強く出した作品で、
一首一首はまだまだ甘いのですが、
連作としてはいくらか訴えるものが出せたかなと思っています
もっともっと引き締まった、奥行きのある表現を目指して
来年は全部門を通しての大賞を狙います! ……なんて(笑
私が入院している間、手紙で熱心に指導してくださった恩師に感謝です
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読み始めてほどなく頭に浮かんだのは「武骨」という言葉である
細かな定型にとらわれず、破調をいとわない気さくさ
字足らずには小心であるが、新かなで、
時にユーモアを織り交ぜ、ざっくりと言葉を結んでゆく
全編を通して、なんとなく“楽に詠んでいる”感じがする
肩肘張っていないのである
「やんちゃ」ですらあると思う
そこが、心地良い読後感や親しみやすさを醸し出している
しかしだからこそ
そんな気さくな歌の中にある静かな抒情歌がはっと目を惹く
時に見せるセンチメンタリズム
家族、特に妻の歌はしっとりと印象深い
(妻、河野裕子氏が若くして亡くなられた今、自然とその印象は深まっているのだろう)
また、大学教授としての学生に対する率直なつぶやきに妙味がある
●少しずつずれてゆくなり君のさびしさに我がさびしさが重ならぬなり
●一重なる山吹が風に静かなり 人よろこべばわれもよろこぶ
読み進むに従って、先に感じた気さくさは、
定型よりも意味を重視した結果だと気づかされるのである
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細かな定型にとらわれず、破調をいとわない気さくさ
字足らずには小心であるが、新かなで、
時にユーモアを織り交ぜ、ざっくりと言葉を結んでゆく
全編を通して、なんとなく“楽に詠んでいる”感じがする
肩肘張っていないのである
「やんちゃ」ですらあると思う
そこが、心地良い読後感や親しみやすさを醸し出している
しかしだからこそ
そんな気さくな歌の中にある静かな抒情歌がはっと目を惹く
時に見せるセンチメンタリズム
家族、特に妻の歌はしっとりと印象深い
(妻、河野裕子氏が若くして亡くなられた今、自然とその印象は深まっているのだろう)
また、大学教授としての学生に対する率直なつぶやきに妙味がある
●少しずつずれてゆくなり君のさびしさに我がさびしさが重ならぬなり
●一重なる山吹が風に静かなり 人よろこべばわれもよろこぶ
読み進むに従って、先に感じた気さくさは、
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ああこれは、まごうことなくおんなの歌なのだなぁと実感する
平仮名を巧みに使い、句またがりで一首をやわらげる
比喩、とくに直喩が目を惹く
惚けた父親を詠って寂寥感にあふれる
しかし、根底にあるのは愛
老いというものにもっと自分が直面する時期になれば、
もっともっと胸打たれるのだろう
その頃にまた読みたい歌集である
オノマトペの感覚は若干共有できない部分もあるが、
たおやかなおんなの時間にひととき酔いしれた
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平仮名を巧みに使い、句またがりで一首をやわらげる
比喩、とくに直喩が目を惹く
惚けた父親を詠って寂寥感にあふれる
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老いというものにもっと自分が直面する時期になれば、
もっともっと胸打たれるのだろう
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