小指ほどの鉛筆

日記が主になってきた小説ブログサイト。ケロロ二次創作が多数あります。今は創作とars寄り。

316.もしかしてもしかすると…(グラシャ(シャイン女体化))1

2011年01月03日 20時05分00秒 | ☆小説倉庫(↓達)
[軍内ファッションコンテスト]
そんなタイトルがでかでかと書かれたビラを受け取ったのは、コーヒーを買いにふらりと食堂まで行った時のこと。
何かのサークルのような、けれども軍にそんな集団は無いから、きっと誰かの思いつきに振り回された一般兵なのだろうが、彼らが無差別に配っていたものだった。
コーヒーを飲みながら、シャインはそのビラに目を通す。
日時や時間は書かれていない。代わりに、[当日軍内全域にて放送告知有]の文字。
要するに、募集広告も兼ねているわけだ。
「集まらねぇだろ、こりゃ。」
大佐のいる執務室へと向かいながら、発案者の意図を探る。
ファッションというのは、軍服の着こなし方でもいいし、普段着でもいいという、実にざっくばらんなものだった。
わざわざ立候補する女性がいるとは思えない。完璧にイベント選択ミスだ。
もちろん開催を喜ぶ人はいるだろう。女性だって男性だって、観客はいることと思うのだ。
ただし、モデルがいない。
「大佐ぁ。」
シャインは一つの話題として、そのビラを持ったまま執務室へと入った。
大佐は一枚の紙と向かい合っていたが、シャインが来たのを見ると、すぐに顔を上げる。
珍しいその様子に、シャインは嬉々としてデスク付近まで寄った。
「おっはよっ。」
「おはよう。」
嬉しそうなシャインの様子に、大佐は少し精神的距離をおいてから、デスクの上の一枚の紙を差し出す。
それはまさしく、シャインが今の今まで考えていた、あのファッションコンテストのビラだった。
それを大佐がもっているのは意外だ。受け取るような理由がない。
「お。それさっき俺ももらったぜ?」
「そう。手当たり次第に配っているみたいだよ。」
「必死だなぁ・・・誰が開催すんだ?」
シャインの疑問に、大佐がため息をついた。
嫌な予感が、シャインの脳裏を横切る。
「少なくとも、僕よりはちょっと立場が上の人間かな。道楽だよ。」
最近中型船での指揮から、本部に戻ってきたとのことで。
その指揮官は少々、疲れていた。
「ただのドスケベともいえるけどね。」
「はは・・・んで、大佐もこれ配られたのか?」
力なく首を振る大佐。
「直々にもらっちゃってね・・・ほぼ強制的に、モデルが欲しいって。」
更に大きなため息。
大佐に女性の知り合いは少ない。
それに、そんな話を切り出せそうな知り合いなんて、ほとんどゼロに近かった。
「プルル看護長は忙しいし、ユララちゃんに頼むには酷だしね。」
「つかその前に、ジララが許さねぇだろ。」
「本当、過保護なんだから・・・」
どうしようかと考えている大佐の、その長い睫毛を、シャインは上から見ていた。
以前クルルの発送ミスで、性別転換銃が送られてきたことがあった。
それを受けた大佐は、並みのコンテストなんて目じゃないほど、美人だった記憶がある。
「困ったなぁ・・・」
断わるに断れない相手からの無茶な要望に、大佐は心底困っていた。
「失礼しまーす。」
そんなとき、執務室のドアが開く。
「おぉ、ガキもいんのか。ちょっと邪魔すんぞ。」
入ってきたのは、グララだった。
「おはようございます。」
「おはよー。突然で悪ぃけど、アサシンの名簿借りてぇんだわ。鍵あるか?」
「えぇ。手続きが少し面倒ですが、急ぎですか?」
「いや、いつでもいいんだけどよ。まぁ、今週中に貰えればありがてぇな。」
「わかりました。」
カチカチと片手でキータッチする様子は、様になっている。流石は大佐。
「悪ぃな。大したことしねぇんだけどよ・・・」
そこでグララは、大佐の手元にあったあのビラをチラリと見た。
そうして、苦笑する。
「あぁ、やっぱ大佐もこれ押し付けられたか・・・」
「やっぱり、というと?」
「俺も、アサシンの可愛い子でも女装させて出せって言われたんだわ。無茶言うよなぁ?」
肩を上げて、同情を求める。
大佐はクスリと笑った。
アサシンには美人が多い。ドロロ、基ゼロロ兵長はその最たる例で。
彼は幾度も女装して敵陣に潜入させられたり、それこそイベントでのメイド給仕などをさせられていたこともある。
危うく本業を逸した活動になりかけたところを、X部隊に配属されてからはそんな活動もなくなって、今となっては笑い話だ。
けれども、今でもそういった活動をさせられるというのは決してただのネタではない。
軍として少々外れた位置に属してしまうアサシンという組織を、あくまでも軍の一部隊なのだと明確にする意図もあるのだ。
その点少々笑えない状況になることもあるが、ゼロロなどは比較的友好的に請け負ってくれた。ありがたいことだ。
「もしかして、それで名簿を?」
「んー、まぁ、それも半分。普通に訓練でも使うんだけどよ。」
―ガチャ
またしても扉が開く音がした。
「グララはいるか!」
そして、少し焦った様子のジララ。
その後ろからは、ジララをなだめるように続くガルルとゾルル、カゲゲの姿。
「落ち着け落ち着け。」
「そうですよ。まだ明確なメンバーだって決まっていないんですから・・・」
「任務なら・・・仕方、ない。」
ぞろぞろと入ってくるメンバーに、大佐は呆れたように頬杖をついた。
いったいいつから、ここは彼等の集合場所になったのだ。
「グララ!」
一気にグララまで詰め寄ったジララは、バッと一枚の紙を突きだす。
「なんなんだこれは!!」
そこには、先ほどから話題になっているコンテストのビラ。しかし、赤いペンでこう付け加えられていた。
[アサシンから数名犠牲者有]
少し止め跳ねが強調された文字。この形からグララを割り出したジララも凄いが、どこからこんなにギャラリーがついてきたのだろうか。
「そう怒るなよジララ。俺だって本当は、可愛いアサシンの中からこんなイベントごときに差し出す犠牲者なんて出したくねぇんだぜ?」
「アサシンからこんなふざけたイベントに人員を割くのは論外だ!それに、犠牲者という書き方が気にくわない!!」
「いや、本当に嫌な奴は逃げればいいと思ってな・・・」
「実際15人は逃げ出した。」
「マジか。」
任務を控えたアサシンが15人も逃げ出した事態に、ジララは怒っていた。
今後の活動とメンタル面でのケアをどうしてくれる。
「ゾルちゃんとカゲちゃんは逃げ出さねぇのな。一番危ねぇかもしんねーのに。」
グララがジララをなだめつつ、背後の二人に声をかける。
カゲゲは肩をすくめただけだった。
一方ゾルルは、重く口を開いた。
「任務、なら。」
「別に任務じゃねぇよ。ただの、どっかのオヤジの思いつきだ。」
大佐と目を合わせて苦笑したグララも、心底悩んでいた。
「ただ、強制されてんだよ。誰か可愛い子差し出せーってな。」
「それはまた。」
「な、大佐。」
大佐は頬杖をついていた手を組み、改まった様子で全員を見回した。
グララはもう何も言わない。
「僕、思ったんだけど・・・」
そして大佐は、シャインが言おうとしたがあえて言わなかったことを、あえて言いのけた。
「クルル君に性別逆転銃借りてこよっか。」
「「「!?」」」
ジララ、ガルル、シャインが驚愕する。
カゲゲとゾルルは何の事だか分からず首をひねり、グララは興味ありげに大佐を見た。
「だって大佐、あれもう二度と嫌だって・・・」
「確かに大佐が出場すれば優勝は間違いないでしょうけど・・・」
「お前が犠牲になることはない。考え直せ。」
口々に大佐の心配をする三人に、大佐はにやりと笑う。
「誰も僕がやるなんて言ってないけど。」
「「「ぇ」」」
「つまり、誰か犠牲になれっつってんだな?」
グララがそう言うと、三人は一気に大佐から離れた。
大佐は逃げようとするガルルやジララを捕らえるかのように、一言放つ。
「じゃんけんでもしよっか。」
腕を組んだ大佐は、見物する気満々だった。
そんな様子を咎めることもできず、他のメンバーはオロオロする。
「クルル君に連絡するね。」
大佐がクルルに事のあらましを伝えている間、グララはジララに耳打ちする。
「マジでやんのか?」
「アイツはいつだって本気だ。」
「性質悪ぃな。」
「あぁ。」
「どちらにせよ、アサシンからも3人くらいは選出すんだけどな。」
「結局か。」
「女装の方がまだマシだと思わねぇか?」
「・・・そうかもしれない。」
通信を切った大佐が、数秒待つ。
するとすぐに荷物が届いた。
「郵便事情が良いって素晴らしいね!」
「大佐、前のことまだ根に持ってんだろ・・・」
シャインの言葉に大佐はなんのことか分からないと首をひねるが、その様子さえ、確信犯に見えた。
「さて、じゃんけんしよう!」
「え、えー・・・」
「じゃあ僕がランダムに撃っちゃっていい?」
銃を構える大佐。
サッと避けるアサシン組。
しかし標的が完璧にシャインで、全員胸をなでおろした。
「ちょちょ、なんで俺!?俺は男として大佐と恋愛したい!!」
「そんなこと聞いてないよ。」
「じゃ、じゃんけんしよー!全員集合!!」
ぎゃーぎゃー騒ぐシャインを見て、グララが何やら思案顔をした。
大佐と目が合う。
「・・・グララ大尉は、どう思います?」
「モデルっつーと、現代っ子がいいよな。若く『見える』子がいいと思う。」
「僕もそう思います。」
「あのおっさんエロいから、俺的には可愛い後輩を犠牲にはしたくねぇのが本音。」
そういうことかと睨んだシャインの視線を、グララはサラリとかわす。
シャインの視線が横へ移動している間に、大佐は引き金を引いた。
まばゆい光線が、空間を包んだ。
「あー、てがすべっちゃったー。」
「あららー、かわいそーに。」
大佐とグララの棒読みに、その場の他全員が冷や汗を流す。
「げほっ、けほっ、」
煙の中から咽ながら現れたのは、当たり前ながらシャイン。
しかし、
「・・・あんまり変わってないね。」
「身長は縮んだんじゃねぇか?」
「髪が長くなった気がするぞ。」
「全体的に縮んでるような気がします。」
全員の好奇の目にむくれ顔をしながら、シャインが立ち上がった。
ガルルと同じほどの身長が、カゲゲよりも高い程度。
「いやはや、お前女装でもいけたかもな。」
グララの発言に足を振り上げるが、頭まで届かない。悔しげな表情に、グララが楽しそうに笑った。
「でもこれ、見る人が見たらシャインってばれちゃいますね。」
「んだなー・・・ま、いんじゃね?女に変わりねぇし。」
「それもそうですね。」
大佐とグララの本気の企みに、シャインは怖くなった。
「大佐ひでぇ・・・」
「いいじゃないか。あんまり変わらないし。」
大佐の言うとおり、シャインの見た目は殆ど変らなかった。
体格が小さくなり、髪が少し伸びた程度。
「そっ。可愛いぜぇ?」
グララのニヤニヤとした目に、シャインはべーっと舌を出した。
けれども大佐を見て、少し照れたようにため息をつく。
「・・・ま、やるからには本気でやってやるけどよぉ・・・」
「ありがとう!君のそういうところ、僕好きだなぁ。」
「くそぉ、そう言われちゃ頑張るしか・・・っ」
弱みを握られたシャインは、もう何も抗議する気も起きず、小さく唸る。
「でも、俺だけじゃ足りねぇんだろ?他に誰連れてくんだよ。」
「アサシンからも数名出すんですよね?」
「あぁ。カゲちゃんやるかぁ?っと、ジララ睨むなって。」
ジララの殺気にたじろぎながら、グララは縮こまった。
決して冗談ではない。
カゲゲが出場すれば、随分と可愛い女の子の登場となるだろう。
バレる心配もまずない。
「出来ればお願いしたいんだけどなー。」
グララがジララに気を遣いながら、カゲゲに頼み込む。
カゲゲは一度だけジララを見てから、頷いた。
「仕方ない・・・今回だけなら。」
「ありがとー!さっすがカゲちゃん!!」
上司に頼まれては、断わるに断れない。
カゲゲはため息をついて、諦めたように肩を落とす。
そんなカゲゲの頭をなでなでしてから、グララは今度はゾルルを見た。
「ゾルちゃんはどーだぁ?」
「・・・任務、なら。」
「任務じゃねぇよ。お願いしてんだ。断わってもいいんだけどよ。」
ゾルルはガルルを見る。
ガルルの本音としては出場してほしくないところだが、それは結局本人が決めることだ。
今回は目のグララが企んだことでもないし、たしかに今、このメンバーの中で女装して出場できそうな人間は残りゾルルしかいない。
頼まれるのは必然だったし、それについてとやかく言う義理は、自分にはないのだった。
「好きにしろ。お前が決めればいい。」
その台詞に少々驚いてから、ゾルルはコクリと頷いた。
「なら、やって・・・やる。」
グララはジララの上司。上司の上司は自分の上司だ。
「おぉ!いい子達ばっかりだなぁ。」
嬉しそうにゾルルの頭も撫でて、グララはジララに向き直った。
頭を撫でられたゾルルは、あまり慣れないそれに少しだけ恥ずかしそうに俯く。
「お前というやつは全く・・・それで?こんなものか?」
「いや、できればもう一人欲しいなぁ。」
「僕もシャインだけじゃ満足してもらえそうにないかな。」
その台詞に後ずさるガルルとジララ。
嫌な予感しかしない。
「やっぱりジララにも出てほしいっつったら怒るか?」
ジララを勧誘しにかかったグララと、無言で銃をガルルに向ける大佐。
二人とも冷や汗交じりに断わる。当たり前だ。そんなサービスするつもりなんて、毛頭ない。
「嫌ですよ!私は絶対にやりませんから!!」
「俺も断る。他の奴を当たれ。」
その言葉に、大佐もグララもしゅんとなった。
仕方ない。他を当たるか。
「じゃあシャイン、他の子も誘ってくれる?君が言えば、やってくれる人がいるかも。」
「いいけどよー・・・このままか?」
シャインは女性のまま。
パッと見では一瞬気が付かないが、二度見すれば確実におかしいと気がつくレベルだ。
声も高い。胸は・・・微々たるものだったが。
「そう。君の知り合いたちなら、笑ってすみそうだし。」
「実際そうなのが悲しいんだけどよ・・・う・・・」
「お願いだよ。」
大佐に手を合わせて頼まれては、シャインに断わる理由はない。
「わかったわかった。んじゃあ・・・とりあえず服欲しいんだけど?あと俺だけ被害にあってるのが果てしなく不毛。ガルルには手ぇすべんねぇのかよ。」
ぐぎぎ・・・とガルルを見て、それからグララを見た。
「こいつも!はやしたてやがって!!」
「ははっ、悪かったっての・・・お前ならできるかなーってな。」
噛みつきそうな勢いのシャインに、グララは迷うことなく手を伸ばす。
そうして、カゲゲやゾルルにしたように、頭をポンポンと撫でた。
毒気が抜かれたようにグララを見上げるシャイン。
「お前もありがとなー。」
「お、おう・・・ん?いや、べつにお前に感謝されてもうれしくねぇし!!」
「あー、なんだようっせーなぁー。」
端から見ても、どうみても照れているようにしか見えないシャインと、面倒な妹を相手にするかのようなグララ。
ジララがハッとして大佐を見るが、大佐はそんなジララの視線に困ったように微笑むばかり。
どうでもいいのだろうか?いや、違う。
大佐の持った万年筆が少しだけ強く握られているのを、ジララは見逃してはいなかった。
「俺は服を探してこようか。」
「お!サンキュージララ。」
「例には及ばない。」
ジララが出ていくと、ゾルルとカゲゲのため息が、大きく空気を揺らした。
「・・・本当にやるんだな・・・」
「なんだ、カゲちゃんは可愛いんだから、気負うことねぇぞ?」
「いや、気負ってはいないんだが・・・」
「ゾルちゃんもよろしくなー。」
「あぁ。」
とりあえず自分は役目を終えた。
グララはホッとして、大佐に微笑みかける。
「これからですよ、グララ大尉。」
「まーな。でもよぉ、コーディネートはどうせジララがやるだろ?俺たちの役目はここまでだ。」
肩を解すような動きに、大佐は面白そうに笑う。
なんだかんだ言っても、世話好きな人だ。
頼まれたことを断れるだけの図々しさがあるはずなのに、どうして快く請け負ってしまうんだろうか。
今回の無茶な頼みごとだって、大切な後輩たちのために断ったってよかったのだ。
けれどもどうせ、あの上司の本部復帰祝いか何かのつもりだなのだろう。
理由はいつだってそんなことで。
だからお人好しだと言われるのだ。本人は否定するが。
「ジララを誘えなかったのは惜しかったですね。」
「断わるのは目に見えてただろ。でもよぉ、カゲちゃんは頑張るのに、アイツは逃げやがって。」
「勘弁してあげてください。ガルル君も、やりたくないもんね?」
大佐の問いかけに、ガルルはこくこくと頷く。ジララの気持ちは痛いほどわかるつもりだった。
「俺よりもジララの方が美人なのに・・・」
シャインの悔しそうな声も聞こえる。
それにしても、性別が変わるだけで随分と印象が違う。
声の高さが、いつもは重い落胆に聞こえる言葉を、拗ねた可愛いものに変えてしまう。
大佐はその様子を少し不満そうに見つめ、逆にグララは、楽しそうに見つめた。
「いやいや、お前は上出来だ。」
「まったくね。でも、もうちょっと見た目が変わった方が便利だったかな。」
「・・・お前ら、俺のこと見世物にする気満々だな。」
末恐ろしいと嘆く。
直後、服を探しに行ったジララが戻ってきた。
随分早いと大佐が驚くと、ジララは背後から大量の衣装が掛かったハンガーラックを転がしてくる。
「おいおい、こりゃすげぇな。」
「途中、服飾科の奴に会ってな。話をしたら、コンテスト用の仮衣装があるから持って行けと言われて・・・」
既に用意してあったということか。
「随分と用意周到だね。あの人、本気だよ。」
大佐が頭を抱える。
まぁ、本気でなければ、兵を女装させたり女体化させたりする努力も必要なかったのだが。
「でも良かったじゃねぇか。これでさっさと決めるもん決められるぞ。」
「・・・それもそうですね。じゃあ、とりあえずシャインは着替えようか。」
「りょーかい。」
執務室の隅に置いてあったついたてを適当に立て、その裏でジララの差し出した軍服に着替える。
サイズがぴったりだったことが、逆に不安だった。
「着替えたけどよー・・・」
数分後、ひょっこりと裏から出てきたシャインに、大佐は目を細めた。
「どうして女性ものなんだい?」
それは、ジララに向けて問われた質問。
「?女なら、女物でいいだろう。」
「いや、確かに今は女性かもしれないけど、シャインにも一応プライドはあると思うんだ。」
「一応ってなんだよ大佐・・・それくらいはあるっての。」
ジララはなおも首をかしげる。
「軍服は体格に合わせて作ってある。女性は女性用のものを着た方が綺麗に着こなせるだろう。丈や細さも調節してあるんだからな。」
「そんな知識はどうでもいいし!」
シャインが嘆く。
「でも、渡されたものをとりあえず着てみる君も君だよね。」
「・・・案外似合うかと思って。」
「やっぱりプライドないんじゃないの?」
「あるしっ!」
プリーツのついたスカートが、シャインが動作するたびに揺れる。
「・・・なぁ、聞いちゃいけないこと聞いてもいいか?」
ジッとシャインの足元辺りを見ていたグララが、小声でジララにそう問いかけた。
周囲がシャインに注目している間のことだ。
「それなら聞くな。」
「いや、超気になるんだよ。」
「・・・なんだ。」
グララは少しだけジララに近寄って、シャインを見ながら言葉を選ぶ。
いや、選ぶ必要なんてないほど、簡潔な問いなのだが。
「えっとよぉ・・・下着ってどうしてんだ?あれ。」
シャインはニーソックスを履いている。
ズボンではないのだ。そこが問題である。
ジララがグララを見る。
グララは、自分が怒られたら理不尽だ、とまで考えていた。
ところが、予想外の返答が返ってくる。
「当然渡したが?」
「・・・え。女性ものを?」
「当たり前だろう。他に何を渡すんだ。」
「いや、待てよ。どっから持ってきたんだよそれは。」
「事情を話した時に、服飾科が必要なものはすべて用意してくれたぞ。」
「・・・お前もすげぇな・・・」
「何がだ?」
そして、それを渡されて躊躇わないシャインもすごい、と。
丸い目をして大佐に笑いかける横顔を見て、グララは本日一際大きなため息をついた。


______

あとがき。

続きます。多分。(ぇ

ここでのお題の意味は、もしかしてシャインはグララに○しちゃったの!?っていうことです。
最近はにょしゃいんが楽しすぎて仕方ない。
頭の中ではもうシャ大を大幅に無視したグラシャがいます。
ところで、最後の方の下着の話ですけど、女体化とか女装とかのパターンでは、いつもこれが気になって仕方なかったんです。
なので初めの方に回収しておきます。
これからは多分、ジララが買ってくるか自分で買ってくるかするんだと思う。
ちなみにサイズが分かっていたのは、ジララの素晴らしい眼力のおかげですよ。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。