ワンさんを病院に

　先週の休日、以前より娘に、ワンさんの爪を切ってもらってちょうだいと頼まれていたのだが、ようやく行ってくることができた。

　爪切りは５００円でやってもらえるため、追い掛け回してジタバタされた挙げ句噛まれるという惨事を避けるためには一番いい。

　さてそこで、他に気になるところはありませんかと質問された。

あ、ちょっとやばいなと思いつつも、最近牙が2本抜けてしまったために、そのことを伝えた。

案の定、呼ばれて爪切り終了のワンさんの傍にいってみると、先生から「この子は歯槽膿漏になってますね、口臭も気になりませんか？」と言われる。

「きになってるんですよ。」

すると、すかさず

「全身麻酔をして、歯全体に薬を塗りませんか？」

「いやいや、この子はうちに来た時点で他の病院に見てもらったとき、7歳くらいじゃないですかねって言われてきてます。そのあと９年うちにいますので、年齢的に難しくないですか？」

危ない危ない、高齢ワンさん麻酔に耐えられるのかい？

「そうですか、では、口臭を薄くするサプリメントと歯磨きのためのチューブに入ったお薬を出しますので、２週間後にまた来てください。」

あら？私、今日の予定は爪切りだけっだたんだけど？

まあ、強烈なワンさんの口臭が軽減するならいいかな。

　会計で呼ばれたので、さて支払いをして帰りますか。

「お会計、３１９８円です。」

あ、はいはい・・・・あれ？

　しまった、財布の中には３０５６円しか入ってない。もう一度書こう、予定は爪切りだけだった。

「すみません、３０００円しか払えません。」

「えーと・・・。」受付のお姉さんも困っていると、院長先生の助け船が、

「次来た時でいいですよ。すみませんね、押し売りしちゃったみたいで」

いえいえ、私こそ馬鹿正直に答えちゃって。

　お給料日前の懐の寂しい時には、病院といえどうかつに答えてはいけない。

１０００円だけ払って、後はもう近寄らないでいようかな。とも思ったものの、善良な私の意に反するため払える分は払ってきた。

　しっかり儲けられたな。

しかし、ワンさんの口臭はすこぶる良い。