ブログ de なんで屋 @東京

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地域産業の活性化にもつながる自然エネルギー『小水力発電』

2011-05-21 22:50:02 | テレビの共認支配を暴く!

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エコノミスト 2011.5.24号から転載します。

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期待できる小水力発電 2万地点で540万キロワット

小林久(こばやしひさし) 茨城大学農学部教授

 ひと口に水力発電と言っても、中国の三峡ダムやブラジルのイタイプ発電所のように出力1000万キロワット超の巨大発電所から数キロワットの身近な発電所まで、千差万別である。このため、各国で出力別の分類が行われ、開発や支援が進められている。
 日本では10万キロワット以上を大水カ、5万~3万キロワット未満を中小水力とし、一般的に1万キロワット以下を小水力と呼んでいる。この小水カのうも、1000キロワット以下は技術開発
や経済性改善に特に支援が必要とされ、新エネルギーに分類されている。今後もさらなる普及が期待できる分野である。
 このような小水力は、①エネルギー変換効率が高い(70~90%)、②設備稼働率が高い(年間5000~7000時間)、③出力の変動・急変が少ない、④発電量が予測・制御しやすい、⑤環境への影響が小さい、などの特長を持つ。50年間以上稼働する施設が実在するように、持続的で完成度が高いエネルギー技術である。

■地域産業への波及効果も
 水力発電は、重力により水が高いところから低いところへと流れ落ちる過程のエネルギーを水車を回して取り出すものである。取り出せるエネルギーは、エネルギー量=水の重さ×落差=(水量×重力)×落差の関係式で示されるように、水の量と落差で決まり、どちらも大きければ大きいほど大きなエネルギーを得られる。電力に転換できるエネルギーは、取放水や機械・発電のロスがあるため、理論水力の70~80%となる。
 小水力は、この水が流れ落ちる過程のエネルギーを取り出す時に、ダムなどで大規模に貯めた水を使うのではなく、流れる水を一時的に引き込んだり、水路上で直接流し込んだりして使うことが多い。
 従って、小水力発電を行うためには、①高い位置で水を引き込むための取水設備、②高さを維持するための導水路や貯水槽、③水の落下を力に転換・伝達する水車・タービンや伝達装置、④転換した力で発電する機器・設備、⑤効率的な生産や送配電のための制御機構、⑥使用後の水を低い位置に放水する設備、などが必要となる。小水カは土木、機械、電気、設備の総合技術とされ、地域産業への波及効果が大きいといわれるのはこのためである。

 日本の水力発電(エ事中含む)は、総出力2300万キロワット(年間発電量940億キロワット時)である。水力は流量と落差が大きいところが適地であるため、水が豊富で起伏が大きい地域で賦存立(理論上の資源量)も開発量も多い。具体的には、長野、富山、岐阜、新潟、福島、静岡、群馬、山形、宮崎、山梨、高知など(北海道を除く)が挙げられる。ただ意外だが、出力1000キロワット以下の小水カに関しては、戦後の一時期、農山村電化に積極的だった中国地方に100カ所程度が集中している。
 さて、今後の開発余力である。資源エネルギー庁によると、未開発の水力発電の設備容量は1200万キロワットと推定されている。このうち3万キロワット未満の中小水力の未開発量は、設備容量で1000キロワット(年間発電量約200億キロワット時)で、原発およそ10基分に相当する。この4月に公表された環境省の推計でも、3万キロワット未満の導入ポテンシャルは約1400万キロワットとされている。中小水力には、まだ総出力で1000万キロワット程度の新規開発を期待できそうだ。
 このなかで、1000キロワット以下の小水カはどうであろうか。資源エネルギー庁によれば、日本の賦存立は全国853地点で約45万キロワットで、うち482地点はすでに開発済みだという。一方、環境省は開発ポテンシャルを2万2056地点で約540万キロワットと見込んでいる。
 この違いをどう見るか。全国各所で見かける砂防ダムや、とうとうと流れる農業用水のことを考えると、残りが全国で371地点しかないとは考えにくい。約2万地点で開発可能という方が、より現実的な気がする。
 ところで、1000キロワット以下の小水カは今のところ、1キロワット時当たり20~40円で発電しなければ採算が取れない。6~10円の火力や=円程度の大規模水力に対して経済性がよいとは言えない。大規模と全く変わらない各種の許認可手続きが要求されるのもネックになっている。しかし、小水力は完成度の高い技術であり、導入支援や規制綬和などの社会的な後押しがあれば、2万地点の経済性は改善され、地域産業の活性化と、自然エネルギー開発に大きく貢献するはずである。

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※もっと小水力について知りたい方は

小水力発電の源流 ~農山村漁村における小水力の歴史~

全国小水力発電所めぐり

小水力発電の実現基盤を探る!

 をご覧ください。

 

今後のエネルギーを考える上で「自然エネルギー」であることと、「地産池消型(=共同体)」であることは必須だと思います。

その2つを満たし、技術的な完成度も高い『小水力発電』には可能性を感じます

ぜひとも今後推進していきたいエネルギーの1つですね!


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