小指ほどの鉛筆

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50 で、何がしたいのか、自分でも結局わからなかったりするんだよね。(トロ+ドロ)

2008年05月18日 10時36分16秒 | ☆小説倉庫(↓達)
日向家の呼び鈴が鳴ったのは、今から20分ほど前。
日向夏美が玄関を開けた先にいたのは・・・ガルル小隊の面々だった。


「あ、あの・・・どのようなご用件で・・・?」
ガルルの長い沈黙に耐え切れず、ケロロは近くにいたプルルにそう問いかけた。
ギロロは警戒と嫌悪の眼差しでガルルを見つめ、ゾルルはジッと、どこか遠くを見ていた。
「突然お邪魔しちゃってごめんなさいね。えっとね・・・」
「トロロを見なかったか?」
プルルが遠慮がちな視線をガルルに向けると、彼はようやく口を開いた。
そしてその口から出てきた言葉は、ある程度予想していたことだったのだが・・・。
「トロロ新兵でありますか?申し訳ないでありますが、知らないでありますな~」
「そうですか・・・はぁ・・・」
「隊長!そんなに落ち込まないでくださいよ。」
ガルルの尋常ではない落ち込みように、ケロロとギロロは顔を見合わせて首をひねる。
と、リビングの床の一部がパカリと開き、クルルがニヤニヤと笑いながら現れた。
「おいおい、またガキに逃げられたのかよ。今度は何をしたんだぁ?クックック~」
人の不幸を心底楽しむような笑みに、ガルルは小さな殺意を覚えた。
それでも呼吸を整え、事のあらすじを伝える。
「今朝のことだ・・・いつものように徴集をかけたんだが、トロロだけがきていなかったものだから、タルルが起こしに行ったんだ。」
「そういえばタルル上等兵は来ていないんでありますか?」
「タママ君のところにでも行っているんだろう。・・・話を戻すが、タルルが起こした後、トロロは極端に機嫌が悪くてな・・・徹夜していたようだったから、私は言ったんだ。「また徹夜していたのか?徴集に遅れるくらいなら早く寝るようにしろ。」とな。私の言い方がキツかったのかも知れないが、トロロはムッとした表情で・・・「うるさいんだヨ、このオッサン。」といいやがっ・・言ってね、私としたことが、その言葉にカチンときてしまって・・・」
ケロロがチラリとギロロとクルルを見る。
2人はケロロの視線に気づいたが、すぐに顔を背けてしまった。
「大人気ないことに・・・」
そこでガルルは言葉をとぎらせた。
ケロロたちが続く言葉を待っている間に、プルルが溜息をつく。
「隊長はあろうことかトロロ君に、「お前はまだ子供なんだ、反抗している暇があったら早く寝たまえ。」なんて言って背を向けちゃって・・・そのときのトロロ君、本気で怒ってたわよ?」
「す、すまない・・・だが私はまだ「おっさん」なんて呼ばれる歳じゃ無いぞ?」
「はいはい、分かりましたよ。隊長は怒ると顔が怖いんですから、少しは抑えてください。」
「・・・わかっている。」
思いっきり落ち込んでいるガルルに、ケロロが明るい声で話かける。
「そんなのはどこでもよくあることでありますよ、ねぇ?」
ギロロとクルルは同時に目を逸らす。
ケロロは溜息をついた。
「ありがとう、ケロロ君・・・でもそれで彼は出て行ってしまってね・・・」
「で、行く当てが地球ってのには、何か根拠があんのかよ。」
「根拠はないが、彼が行く家出スポットといったら、この星くらいしかないだろう。」
クルルは腕を組んでパソコンを開く。
その起動音に、ゾルルが視線をクルルに向ける。
「・・・その音・・・トロロのと、似て、いる・・・」
「へぇ、あのガキがなぁ。」
感心したような、うっとうしそうな、どちらとも取れない表情を浮かべ、クルルは小さく息を吐いた。
「一応メール送っとくぜ。・・・場所が特定されるような通信はするつもりがねぇみたいだからな。」
「協力を感謝する、クルル曹長。」
一応ひと段落着いた彼らの話を聞き、冬樹が笑顔を向けた。
「じゃあ、新兵の居場所が分かるまでうちにいなよ。姉ちゃん、良いでしょ?」
「ま、仕方ないわね。その子が見つかるまでよ。」
「何から何まですまないね・・・本当に・・・私の所為で・・・」
「隊長!!ネガティブになるのは止めてください!こっちまで気分が沈みます!」
「・・・あぁ。」
そんなやり取りを見て、ケロロは再び大きな溜息をついた。
「ま、あのガキが地球に居るんなら、そのうちここに来ると思うぜ。」
「?どういうことだ?」
不思議なことを言うクルルに、ガルルは首をかしげるのだった。


晴れ渡る空の下、公園ではしゃぐ子供たち。
サッカーをする同年代の子供たち。
そんな人達を横目で見ながら、トロロは極力人目につかないようなベンチを探していた。
やっとちょうどいいところを見つけて腰を下ろすと、今までの運動不足がたたり、一気にバテる。
「なんなのこの星・・・異常なほどに暑いんだけど・・・」
そんなことを呟きながら、汗を拭う。
木陰になっているため、ここには日差しが届かない。
本来なら静かに本でも読んでいる方が様になるのだろうが、残念ながらトロロには読書の趣味はない。
時々目の前を通過する大人たちを眺め、近くの自販機で買ったコーラを喉に通す。
久々に運動した気がする。
そんなことを考えながら、ボーっと足元を見ていた。
しばらくそんなことをしていると、時々空が恋しくなる時がある。
背筋を伸ばして空を見上げると・・・空から何かが降ってくる最中だった。
「へ?はぁぁ!?」
驚いたのもつかの間、地面に着地したのは、紛れもなく人間だった。
「は!?ちょ、何いきなり!!!!」
非常識な人間の登場に、トロロは混乱していた。
そもそも宇宙人である自分がこんな公園でのんびりしていること事態が、すでに非常識なのだが。
けれども立ち上がった影のその端正な顔立ちに、混乱は一気に醒める。
「って・・・ドロロじゃン!!!」
「びっくりさせてしまったようでござるな。このようなところでいったい何を?」
空からやってきたけれども、その姿は忍者装束ではない。
一応この環境に合わせているのだろう。
それとも瞬時に着替えることが可能なのか?
トロロはそんなことを考えながら、視線を逸らした。
「別に。」
「・・・もしかして、家出かな?」
「!!」
「ガルル中尉と喧嘩でもした?」
にっこりと微笑むドロロに、素直に驚く。
口調を変えたのは、警戒心を解かせるためか、それとも子ども扱いしてなのか。
「アンタに関係ないでショ。」
「そう言われちゃうとそこまでなんだけどね。」
困ったような表情をするドロロ。
「でも、暇なんだったら話し相手になるくらいは出来るよ?」
「ガルルに引き渡さないんだネ。」
「たまにはこういうのも、いいよね。」
変なの。
笑うドロロに少しの違和感を覚えつつも、トロロは一緒に笑った。
「分かってるじゃン。」


日向家には、コーヒーの香りが充満していた。
いつに無く和やかな空気だ。
ケロロはいつものようにガンプラを作りながら、あくびなんてしている。
「あ~、ガルル小隊が来てるってのに、この空気は無いでありますよな~~。」
ギロロは庭で猫と戯れ、プルルは夏美と会話を弾ませている。
ガルルは冬樹の熱烈なオカルトトークと質問にたじたじになりながらも、どうにか笑顔を保っていた。
クルルはというと・・・時計を気にしながら、ずっとパソコンを弄っているのだった。


「・・・というわけでサ、ありえないよネ!?子供は大人に従ってればいいって事!?ボクは自分の仕事をしてたっていうのにサ。信じらんないシ。」
ガルルと大差ない説明をして、トロロは文句を言った。
「そうだね、それは酷いかもしれない。」
「だよネ。」
コーラを完全に飲み干し、トロロは一息ついた。
「ま、それでわざわざ遠出してみたわけだけどサ・・・正直、家出っていうのにどういう意味があるのかは分からないわけ。でもこんなとこまで来ちゃった自分がいて、で、何がしたいのか、自分でも結局わからなかったりするんだよね。この意味、分かる?」
「家出に意味があるとは思えないけど、自分は今こんなところにいる。それが何故なのかは自分でも分からない。ってことかな?」
「そゆこと。流石だネ、そこらのオッサンとは違うヨ。」
ドロロは理解力が高い。更にきちんと話をきちんと聴いてくれる上、神経を逆撫でするようなことを言わない。
トロロとしては最高の話相手だった。
「ガルル中尉は、僕らにとってはお兄さんだけど、トロロ君から見ればおじさんだよね。」
「そう、そうのことなんだけどサ、ボクって若いジャン?だからボク的には、中尉からは子供として見られるのはしょうがないと思うワケ。でも、ガキとは思われたくない。とりあえず仕事もしてるし、任務もしっかりこなしてるしネ。曹長にはガキって言われてもしょうがないと思うけどサ・・・。」
クルルをライバル視してがむしゃらになっている自分は、ガキだと思う。
トロロはそんな自分のことをよく分かっていた。
と、トロロは急に真面目な顔つきになり、ドロロに詰め寄った。
「ネェドロロ・・・ボクってドロロから見て、ガキだと思う?」
「どうして?」
俯き、足をパタパタと動かす。
「任務の時にサ、ガルルたちは直接敵と戦うジャン。なのにボクはオペレーターだから船に残る。看護長だって戦ってるっていうのにサ。結局ボクは何も出来ないから、船に保護されてるみたいな感じだよネ・・・。」
「それはしょうがないよ。トロロ君にとってはそれが仕事なんだから。クルル君だってそうだよ?」
「曹長は違う!!曹長は銃だってメカだって使える。ボクは・・・何も出来ない。」
彼は素直に、自分の小隊の役に立ちたいのだ。
そう思い、ドロロは微笑んだ。
「そっか・・・ねぇトロロ君、せっかく地球に来たんだから、散歩でもしない?喫茶店でお茶でもしようよ。もちろん僕がおごるからさ。」
「いいノ?」
「もちろん。久しぶりに会えたことだし、ガルル小隊の話も聞きたいしね。」
「曹長には小隊のこと、言わないでヨ?何するかわかんないシ。」
「もちろん。」
指切りをする。
ドロロが立ち上がると、トロロも続いて立ち上がった。
「それじゃ、行こうか。」
公園の道を並んで歩いていくと、ランニングをしている人や、犬の散歩をしている人にもめぐり合う。
そんな人々を見ていると、そんなに時間が経たない内に入り口へと戻ってこれた。
最初よりも疲れが少ないのは、誰かがいるからだろうか。
トロロは自販機の横に置いてあるゴミ箱にコーラの缶を捨て、ドロロの後を追いかけた。


「クルル曹長・・・トロロが戻ってくるというのには、何か根拠があるのかね?」
心配そうに眉をひそめ、ガルルが問う。
「まぁな・・・それにしてもおせぇな、ミイラ取りがミイラになったってやつか?」
ククっと笑い、クルルは時計を見た。
「??」
ガルルは相変わらず首をひねるばかり。
「まぁ、今日中にはもどってくんだろ。心配すんな。」
そう言われ、ガルルはとりあえず冬樹の話へ耳を傾けることに専念することにした。


「どう?」
「すごくおいしい。」
街中の喫茶店に、2人はいた。
テーブルには十数種類のケーキが並んでいる。
「でしょ?小雪殿と一緒に来たときに食べたんだけど、すごくおいしかったから、トロロ君の口にも合うかなって。」
紅茶をソーサーに戻し、ドロロはにこにこしながら、トロロがケーキを頬張る様子を見ていた。
「種類も豊富なんだけど何しろおいしくて、今トロロ君が食べてるチーズケーキはこの店の一番人気なんだよ。」
「へぇ。」
時々アイスティーを飲みながら、食べ続ける。
けれどもトロロは一度その手を休め、ドロロを見据えた。
「ねぇ、こんなに食べちゃって平気なノ?」
「うん。遠慮しないで。」
「お金とかサ。」
ずっと心配だったのだ。
あの小隊で活動していて、収入は安定しているのだろうかと。
「僕は小雪殿と2人で自給自足の生活を目指してるから・・・もらったお給料はほとんど貯金なんだ。親も現役で働いてるしね。」
「なるほどネ。しっかりしてるわけだヨ。」
ニヤニヤ笑いながらフォークを動かし始めたトロロに苦笑し、ドロロは更にオーダーをし、ケーキを追加した。
トロロにとってはこの程度のケーキ、どうってことはない。
ドロロも何気によく食べる。
胃袋まで変化させられるのだろうか?・・・まさかネ。
そうして時々、小隊の話をしながら笑いあった。
「お客さん、少なくなったね。」
日が暮れてきた頃、店の中は人が少なくなり、外には買い物をする主婦たちが多くなっていた。
この喫茶店から帰っていく人達は、2人の前に並べてあるケーキの量とお皿の量に驚きながら会計をしていく。
時々、頬を染めながら「男の子よね?」などと囁きあっている人達もいた。
確かにドロロは美形だ。
「ねぇドロロ・・・」
「何?」
上品にタルトを食べていたドロロは、トロロの呼び声に顔を上げた。
「ドロロってサ、美形だよネ。」
「・・・そう?よく言われるけど。」
「曹長が惚れるのも分かる気がするヨ。」
途端に、ドロロが顔を赤くする。
「え、そ、そうかな・・・」
「秘訣とか、あるノ?」
「う~ん、無いかな。昔から童顔とか女顔とか言われてたからね・・・母上の遺伝が強かったんじゃないかな?」
良いとも悪いとも言わず、ドロロは少し恥ずかしげに首をかしげた。
「ふ~ん・・・そうそう、曹長とはラブラブなわけ?」
「そそそ、そんなこと無いよ!!・・・多分・・・」
それは肯定という意味だ。
そう捉えたトロロは、面白くなかった。
クルルに近づけるということが、とても羨ましく感じたのだ。
「ま、良いよ。曹長から直接聞くしネ。」
「えぇ!?」
「冗談だって。」
笑いあう二人を、喫茶店にいた女子たちは、顔を赤くしながら見つめていた。
「さ、あと3つだよ。暗くなる前に食べ終わっちゃおう。」
「任せといてヨ。」
タママほどではないものの、トロロも十分なほどの食欲を持っていた。
そうして更に3,40分後、テーブルの上のケーキは全て無くなり、周りにいた人達からは感嘆の声が聞こえた。
「ごちそうさまでした。っと。」
「ごちそうさま~~。」
最後にお茶を飲み、2人は立ち上がった。
レジで会計を済ます。
ドロロの財布からはすごい現金が飛び出したのだが、トロロはあえて見ないようにした。
「ありがと。おいしかったヨ。」
「うん、僕も。気分転換にはなった?」
なるほど、彼は自分のことを気遣ってここへきてくれたのか。
トロロは感謝の気持ちを素直にあらわすことが出来ず、仕方なく俯いた。
「うん・・・なったヨ。」
「よかった。」
嬉しそうな声に、トロロも安心する。
「じゃあ、帰ろっか。ガルル中尉は絶対に日向家にいるよ。」
「・・・うん。」
少しだけためらいがちに頷くと、ドロロはトロロの手をとり、その手を繋いで先を歩き始めた。


日向家のチャイムが再び鳴る。
夏美が対応すると、玄関から聞きなれた声が聞こえてきた。
「ほらな。帰ってきただろ。」
クルルが笑いながら言うと、ガルルは慌てて立ち上がった。
すでにタルルとタママも日向家へと集まっていた。
「お邪魔します。トロロ君をお返しに来ました。」
私服で微笑むドロロに、ガルルは思わず目を見張った。
「これはドロロ兵長、誰かと思いましたよ・・・」
クスクスと笑うドロロの後ろから、トロロが様子を伺う。
「ゼロ、ロ」
「いらっしゃい、ゾルル君。」
ゾルルにも微笑むと、ドロロは後ろのトロロを前へ出るように促した。
気まずそうな表情で一歩前へと出て、ガルルと対面する。
「トロロ、私が悪かった。つい大人気ないことをしてしまったな・・・許してくれ。」
「別に良いけどサ・・・ボクも、ちょっとは悪かったと思ってるヨ。」
その言葉にホッとしたガルルは、プルルやタルル、ゾルルと顔を見合わせて微笑んだ。
「ありがとう、ドロロ君。協力に感謝する。」
「いいえ、楽しかったですから。」
「?楽しい?」
ガルルの横から、クルルがひょいと現れた。
「クックック~、やってくれんじゃねえかよ、こっちはどんだけ待ってたと思ってんだ?」
「ごめんね。でもトロロ君の気分も晴れたことだし、許してね。」
「プププ、嫉妬~~?ボクがドロロとデートしてきちゃったからぁ?大人げないヨ。」
「黙れガキ。」
ガルルが「あっ!」と良い、トロロを見たが、トロロは特に気にした様子も無く、笑っている。
ドロロはその後ろで微笑んでいた。
「ドロロ、今日はありがとネ。」
ようやく言えたその言葉と共に、トロロはドロロの手をとってキスをする。
クルルの神経が切れた音がした。
「このクソガキがぁーーー!!」
トロロを抱え上げ、乗船準備をしているガルルへと放り投げる。
「ププ!?ちょっと酷くない!!?」
そんな様子を見て、ドロロは思っていた。
クルルはどうしてこんなときには、人を投げるような力が出せるのだろうか、と。


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あぁ、楽しいww
こういうほのぼのな感じの話を書くのが一番好きですww
なかなか描くのが難しいんですけどね;
ついついシリアスに走りたくなる。
最初に書いていたのは、途中でいろいろあって消えました・・・(泣
約3000文字が・・・(愕
私の馬鹿!!
最初を思い出して書き進めたので、少し何かが間違っているかもしれません;そんなことがあったら・・・
とりあえずごめんなさい。

トロロが好きだ!!
そして大人気ない大人も好きだ!!

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