小指ほどの鉛筆

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293.そんな顔するなんて珍しいね(シャ大)

2010年01月01日 18時47分37秒 | ☆小説倉庫(↓達)
好きだから。
愛しているから。
それは誰よりも強い想いだから。
だから
だから
だから

どうか

離れてはいかないで。


「シャイン?」
コーヒーブレイクを終えて、食器でも洗おうかと立ち上がった矢先。
微かな抵抗を感じて、大佐は振り返った。
「どうしたの?」
シャツを掴む手。
力は、必要以上に強かった。
「後でいいっしょ?家事なんて。」
「え?まぁ、そうだけど・・・」
「じゃあ、座れよ。」
強制を含んだ強い言葉。
滅多に見せない、シャイン自身の本性を垣間見た気がした。
それでもまだ状況が飲み込めていない自分に、大佐は焦る。
怖いのかもしれない。彼に従うのが。
従わずとも従わされるのが、この場合の常なのだが。
「聞いてるか?座れって。」
シャツの裾を掴んでいたシャインの手は、大佐の手首を掴み直す。
大佐も抵抗する必要もなかったものだから、そのまま呆然としていた。
強い力で引き寄せられる。
普段はこんな力を、どこに隠しているのだろう。
「大佐。」
不自然な状況で引き寄せられたものだから、大佐はシャインの上に圧し掛かるようにして倒れる。
するとシャインは満足そうに、その肢体を抱き締めた。
いつもと違う。
それは立ち上がるまで気が付かなかった、いや、それまで彼の心にすら存在しなかったのかもしれない。
「なぁ、なぁ、大佐は、俺のこと、好きか?」
「・・・うん。」
「愛してる?」
「うん。」
「本当に?」
「うん。」
変な体勢が災いして、関節が痛い。
仕方無しに、大佐はその身体をシャインにぐっと近づけて、自らその腕の中へと収まった。
大分楽だ。
「大佐、自分からは言ってくれねぇじゃん。」
ギュッと、強く強く抱き締められて、やっぱり痛い。
痛いくらい、愛されている。
それはやっぱり、少しだけ怖かった。
「大佐ぁ・・・」
甘えるように首筋にキスをされて、思わず縮こまる。
そんな大佐が愛おしくてたまらないと、シャインは思う。
離したくない、放したくない、離れないで。
「好きって、言ってくれねぇの?」
「・・・・・す、き。」
しどろもどろな告白も、なかなか可愛い。
「可愛い。もっと。」
「何?どうしたの?」
言いたくないから、話題を変える。
逃げるのは得意なつもりだったけれども・・・この腕からは、簡単には逃げられそうに無い。
「いいから、言ってよ。もっと。」
「良くない。」
「いいじゃんか。どうでも。そんなこと、大事じゃない。」
なら、彼にとって大事なこととは何だ?
よく分からない。
価値観が違うから。
この腕からすり抜けるのが、そんなにいけないことなの?
一緒にいることが、そんなに大事なの?
そうじゃないでしょう?
大事なのは、そこじゃない。
・・・
あぁ、そうか。
だからこそ、彼は聞きたいのか。
同じことを思うから、この口から出た言葉が欲しいのか。
「・・・好き、だよ。好き。愛してる・・・」
離れていたって、想い合っていられることが大事だから。
「俺も。好き。大好き。愛してる。」

「僕だって。」

愛しているよ、
でも、少しだけ、怖いよ。
狂気の愛しか知らないから、その本気の愛が、少しだけ、

ほんの少しだけ、毒を含んだワインのようで。





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