小指ほどの鉛筆

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1 だから私は貴方が嫌いなんですよ。 (大ガル)

2007年10月01日 17時26分09秒 | ☆小説倉庫(↓達)
「大佐!!またケロロ小隊を甘やかしましたね!?」
自動のドアが開き、上官である大佐に大股で近づいてくるのはガルル。
「何を言っているんだ。正しい決定だろう?」
「ほぅ、地球でのあの怠け具合を見てもなおそんなことを言っているんですか。」
ガルルの額に薄らと青筋が浮かんだ。
「彼らは彼らなりに上手くやっているよ。これで我が同盟国になればもっと良いのだがね。それより・・・ガルル中尉!ノックもなしに入ってくるとは何事だ!!私は仮にも上官だぞ!」
「鍵もかけずにわざわざ私が入りやすいようにしておいたのは何所の誰です?」
「たまたま開いていたのだろう?そんな意図的なことはしていない。」
「じゃあそのいかにもな二人分のコーヒーはいったいなんです。」
「・・・客がね。いや~、大佐っていうのも大変だよ~~。」
「大佐、自分が不利になったときに限って地位を利用するのは止めてください。」
「・・・。」
大佐は気まずい顔でコーヒーをすする。
その子供じみた様子に、ガルルも溜息をつかずにはいられなかった。
「そもそも仮にも上官って・・・仮にもなんですか?」
「君は私のことを上官だと認めてくれているのかい?」
「・・・微妙なところですね・・・。」
「酷いな。」
「自分が聞いたんでしょうが。」
大佐とガルルは親しい仲だ。
若い所為もあり年長者の一部には嫌われているが、ガルルに見せる表情を除けば、皆から慕われる良い上官だった。
「で・・・私が来ることが分かっていたのでしょう?」
「・・・実を言えばな。」
「もうちょっと上官らしくしてください。」
大佐はガルルと話すときは護衛を部屋に入らせない。
プライベートらしいのだが、自分が上官である以上、ガルルは部下なのだ。
「私があなたを暗殺しようとしているかもしれませんよ?」
「ありえんな。」
「大佐に無礼な口をきくようになるかも知れませんし。」
「別に構わん。」
「・・・もういいです。あなたなんて大嫌いです。顔も見たくありません。」
ガルルが部屋から出て行こうとするので、大佐は大急ぎでそれを止めた。
「ちょ、もう帰るのか?」
「私はケロロ小隊を甘やかせないようにと言いに来ただけです。それ以上の何も話すことはありません。」
ガルルは任務に私情を挟まない。
弟であっても、幼馴染であっても、恋人であっても、それは変わらない。
「冷たいじゃないかガルル。」
「・・・いいですか?」
馴れ馴れしく話しかけてくる大佐に、ガルルはとうとう後ろを向いた。
「あなたは大佐。私は中尉。どっちが立場が上ですか?」
「そりゃぁ大佐だろう。」
「分かってるじゃないですか。では。」
「ちょちょちょ、待て!だからなんだ!?」
今度は盛大に溜息をついたが、振り向きはしない。
「・・・あえて言うなら・・・ロミオとジュリエットですね。」
「ロミオ?ジュリエット?」
「地球の文学で、身分が違う二人の男女の恋物語です。決して報われない恋ですよ。」
今度は大佐が黙り込んだ。
こういう話に関してはよく考える人だ。
ガルルは今のうちにと歩き始めたが、自動ドアのセンサーまであと一歩のところでまた呼び止められた。
「ガルル!」
「・・・なんです?」
思いっきり嫌な顔を作って振り向く。
「ロミオとジュリエット・・・結局結ばれたのか?」
「・・・いいえ。」
「ハッピーエンドで終わらないのか??」
驚いた様子で食いついてくる。
(失敗した)とガルルは思った。
「二人とも死んでしまうんです。」
「死・・・それは本当か?」
「えぇ。」
大佐はまた考え込む。
「・・・」
「ガルル。」
「はい?」
もういい加減うんざりしてきてはいたが、とりあえず話は聞いてく事にした。
【仮にも】上官だ。
「私と君がロミオとジュリエットというのは・・・どういうことだ?」
今度はガルルが驚いた顔をした。
いや、おどろいたというよりは、キョトンとした顔というべきか。
「報われない恋なのか?大佐と中尉は、普通に話すことも出来ないのか?」
「いや・・・そういうわけじゃ・・・。」
「君に恋をしたら、私は死んでしまうのか?」
「え・・・?」
自分の耳を疑った。
(今、何と言った?)
「大佐、今何と?」
「君に恋をした私にはもう、命がないのか?」
「私に・・・恋?」
その意味をよく考える。
だがいくら考えても、意味は一つしか思いつかなかった。
「大佐が私に恋をしていると・・・?」
「いけないかな?」
「いけないというか、なんというか・・・貴方正気ですか?」
「当たり前だろう。」
ガルルはめまいを感じたような気がした。
「ロミオとジュリエットというのは例えで、大佐と私はあまり馴れ馴れしく出来るものではないという事を言いたかったのですが・・・。」
(それに私には・・・)
「分かっている。だが私はそう考えてしまったんだ。君がいたからな・・・。」
「私は・・・ゾルルが、」
「ゾルル兵長との恋仲は知っている。なんでゾルル兵長は大丈夫なのに私はダメなんだ・・・?」
そう言われると悩んでしまう。確かにそうなのだから。
「だがロミオとジュリエットか・・・いいことを知った。」
「はぁ・・・?」
「退屈しのぎになったよ。ありがとう。」
真剣な顔つきから一変。
いきなりにっこりと笑った大佐に、ガルルも拍子抜けしてしまった。
「私はロミオか?それともジュリエットか?」
「立場から行くとジュリエットですね。」
「そうなのか・・・じゃあ今度からガルル、君はロミオだ!」
大佐はビシッと指を指した。
「・・・わけわかりません・・・。」
「じゃ、そういうことだ。私はこれから会議があるんでね。帰った帰った。」
「・・・・・・だから私は貴方が嫌いなんですよ。」
ポツリと呟いたガルルの一言を、大佐はちゃんと聞いていた。
「嫌い?」
「自分が引きとめたくせに、気まずくなるとすぐに帰れですか?普段は馴れ馴れしいくせに、不利になると上官気取りですか?」
「ガルル?」
あからさまに不機嫌になったガルルを、大佐は心配そうに見つめた。
「・・・言われなくとも帰りますよ。」
一歩踏み出しただけでドアは開いた。
大佐が止める暇などは無かった。
「・・・ガルル・・・。」


飄々としているくせに、貴方はずるいです。
私が想いを押し殺しているというのに、貴方はそんなに簡単に・・・。
本当は笑いあいたい。
普通に話したいとも思うんですよ?
だから貴方が仕掛けた罠にはまってあげているのに、帰った帰ったとは何ですか。
でもきっと私は・・・
また貴方の誘いに乗ってしまうことでしょう。
友達くらいにはなれるでしょうか?
そうなることが出来たのなら、ロミオとジュリエットのように死ぬことはないでしょうから。
貴方を大事に思っているからこそですよ。
上官として、そして・・・私情を挟むようですが、個人としても。

貴方の想いには応えません。
しかし、特別大切に扱うことくらいは・・・許してもらえることでしょう。


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前々から書いてみたかった大ガル小説。
大佐の性格がつかめねぇ!!
ついでに言ってしまえば、見た目の設定すらも決まってねぇ!!
衝動と勢いで書いた小説・・・ですが・・・、新鮮な気持ちで読んでいただけたら嬉しいです。

では、台詞お題一つ目でした。


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