ブログ de なんで屋 @東京

みんなで「これからの社会」を考えるために、『場』と『認識』を提供する社会事業です。

市場拡大が、あらゆる集団を解体

2007-02-24 12:10:26 | 路上の声~政治・経済~

上記グラフは、平成13年の厚生労働白書によるもの。世帯数は年々増加し、2010年~2015年頃、ピークを迎える予測となっている。最大でも8年後のことだ。世帯数増加は、一体何が要因だったのか?またピーク後はどのような影響があるのだろうか?

一般的には「都市化」が主要因として上げられる。戦後、サラリーマン(=新しい仕事の在り方)が誕生し、村落共同体が解体され、核家族化が進み、夫婦+子供というステレオタイプが誕生した。これは実感レベルからの視点であるが、逆に社会構造側、今、るいネットhttp://www.rui.jp/や、このなんで屋ブログでも注目されている、市場(=消費)の視点で見ると、とても面白い。

世帯数の増加は、あらゆる消費を促す。家に車、TVに洗濯機、冷房に冷蔵庫。共有できる全ての日常品を、世帯毎に所有する必要が出てくる。世帯数増加は、市場(=経済)拡大の最大の原動力となっているのである。

そう考えていくと、近代思想、とりわけ個人主義は注目に値する。オリジナリティにアイデンティティ、自分第一に人それぞれ。社会に浸透することで、世帯数の増加を促し、結果市場(=消費)拡大につながる。個人主義は、市場の支配層たる資本家にとって、実に優れた観念だったのではないか。結果、あらゆる集団は解体され、密室化(=自己中化)し、とうとう個人にまで分断されてしまった。

今、都心はマンションバブル。その需要の多くは、従来型ファミリータイプではない。ディンクス(=子供のいない夫婦)やシングル賃貸の需要が急増している。分節化は急速な勢いで進行中である。世帯数ピークは予測より早いかもしれない。

日本の人口は、少子化により、もはやこれ以上増えない。そして今、社会は、個人にまで分節化されてしまった。拡大の最大原動力を失った市場は、もはや本当に終焉を迎えそうだ。

市場のシステムが唯一存続出来る可能性があるとすれば、個人主義(=分節化)から「共認(=人つながり)」に転じることだ。個人にまで解体された人々は、今、強くつながりを求めている。これに対して、「なんで屋」を始めとし、供給発の視点で人つながりに応えていくことだ。類的な市場にのみ、その最後の可能性が残されている。

タニザキ


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6 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
海外に市場を求めると・・ (うっちー)
2007-02-24 17:24:37
集団を解体しても人口が減少すれば、市場にとっては元も子もなかったってことですね。

国内に可能性が無くなったとして、海外に可能性を求めるとどうなるか??

よそも同じでしょうから、争いごとは絶えないでしょうねえ。そして戦争か・・

やっぱり生き残る道は、私権市場ではなく、共同体の再生なんでしょうね。
Unknown (ヨネ)
2007-02-24 17:59:50
「日本の人口推移は2006年頃を境に減少!」という話(予測)を最近よく耳にします。
また、2050年には一億を切るとも・・・。

なのに、「世帯数は年々増加」と言うことは個人への分節化はかなり深刻だと思います。

勝ち組は一神教信者(神が市場に代わる)である。 (中年のおじさん)
2007-02-24 22:43:41
個人主義と市場の関係
市場では、全ての物(今はなんとCO2の排出権も対象)を対象として「金を幾ら儲けられるか」という非常にシンプルな指標が用いられています。
一方個人主義では、廻りの物は全て競争相手となり、心のよりどころは、家庭しかなかったのですが、その家庭も心のよりどこらにならず、一時宗教に救いを求める者もいましたが、勝ち組は間違いなく「金儲け」に心のよりどころを求めている様に見えます。

古代から現代に至るまで 人を信じられず、一神教(ユダヤ教・イスラム教・キリスト教)に心の平安を求めた様に 現代の勝ち組の人は、「市場と言う一神教」に全ての価値を求めています。

多神教の民(人の和を尊ぶ)にとって非常に怖い状況担って機と様に思えます。
Unknown (さいゆー)
2007-02-24 23:40:15
確かに私の周りにも「単身者」が多いです・・・。にしても「一人」以上に再分化するのは不可能。その先は人口減で必然的な市場縮小です。

個人主義が、快楽の主体として「個人」を正当化した結果、とうとう何らの集団も存在出来なくなったことは、実に恐ろしいことであると気づきました。

市場どころか、「社会」が終焉してしまうかも!?
Unknown (やまこう)
2007-02-27 23:59:02
少子化が進んで人口は減ってゆくはずなのに、世帯数は増えてゆく・・・というのは考えてみれば不思議というか、気持ち悪いですね。
確かに人は減ってるはずなのにマンションとかはバンバン建っている。
世帯数の増加は確かに市場にとっては消費の箱が増えて万々歳なのかも知れないけれど、その背後に自己中の進行というのがあると考えると、恐ろしい気がします。
Unknown (nomura)
2007-02-28 01:46:14
>世帯数増加は、市場(=経済)拡大の最大の原動力

確かにそうですね。生活に必要な製品は世帯の数だけ増えていきます。それでもモノは売れずに投資用にお金が余っている。市場の飽和状態とはこのことですね。