小指ほどの鉛筆

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158.サングラス (グラジラ)2

2010年06月20日 14時16分01秒 | ☆小説倉庫(↓達)
注:前回に引き続き、オリキャラ「グララ」とジララのEROです。
  初っ端からです。


________



「じ、やってもらおうかな。」
「是。」
そう言った時のジララの目は、どちらかと言えば、任務のときのそれに似ていた。
グララはそれを少し残念に思うと同時に、ホッとした。
脱走兵として軍を出たと聞いたときは、本気で心配したが。
「んじゃあ、咥えて。」
そう言う自分も、まるで教官のようだ。
昔を思い出せば、やはり同じ場面にジララがいる。
一目見て、まず顔に惚れ込んだ。
落ち着いた声が耳に届くと、嬉しかった。
彼の読んでいた本は、詩集だった。
「キツそうだが・・・」
「お前の口でイきたいんだ。」
「・・・やはり、変態だと思う。」
そう言いつつも、ジララはその口にグララのものを咥えこむ。
咄嗟に達してしまいそうになるのを、グララはグッと堪えた。
ジララの口内が熱い。
舌での愛撫が愛おしい。
零れ始めた精液を吸い取る唇を見て、グララは限界を感じた。
「くっ・・・」
「んぐっ・・・ふはっ。」
「あ、飲んでくれんのな。」
舌から白い糸が伸びるのを見て、思わず口角が上がった。
「突然過ぎだったから、不可抗力だ。」
ベーっと舌を出したジララに、グララはクスクスと笑った。
「まだドキドキすっから、もう一度、やってくんねーか。」
ドキドキするのは本当だ。
それ以上にやましい思いは多々あるが。
「はあ?・・・まぁ・・・いいが・・・」
おどおどとし始めたジララの頭を下に押し付けて、グララはその項を見た。
襟足に隠れているが、なかなか綺麗だ。
「っはぁ・・・いいねぇ。上手いぞ。」
絡みつく舌の粘液が、熱を逃がすまいと纏わり付く。
ぐんぐんと反り立つそこのてっぺんから滴り落ちる雫を舐め取りながら、ジララは更に刺激を与えようと吸い付いた。
「あ・・・すげ、キモチイイわ。イっていいか?」
口を離そうとしたジララの頭を押さえつけ、不服そうな呻きに優しく声をかける。
「もちろん、飲んでくれるよな?」
強制に近かったが、ジララはそれに従った。
仕方無しに咥えなおし、グララの腰に手を添える。
―コクン。
小さく、飲み込む音がした。
喉の方まで差し込まれていたグララのものが抜かれると、ジララの舌からそれにまたがる白銀の糸が引かれた。
「上手いなぁ、お前。どこで習った。」
「・・・経験の差じゃないか?」
多分冗談だろう。
「なら、こっちの経験も衰えていないな?」
口を拭ったジララを、再びベッドに押し倒した。
「まだやるのか・・・」
「お前にコーフンしちまった。」
「・・・そういう理由なら、お断りだ。」
「まぁそう言うな。」
ジララは嫌そうな顔をしながらも、手を出そうとはしない。
一度信頼した先輩だ。そう簡単に呪縛は解けない。
「お礼にキモチよくしてやるから。」
「ほざけ。」
グララはジララのものを手中に収めると、くにくにと捏ね回す。
息を詰めたジララの首筋にキスマークをつけて、優越感に浸った。
「起ってきたな。」
「っ・・・」
「感じるか?」
答えないジララに苦笑して、グララはジララの先端を指で突いた。
身体が強張る。
「リラックスリラックス。」
「無理っ・・・だっ!!」
先を執拗に弄り、もう片方の手で擦りコく。
不機嫌そうな顔が、何かに耐えているのだと。そう知ったのはいつだったろうか。
「う、あっ・・・」
達したジララの白濁が、グララの指に絡みつく。
舌を出して舐めれば、愛しく懐かしい気がした。
「っはぁっ・・・」
「燃えてきたか?」
「何に。」
「ったく、つれねぇなぁ。」
グララは荒い息をするジララの口元に、自身の右手を差し出した。
「・・・なんだ。」
「舐めろって。切れんぞ。」
一瞬キョトンとして、それからジララは、激しく動揺した。
「・・・え。えぇ!?そこまでやるのか!?」
急に逃げ腰になったジララの肩を掴み、グララは目で訴える。
ここまできたらやらなくては。男が廃る。
最初とは違う熱に浮かされて、グララは「ほら。」と催促した。
「う・・・」
「観念しろ。な。」
ジララは一度目を瞑り、もう一度開けたときに、指を2本から3本ずつ咥えて濡らした。
時々見える舌がエロい。
「ん。いいぞ。んじゃあ・・・」
「ちょ、まて、本気でか?」
「優しくするっての。」
笑顔で言えば、逆に引かれた。
「そういう問題では・・・」
ごちゃごちゃと言われる前に、グララはジララの足を担いだ。
ジララの顔は上手く上がらない。
グララの顔がうまく見えず、いっそのこと、と、顔を背けた。
どれくらいぶりだろうか。彼にこうして抱かれるのは。
「準備はいいか。」
「聞くなっ」
グララは指を1本、まずはゆっくりと挿入した。
少し苦しそうだが、気を使うほどではない。
「慣らされてるか?」
「っ、馬鹿な。」
ありえないと言うジララを、グララは疑いの瞳で見た。
さて、誰にやられたのやら。
「2本目~」
まるで気にしていないかのような素振りで、グララは更にもう一本、指を追加する。
流石に2本目はキツイようで、苦しそうな顔が、逃げ場を求めて横を向いた。
完全に指が入ってしまうと、グララは2本開いたり閉じたりして、中を広げる。
「んあっ、あぁっ・・・」
声を最小限に抑えようとすればするほど、口は呼吸をすることを求めて開く。
伸ばした爪が折れんばかりにシーツを握り締めて、ジララはやはり、昔を思い出していた。
訓練での、彼の身体の熱さを。
自分を見る目を。
頭を撫でる手の優しさを。
「っっ!!?」
突然、電撃が走った。
身体がビクンと反応する。
「おっと、悪ぃ。前立腺だったか?」
「うぁっ、あっ・・・!!」
「おいおい、綺麗な爪が割れちまうぞ。」
強く強く、シーツを切り裂かんばかりに握り締めたジララの手を、グララは優しく絡めとった。
自分の手が貫かれようが、構わない。彼のつける傷なら・・・
しかしジララは、それを良しとはしなかった。
人を傷つけまいと、グララの手を逃げる。
自分はどうなろうと構わない。けれども・・・
その点、二人は非常に似ていたのだろう。
「はぁ・・・あぁっ!くっ・・・やめ・・・」
何度も何度も、ジララの嫌がるところを突いた。
嫌がってはいても、気持ちのいいことを知っている。
「お前は昔っから、この手の快感が苦手だな。」
あの頃も、ジララはこれを嫌がった。
まぁ、好き好む輩も、そういなかったが。
ジララは特に、嫌がったのだ。
普段は冷静で落ち着いた目を潤ませて、
まるで許しを請うかのように、幾度もこの名を呼んだ。
ただ、不機嫌そうに歪んだ眉だけは、相変わらず何かに耐えるかのように、その形を変えなかった。
最も、これが苦手だったために、ジララはグララの提示した合格基準を満たせず、何度も抱かれるハメになったのだが。
「いや、だっ・・・グララっ!!」
名前を呼ばれ、熱が上がる。
あの頃のジララも今のジララも、本質は変わらず、グララの愛しい人だった。
いい加減辛くなってきた自身を自分で一旦無駄射ちして、グララは溜息をついた。
「何が嫌だよ?」
お前も、なんだかんだ言って俺が好きだろう?と。
心の中で慢心して、グララは指を引き抜いた。
「キモチイイとは思わないのか。」
「はぁっ・・・はっ・・・思わない。」
「本っ当にお前って奴は・・・」
頭を抱えたグララを一瞥して、ジララは言う。
「失格だ。」
「は?」
呟くように、ジララの口が動いた。
「快楽に溺れたら、アサシン失格だ。」
「んなこと・・・あれ?それ、もしかして俺が言ったか?」
こくりと頷いたジララに、しまったと思った。
彼を頑なにしていたのは、他でもない、自分だったのだ。
「俺は、アサシンとしてお前を尊敬していた。アサシンじゃない今だって、そうだ。」
そのお前が、そう言った。
だからジララの中では、今でもその言葉が掟であり、忘れもしない、鎖なのだ。
「・・・それ、忘れてくんねぇか。」
「何故だ。別に、今も今も覚えていたって差し支えないだろう。」
ダメだ。あの頃の自分の言葉に重みがありすぎて。
あの頃の自分の方が、ずっとジララを拘束する力があって。
敵わない。
「今更こんな訓練をする必要は無い。そもそも俺は、あの頃もこういった仕事には縁が無かった。」
つまりは、今思えば、グララの自己満足だったのだろう。
ただしそれは別段、ジララのグララへの信頼を失う理由にはならなかった。
「だが、お前の部屋に行くのは、嫌いじゃなかったんだ。」
それがなぜかと聞かれれば、グララの期待にはそぐわない返答ではあったけれども、ジララはこう答えた。
「本があったからだ。」
「本・・・」
「いや、それだけじゃないが・・・少なくとも「その頃は」、俺の一番重要なことは、本を読むことだった。」
グララは昔を思い返し、確かにそうだったと頷いた。
いつも彼は、あの部屋に来ては本を読んでいた。
名前を呼ぶのも憚られるほどに集中して。
「・・・それなら、今はどうだ。」
真面目な顔をしたグララの目を、ジララはジッと見つめる。
今はどうだ。
今とは、この瞬間のことか?
それとも、彼が居なくなってから今までのことだろうか。
「もう慣れた。」
それは、先程よりもずっと、グララの望まない返答だった。
「そうか。」
苛立ちをぶつけるかのように、慣らしたジララの中に、自身を挿し入れる。
突然の行為に、ジララの肩が強張った。
「力抜いてくんねぇと、入んねぇぞ。」
「っ!っっ!!!」
少し時間を置いた所為だろうか。
思ったよりもキツイ。
「後ろからの方が良かったか。」
久々だから?
その割には、慣れすぎている。
「なぁ・・・俺がいない間、誰にヤられたんだ?」
「っ―!!なん、のこと・・・っだっ。」
グッと、更に深く圧し入れる。
思わず開いた口にを見て、おもむろに口付けた。
息が吸えず、苦しそうにもがくジララを、無理やり押し付けて。
舌が入り込んだ瞬間の、不機嫌な眉を忘れない。
「っはぁ・・・耐えるんじゃない。身を任せろ。」
「―!!っああっ・・・!!」
声を出すようになっただけ、いいのかもしれない。
「なぁ、おい。答えろよ。誰に同じことされた?」
頑なに答えようとはしない。
それはきっと、その相手が大事だからなのだ。
益々苛立ちが増す。
誰が、コイツの頭を占拠した?
「うあっ!あっく・・・あっあぁっ!!」
最奥まで辿り着いた時には、キツく締められていて、
グララはもう、耐えられなかった。
「―っ!!」
またしても、ジララの身体が大きく仰け反った。
自分の中に放たれた液体が、ぐるぐると犯す。
「はぁ・・・どーよ。キモチよくねぇ?」
「・・・」
昔の言葉なんて、どうでもいいから。
何か、応えてくれないか?
好きだ、好きだ、と叫んでも、彼はきっと、聞かぬフリをする。
けれども、断ってしまえばいい好意にさえ、そうして口を閉ざすのは、
嫌いじゃないからなのではないか?と。
淡い期待は、むしろ確信に近かった。
「ジララ。」
繋がったままで、抱き締めた。
好きだ。好きだ。
「本でも何でも、いくらだってやる。」
「?」
「お前の好きなだけ、本を読めばいい。」
だから・・・
「俺の傍に、居てくれないか。」
「・・・!!」
こうして真っ直ぐに告白したのは、初めてだったかもしれない。
タブーのような気がしていた。
ジララは驚いているだろう。
けれども、後悔はしない。
「さて、抜くか。」
「んあっ・・・」
腰を動かして、自ら繋がりを絶った。
白い液が、つられて流れ出てくる。
ジララはグララの肩に頭を置いて、動かなかった。
「ジーラーラー?どうした。疲れたか?」
「・・・俺は・・・」
「ん?」
「俺は、カゲゲが好きだ。自分が攻める立場として。」
一瞬、時間が止まった。
「それと、この間流れでガルルに襲われた。別にいいと言ったのは、俺だが。」
「は・・・?」
「シャインとは、前に数回。アイツは受けに回るのが嫌いだから、俺が倒された。」
ずっと喋ろうとしなかった経歴を、ジララは突然喋りだした。
グララは驚いたまま、その肩に手を乗せて引き離した。
確認をするかのように、目を見つめる。
「・・・お前は、それでよかったのか?」
「何のことは無い。やりつやられつだ。」
つまりは、お互い様。
大佐が彼らを連れてきた理由が、分かった気がした。
「そこに、俺の入る隙間はあるか。」
「すまないが、手一杯だ。」
声は少し切なそうに聞こえて。
きっと自分のことが好きだったろうと推測は、間違っていない。
けれどもやはり彼は、自分より相手を想うのだ。
快楽に溺れるなと、そう言った昔の自分が憎い。
アサシンとしては正当だったその教えは、今ではもう、必要もない。
ジララが欲に忠実であったなら、今ここで、自分を求めてくれたかもしれないのに。
そう思うと、なんだか妙に悔しかった。
「もぅ一つ、聞いてもいいか。」
「・・・なんだ。」
「お前は、俺が・・・好き『だった』か?」
ジララは俯いて、答えなかった。
実際、本人にも分からないのかもしれない。
先輩、後輩、それ以上の何も、彼は望まなかったし、自分も、何もしなかった。
感情は捨てろと、ジララはそう教えた。
それはグララを見てきたからだ。
彼の仮面を、見破ることが出来なかったからだ。
好きだったといっても、上司としてだろう。
そこに恋愛感情なんてなかった。
自分はカゲゲが好きだ、と。それが一番大きな心の内だったのかもしれない。
曖昧な感情なんて、伝えるまでも無いのだ。
「期待には、応えられない。」
「・・・そうか。」
グララは、二人の後輩に負けた。
好きだった後輩と、その後輩が好きになった後輩。
だが、もしかしたら・・・その心の内の、更に奥に自分がいるかもしれない。
何度もそう思った。
そして、結局自分は、ずっと浅い所にいたのだ。
「先輩、ねぇ。」
「憧れだけは、今でもある。」
「そうかい。」
だけ、か。
昔の彼は、他にどんな感情を持って、自分を見ていたのだろう。
「・・・薬は抜けたのか。」
「ん?あぁ、おかげでな。」
ジララは大きな溜息をついて、グララを退かした。
備え付けのシャワールームへと行って、ジララは丹念に身体を洗う。
そういえばあの頃、血にまみれた自分を、彼が必死に洗ってくれたことがあった。
さて、なぜあんなにも、大切にされていたのだろう。
アサシンとは、なんだ?
たっぷり20分は考えて、ジララはタオルを片手にシャワールームを出た。
「随分長かったんじゃねーか。」
「すまない。考え事をしていた。」
シャツを着て、髪を拭く。
その間にグララが入れ替わってシャワーを浴びる。
ジララは卓上に置いてあったワインボトルを手にとって、ジッと眺めた。
解かれたリボン。質の良いワイン。
誰かを、連想させた。
ジララは携帯を取り出し、躊躇い無くコールする。
―トゥルルルル・・・
長いコールの後、やっと声が返ってきた。
『はい。』
「大佐、聞きたいことがある。」
『・・・何?』
恐らく電話の向こうにある顔は、笑っているのだろう。
そんな、何かを期待するような声だった。
「グララに、ワインを渡したか。」
『うん。』
「何か入れたのか?」
大佐は、数秒の沈黙の後に応えた。
『何か入ってたの?』
「恐らく媚薬だろう。グララがあたった。」
『ふーん・・・アサシンだから、大丈夫だと思ったんだけど。免疫無くなってたかな。』
「やはり入れたのか。」
『シャインがね。』
「は?」
全く予想していなかった方向からの首謀者に、ジララは口を開けて呆けた。
『シャインに貰ったワインがなんか怪しかったから、彼にあげたんだ。アサシンなら大丈夫かなって。いくらなんでも毒は入っていないだろうからさ。』
「シャインが・・・ほぉ・・・」
『あ、怒ってる?ごめんね。悪気は・・・あったかもしれないけど、こんなつもりじゃなかったんだよ。』
こんなつもりとはどんなつもりだ。
「二人まとめて正座して待っていろ・・・」
『え、やだよ。ごめんってば。』
謝られて、次の言葉に詰まる。
自分はどうしてこうも、大佐に甘いのだろう。
溜息混じりに、その悪戯を許した。
通話を切ってから、ジララは次のところへと電話をかけた。
―♪~♪~~
『よぉ、どうした?』
「死ね。」
『え!?何で!?』
電話に出た社員は、友人の突然の怒りに戸惑った。
「大佐に薬入りのワインを渡しただろう。」
『あ、バレてた?やっぱり。』
「大佐はそれを、グララに渡していた。」
『マジか・・・』
驚いたというよりも、どこか残念そうに聞こえた。
「免疫が消えていて・・・グララに押し倒されただろうが。死んで詫びろ。」
半分以上が本気の怒りだ。
大佐に危ない物を渡したことに対しての怒りもあるだろうか。
そこのところはほおって置いて欲しいのだが。
『あー、でもさ、お前嫌いじゃないだろ?グラサンのこと。』
「グラサン?」
『あれ?知らねぇ?昔のあの人のあだ名。周りでは結構有名だったぜ。』
なんだそれは。
くだらない。
「はぁ・・・?」
『ま、いいからさ。嫌いじゃないだろ?って。』
「嫌いだったら、とっくに切り刻んでいる。」
『あ、うん。だろ?だったらさ、それはそれでいいじゃんか。』
「良くない。」
不機嫌を露にして、ジララはいつもより少しだけ声を荒げた。
シャインはそんなジララをなだめてから、言葉を続けた。
『俺も悪かった。でも、俺と大佐の間だけだったら、お前はそんなに怒らなかっただろう?』
確かにそうだ。
『それをお前にまで影響させたのは、大佐じゃんか。』
「・・・それもそうだな。」
あっけなく納得したジララに、シャインは素直だと笑った。
もちろん自分も悪いのだが、一番悪いのはこの場合大佐ではないか?
『それとさ・・・』
しかし、躊躇いがちに付け加えられた一言に、ジララは更に口調を荒げた。
『お前結構グラサン好きだろ。』
「あ゛!?」
『怒るなって!!だってそうだろ!?その感じだと、事後なんだろうし。』
ということは、グラサンは大きな抵抗を受けなかったのだろうし。
だからきっとジララは、彼が好きなのだろうな、と。
そう誤解したって、仕方が無い気がするのだが。
『お前が抵抗しなかったんだ。』
「したぞ?」
『本気で嫌なら、現役外れたグラサンに外傷の一つもつけられるだろ。』
「・・・」
『それがない上に、今のんびりと電話してんじゃ、そうも思うぜ?』
実際、どうなのだろうか。
否定し続けた想いを、今更思い起こすこともない。
彼に何も感じなかったといえば嘘になるかもしれないが、特別な思いだけは、本当になかったのだ。
だから、困った。
自分が分からない。
何をしたいのか、何を「されたかった」のか。
『余計なことも言ったけど、まぁ、悪かった。お前に飛び火するとは思わなかったからな。』
「・・・いや、もういい。」
一つ疑問を持ってしまうと、暫くはそのことしか考えられなくなるジララだ。
だからシャインは、この話題を長くもたせるつもりもなかった。
第一今は仕事中だし。
『じゃーな。』
電話を切ってから、ジララはベッドの縁に倒れこんだ。
まだ、ベッドの香りが消えない。
しかしそれが異常に安心する香りだと知って、ジララは目を閉じた。
昔もこうして、彼の部屋で眠った。
無償の安心と安全が、保障されていた。
実は対価として自分が差し出されていたわけだが、そんなこと、昔は知らなかった。
だから・・・
「落ち着くか?」
「!!」
突然上から聞こえた声に、飛び起きた。
勢い余って頭がぶつかる。
「痛ってぇ!!」
「~~!」
二人で頭を抑えて呻き、一足先に復活したジララが、立ち上がった。
「邪魔した。」
もうこの部屋からは出て行こう。
頭を混乱させる状況にこれ以上巻き込まれたくはない。
「待て。」
しかし、腕を掴まれて立ち止まった。
ドアまではあと2メートルほど。
微妙に遠い。
ジララは眉をしかめて、応じた。
「んな顔すんじゃねぇよ。」
「まだ何か用か。」
「落ち着くんだろ?」
何を根拠に。
「まだ居ればいいだろ。」
「生憎、まな板の上の魚にはなりたくないんだ。」
顔を見たくない。
ざわつく心臓を、掻きだしてしまいたくなる。
しかしそんなジララの想いを裏切るように、グララはその腕を放さない。
挙句、無理やり目を合わさせられた。
「不機嫌な顔してんな。」
何に耐えているのやら。
「俺の部屋で寝てるときのお前は、穏やかな顔してたぜ。」
「そうか。」
「せめて、認めてくれ。」
別に程の何かがあったわけではない。
事実は既に認めているし、他の事には根拠がない。
自分の全てを認めろと、そう言われても、暴君なだけなのに。
「・・・お前は先輩で、俺はその後輩だった。それだけだろう。」
視線を外すと、口付けられた。
深く深く、それはどう考えても、先輩後輩のすることではない。
どうして。
どうして彼は、こんなに自分に干渉するのだろう。
「俺はお前が好きだ。こんなことをしても、ただの先輩後輩だと言うのか?」
「・・・他に何が・・・」
「少なからず、好きだっただろう?俺はそれを知ってる。お前のことは、全部知っているつもりだ。」
勝手に知ったかぶらないでほしい。
「ジララ。」
再びキスを求められて、どうしてだか、恐ろしくなった。
何が?
彼が自分の先輩以上のなにかになってしまうことが、思いの他恐ろしかったのだ。
「ジララっ!!」
だから、思い切り腕を振り払って、ドアを開けた。
そして逃げるように走れば、誰もついてはこれない。

過去に恋焦がれて、好きだと思えば、自分はきっと、耐えられない。

彼の心地よい束縛も、詩を朗読する声も、

本当は何もかも、大好きだったのに。


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