名邑十寸雄の手帖 Note of Namura Tokio

詩人・小説家、名邑十寸雄の推理小噺・怪談ジョーク・演繹推理論・映画評・文学論。「抱腹絶倒」と熱狂的な大反響。

◆ 怪奇夜話 「優雅な食生活」 二

2013年02月15日 | 日記
 日本料理にも、江戸っ子風精神病理学的に不健康な「親子丼」というメニューがあります。鶏肉を卵でとじた料理です。無粋(ぶすい)な名前のせいか、江戸っ子気質ゆえか、親子丼だけは口にした事がありません。鮭にイクラをまぶした「鮭イクラ丼」なども、倫理道徳的な拒絶反応が生じます。元来食べるという行為は残酷であり、食物連鎖法則は無慈悲なものです。別に作家がそう揶揄する訳ではなく、人類の属性とも云える確とした普遍的な事実ではないでしょうか。長期冷蔵した海鮮食材は、長く冷凍安置所に置いた魚介類という事も出来ますが、貯蔵という方法を本能的に考え出したのは、人類と鰐(ワニ)と氷原の猛獣あたりが元祖でしょう。

 「目玉焼き」は問題ありません。「たぬき(種抜き)蕎麦」なんて粋ですね。「かつ丼」も美味そうです。Tボーン・ステーキ、踊り揚げ、すっぽんや魚の活き造りとなると、何となく菜食主義者の気持ちが分かる野蛮な名称です。ワインや酒の酔い抜きに、野蛮極まりない料理を食する方々のお気持ちが理解出来ません。

               *

「鶉(うづら)のパイ詰め三皿と、赤ワインの追加を頼む」
「これでボトル五本目ですが、だいぶ酔っていますね」
「鶉の脳みそを吸うんだ。しらふでいられるか」
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