人と生き物の時間

動物園の飼育員が体験する日々の出来事や動物の話題など。人や生き物の生活を様々な角度から綴ります。

大学受験

2007-01-23 00:40:23 | 家族にまつわる話
世間は受験シーズン真っ只中。特に受験生の親は気が気ではない日々を過ごされているかたも多いのではないか。というのも職場で大学受験の息子をもつ人の話をことあるごとに聞いているからだ。センター試験、偏差値(今でも使われているのだ!)、選択科目、などなど受験生の選択肢は広がったようにみえるが、受験システムそのものは私たちの時代(2世代前)と大差はない。親の心子知らず、子の心親知らず、とはよく言ったものだ。ちょっと私の育ての親(亡くなった祖父)のことが思い出される。今から思うと祖父は私が受験生の頃結構気を配りながらもきっぱりと私に言っていた。「大学には行け、ただし国立しかだめ、浪人するなら働け」と。そして私が大学を卒業するまで(70歳を過ぎていたが)私立高校の講師として生徒を教え、生計を支えてくれた。厳しい親だったが、それで私のような人間もなんとかもっているようなもの。感謝の言葉すら口にできなかった。
親も子もがんばってくださいな。春は必ずやって来る。

暖冬

2007-01-22 23:49:46 | みつばち日和
大寒も過ぎたというのに、この頃の好天続きには首をかしげたくなる。
菜の花は12月頃から咲いているし、フキノトウはとっくに開いている。ミツバチも天気の良い日中には飛び出していく。サザンカの花粉を運んでくるハチもいる。まだ気温は低いため、飛ぶハチの姿には勢いがない。飛んだ先で凍えてしまわないよう、すぐに戻ってきてくれたらよいのに。
天気の話題になると、ほとんどの人は「雪がないのは有難い」と言う。雪が降らなくて困るのはスキー場やウィンタースポーツ関係者と、雪国の養蜂家etc…

突然の雨

2006-07-17 00:04:12 | 家族にまつわる話
 今年85歳になる家のばあさんの日課は田んぼと畑に出ることだ。雨の日が多い最近は家にいることもある。昨日の午後雨の止み間にハチの世話をしていたら、ばあさんが自転車にのりいそいそと出かけていった。1時間後空が暗くなりぽつぽつ降り出すやいなやどしゃぶりになった。大慌てで巣箱の蓋を閉め、玄関に走った。バケツをひっくり返したような雨。
 しばらくしてばあさんがずぶ濡れで帰ってきた。車に乗った人がわざわざ降りてきてこれ使われ言うて傘くれたがやぜ、と言ってビニール傘を置き玄関から入ってきた。傘をさしても濡れるほどの雨だったが、よかった。親切な人はやはりいるものだ。なんとなく父と行ったアメリカでの事を思い出した。西部の田舎をドライブ中、地元の人に見ず知らずの日本人がある親切を受けた。御礼を申し出ると、礼はいいからあなたが受けた親切を別の機会に他の人に返してあげてください、といわれアメリカ人の親切心に感謝感激した。15年も前のことだが、私は見ず知らずの他人に親切を返してきていただろうか。

リンゴは一に排水二に防除

2006-04-26 18:06:34 | みつばち日和
今朝2ha程のリンゴ圃場の花粉交配用にミツバチを連れていった。この日圃場では殺菌剤散布が行われていた。その様子をミツバチの箱を載せた車から見ていたが、樹にすざましい霧状のシャワーを吹き付けているような感じであった。リンゴ栽培は一に排水二に防除と言われる。今日の開花直前の消毒はリンゴ園では普通の光景かもしれない。ミツバチがこのシャワーのなかに飛び込んでいかないことを祈って、圃場のへりの土手に3箱置く。リンゴの花はちらほら咲き始めている。今年は開花が一週間ほど遅いそうだ。5月には満開のリンゴの花にブンブン飛び回るミツバチの姿が見られることだろう。

アカアシガメのごはん時

2006-04-22 23:13:22 | Zooノート
 昨日園内で鳴いていたカエルはモリアオガエルではなくシュレーゲルアオガエルだった。春、山あいの水をはった田植え前の田んぼから聞こえるコロコロコロと虫のように鳴り響く声だ。モリアオガエルは5月過ぎのもう少し温かくなった頃から繁殖シーズンを迎え、鳴くようになる。鳴き声はよく似ているがよく聴くと違う。
 園内には春の野の草花が生い茂るようになった。動物たちが好きそうな草を時々摘んで与える。アカアシガメ用にはやわらかいタンポポの葉とハコベである。アカアシガメは南米の熱帯に棲むリクガメで、主として植物食、時々動物の死肉なども食べているらしい。動物園では小松菜を主に与えているが、バナナやオレンジなど香りのよい果物、動物用のソーセージや馬肉なども好む。餌に食いつく時に彼らは舌を出す。私はリクガメの舌のことがずっと気になっていた。彼らが物理的に摂食可能な範囲のもので食べる時に舌でみずみずしいものややわらかいもの、いい香りがするものを選んでいるように思うのだが、本当のところはどうなのだろう。

 

ミニピーターもうすぐデビュー

2006-04-22 00:06:49 | Zooノート
 3月19日生まれの仔ウサギたちはすでにラビットフードを食べ始めている。お母さんがガツガツ食べているそばで、時々ぴょこんと出てきては土鉢に入り込んでむさぼっている。歯が生えてきているのだ。母乳から普通の餌へ生理的には劇的変化だがミニピーターたちは順調に育っている。健康な証拠にお茶漬けのあられのようなウンコが母親のウンコに混じっている。
 あられといえば今日確かにザーッと降った。もう4月も下旬、こいのぼりが空を泳ぐ季節となっている。そういえば気の早いモリアオガエルが鳴いていた。まだ寒くないかな。

梨の開花

2006-04-21 01:08:33 | みつばち日和
 呉羽の梨畑では開花が始まった。丘陵一帯が白い花で埋め尽くされるのもまぢかだ。昨日の温かさで一気につぼみがほころんだようである。反対に桜の花はいっぺんに散ってしまったが。ミツバチの眼で環境を見始めるとと驚くべきことにしばしば出会うものだ。梨の花もまじまじと見るのは初めてだが、なかなか魅力的である。雄しべの花粉の色といったら今まで想像もできなかった。
 今日は10群のハチの世話をした。巣板はあふれるほどのハチで造巣も盛ん、巣枠を1枚ずつ足していった。ハチをゆっくり見ているとどんどん時間が経ち、最後の2箱を慌ててやったためか、指の付け根を2ヶ所刺された。昨日の1ヶ所もほぼ同じところを刺されたためか、私の右手は今グローブのようになりちゃんと握ることができない。

ボート久しぶり

2006-03-10 01:34:02 | Zooノート
 3ヶ月の冬季休園をいただいた動物園で開園直前の動物移動ラッシュが始まっている。今日も何種類かの動物を動かしたが、私の代番のアライグマを半年ぶりにアライグマ舎に移動させた。「ボート久しぶりだね、相変わらずかい。」ボートは愛称。ケージから出されると放飼場を小走りに動きにおいを嗅ぎまくり、時々おしりを擦りつけて臭い付けしている。私の長靴にもされた。お返しにボートの顔や首を撫で回した。ボートはいい子なのだが、実はあることで飼育員をてこずらせている。夕方寝室に入ってくれないのだ。寝室に閉じ込められるのをなぜかとても嫌がっている。部屋の奥の隅のほうに大好きな鶏頭やバナナなどを置きボートが入ってくれるまで扉のそばで待つ。入ったらすばやく扉を閉めれるよう心積もりをしている。だが‥ボートは腰を引いて後足を外へ出し思いっきり腕を伸ばして餌だけ取ろうと踏ん張っている。ボート、それでは餌を食べられないだろう、あきらめて素直に入ってくれ。

大工仕事

2006-03-07 23:30:52 | Zooノート
 晴天の日の休日、我が家での日曜大工は楽しみのひとつだろう。
 写真は民家の軒先ではなく、休園期間中の動物園の雑然とした光景である。
 飼育係の仕事はただ動物のお世話をしているだけ?と一般の方に思われているかもしれない。実は接客をしたり、ある時は子どもやお客さんの先生になったり、事務的仕事はもちろん、業者とのやりとり、大工仕事や左官屋さん、植栽の手入れ、園内の清掃などあらゆる仕事がある。まさしくZoo Keeperである。Zoo(動物園)を一軒の家例えるなら主婦(夫)か家政婦的な仕事ともいえる。飼育係は子どもやある人にとってあこがれの職業だろうが、ただ動物好きなだけではたいへんつらい仕事になるかもしれない。
 脅しのようなことを書いてしまったが、今私はちょっとつらい。山積みになった飼育小屋を手直しして、開園まであと一週間足らずの間にこれらのケージに動物たちを収容しておかなければいけないのだ。ぽかぽか陽気のなかトンカン、ギシギシ響く音は動物たちにどう聞こえているのだろうか。

みつばちさんお帰り

2006-02-28 01:43:10 | みつばち日和
 25日に行った給餌作業の後で2つの巣箱のうちの1つからハチがたくさん飛び出してきた。巣門から出たハチたちが巣箱の周りをブンブン飛んでいる。3時ごろ飛んでいるハチは少なくなったが巣箱にかけた保温用の毛布の上や周囲にハチが点々と、ところどころ群がってとまっている。明るい陽射しに誘われて飛び出したが、寒さで動けなくなっているのだ。もうひとつの巣箱では飛んでいるハチも仮死状態になっているハチも見られない。今日の給餌で同じように蓋を開けたのになぜ?不思議だ。
 とまっているハチを両手で包むようにしてなかに息を吹きかけた。10回ほどフーフーしたらハチが羽を振るわせた。前足で顔をこすり始めるハチもいた。もぞもぞ動き出し手のひらの上を右往左往する。指にとめてそっと巣門に持っていくと自分で巣に帰っていく。巣門からはハチが出入りする。私の指がふわっと温かいものを感じる。私の息で息を吹き返したハチを何度か巣門に運ぶうち、指に伝わる温かさが幻覚ではないことを確認した。ハチの出入りで巣箱内の熱が外へわずかに逃げていたのだ。この巣箱のハチたちは完全に出たがっている!どうやったらあなたがたを制止できるのか。まだ寒い、出たら動けなくなる、危険という情報を伝えることができるのか。ね、ぜひ教えてください。