解剖学 I (後期)

半年間よろしくお願いします。

内側・外側腋窩隙

2006-10-31 19:54:35 | Weblog
腋窩動脈は鎖骨下動脈の続きで、
第1肋骨の下縁から大胸筋の下縁までを指し、
そこから先は上腕動脈と呼ばれます。
肩甲回旋動脈と後上腕回旋動脈は腋窩動脈の枝で、
それぞれ内側腋窩隙と外側腋窩隙を通ります。

内側腋窩隙とは、小円筋と大円筋と
上腕三頭筋の長頭で出来る三角形の隙き間、
外側腋窩隙とは小円筋と大円筋と上腕三頭筋の長頭と
上腕骨で囲まれた四角形の隙き間を指します。

外側腋窩隙はまた腋窩神経の通り道でもあり、
腋窩神経は腕神経叢の後神経束から出て
後上腕回旋動脈と共に外側腋窩隙を通った後、
小円筋と三角筋に枝を出します。

斜角筋隙

2006-10-30 12:34:57 | Weblog
第1肋骨の上面には、前斜角筋結節をはさんで
前に鎖骨下静脈溝、後ろに鎖骨下動脈溝があります。

前・中・後の斜角筋は、頚椎から起こって肋骨に付き、
肋骨を引き上げて、胸郭を広げます。
第1肋骨に停止する前斜角筋と中斜角筋の間は斜角筋隙と呼ばれ、
斜角筋隙を腕神経叢とともに鎖骨下動脈が通ります。

鎖骨下動脈の枝には、頚椎の横突孔を通り
頭蓋腔に入って脳に血液を供給する椎骨動脈や、
肩甲骨上縁の肩甲切痕を通る肩甲上動脈などがあります。





大脳動脈輪

2006-10-29 10:59:10 | Weblog
脳には内頚動脈と椎骨動脈が分布します。
左右の椎骨動脈は大後頭孔を通って頭蓋腔に入り、
橋の前面で脳底動脈をつくった後、
再び左右に分かれて後大脳動脈となります。

内頚動脈は頚動脈管を通って頭蓋腔に入り、
前・中大脳動脈に分かれます。
前大脳動脈は大脳縦裂に入って大脳半球の内側面に、
中大脳動脈は外側溝に沿って大脳半球の外側面に
それぞれ血液を供給します。

脳底において、前・中大脳動脈と後大脳動脈は交通し、
ウイリス動脈輪(大脳動脈輪)を形成します。
前交通動脈が左右の前大脳動脈をつなぎ、
後交通動脈が後大脳動脈と中大脳動脈をつなぎます。

総腸骨動脈

2006-10-29 07:04:16 | Weblog
仙腸関節の前で内腸骨と外腸骨に分かれた後、
外腸骨動脈は鼠径靱帯の下の血管裂孔を通って
大腿動脈と名前を変えます。

大腿動脈は大腿三角を通って内転筋管に入り、
内転筋腱裂孔から先は膝窩動脈と名前を変えます。

膝窩動脈は前脛骨と後脛骨に分かれ、
後脛骨動脈からは腓骨動脈が出ます。

腹大動脈

2006-10-28 15:41:29 | Weblog
胸大動脈の続きで、横隔膜の
大動脈裂孔を抜けて腹腔に入ってから
左右の総腸骨動脈に分かれるまでを指します。

腹大動脈の正面からは、
腹腔動脈と上・下腸間膜動脈の3本が出ます。
中副腎動脈、腎動脈、精巣ないし卵巣動脈は対性で、
腹大動脈から左右に出ます。

第4腰椎の前で総腸骨動脈に分かれた後は、
細い正中仙骨動脈が仙骨前面を尾骨まで走ります。

鎖骨下動脈

2006-10-28 14:29:42 | Weblog
右は腕頭動脈から、左は大動脈弓から出て、
腕神経叢と一緒に斜角筋隙を通ります。

腋窩で腋窩動脈、上腕で上腕動脈と名前を変え、
肘窩で橈骨動脈と尺骨動脈に分かれます。

上腕動脈は血圧の測定に、
橈骨動脈は脈拍の計測に用いられます。

総頚動脈

2006-10-28 07:23:20 | Weblog
右は腕頭動脈から、左は大動脈弓から出ます。
内頚動脈と外頚動脈に分かれて、
内頚は脳と眼球に、外頚は
それ以外の頭部顔面に血液を送ります。

外頚動脈の枝には、下顎骨の下縁で拍動を触れる顔面動脈、
外耳孔の前で拍動を触れる浅側頭動脈などがあります。
内頚動脈は頭蓋腔に入るまで枝を出さず、
椎骨動脈とともに脳に血液を供給します。

内頚と外頚の分岐部には、
化学受容器である頚動脈小体と
圧受容器である頚動脈洞があります。

血管

2006-10-27 12:51:39 | Weblog
動脈も静脈も、内膜・中膜・外膜の3層があります。
中膜は平滑筋と弾性線維からなり、
大動脈のような太い動脈では弾性線維が、
細い動脈では平滑筋が豊富で、それぞれ
弾性型(動脈)、筋型(動脈)と呼ばれます。

毛細血管を経ずに血管どうしつながるものを吻合といい、
動脈の末梢部に吻合がない場合、これを終動脈といいます。
終動脈は脳、肺、腎臓などにみられ、血管が詰まって
血流が途絶えると組織が壊死をおこします。

大動脈

2006-10-26 20:42:32 | Weblog
左心室と大動脈との移行部に大動脈弁があり、
それが3枚の半月弁からなることは既に述べました。
大動脈は左心室を出て上向きに走った後、
すぐにUターンして、下向きに走ります。
各部を上行大動脈、大動脈弓、下行大動脈と呼びます。

上行大動脈からは心臓を養う左右の冠状動脈が、
大動脈弓からは頭部を養う総頚動脈と、
上肢を養う鎖骨下動脈が出ます。
ただし、左側では総頚と鎖骨下が別々に、
右側では1本の腕頭動脈にまとまって出るので、
合計3本の枝が大動脈弓にはあります。

下行大動脈は途中で横隔膜を貫き、
胸腔内にある部分は胸大動脈、
腹腔内では腹大動脈と呼ばれます。
腹大動脈は第4腰椎の前で
左右の総腸骨動脈に分かれて終わります。

心臓の弁

2006-10-25 18:29:55 | Weblog
心臓は冠状溝で心房と心室に分けられます。
心房を取り除いて心室を上から眺めると、
心臓にある4つの弁が見え、
動脈弁は前後に、房室弁は左右に並んでいます。

房室弁は心室から心房へ血液が逆流するのを防ぎ、
弁尖と乳頭筋が腱索でつながれています。
右房室弁は三尖弁、
左房室弁は二尖弁で僧帽弁とも呼ばれます。

動脈弁はポケット状の半月弁で、
肺動脈弁と大動脈弁があります。
前方にあるのが肺動脈弁で、
大動脈弁のすぐ上からは左右の冠状動脈が出ます。

錐体路系

2006-10-21 11:04:09 | Weblog
皮質脊髄路は錐体路ともいい、
脊髄前角の運動ニューロンに連絡しています。
錐体交叉で反対側に交叉する外側皮質脊髄路と、
錐体交叉で交叉しない前皮質脊髄路があります。

皮質核路は脳幹にある脳神経の運動核に連絡し、
皮質核路と皮質脊髄路を合わせて錐体路系と呼びます。

自律神経系

2006-10-20 06:56:25 | Weblog
内臓神経系あるいは植物神経系ともいい、
交感神経と副交感神経に分けられます。
交感神経は胸髄と腰髄からおこるので胸腰系とも呼ばれ、
副交感神経は脳幹と仙髄からおこるので頭仙系とも呼ばれます。

脳神経のうち、動眼、顔面、舌咽、迷走神経は
副交感神経を含んでいます。
動眼神経は毛様体筋や瞳孔括約筋、
顔面神経は涙腺や顎下腺、舌下腺、
舌咽神経は耳下腺に分布しています。

体性感覚

2006-10-18 20:45:25 | Weblog
皮膚感覚には温度・痛覚と触・圧覚があり、
温度・痛覚は外側脊髄視床路によって、
粗大な触・圧覚は前脊髄視床路によって伝えられます。
識別性触・圧覚を伝える後索・内側毛帯路はまた、
深部感覚のうち意識性深部感覚を伝えます。
非意識性深部感覚は脊髄小脳路によって伝えられます。
頭部・顔面の体性感覚は三叉神経によって伝えられます。

脳神経

2006-10-17 20:26:46 | Weblog
脳神経は12対あり、
動眼(Ⅲ)、滑車(Ⅳ)、外転神経(Ⅵ)は外眼筋を、
舌下神経(ⅩⅡ)は舌筋を支配します。

三叉神経(Ⅴ)の第3枝(下顎神経)は咀嚼筋、
顔面神経(Ⅶ)は表情筋、
副神経(ⅩⅠ)は胸鎖乳突筋と僧帽筋を支配します。

嗅神経(Ⅰ)は嗅覚を、
視神経(Ⅱ)は視覚を、
内耳神経(Ⅷ)は聴覚と平衡覚を伝えます。

大脳基底核

2006-10-16 16:28:16 | Weblog
小脳と同様、大脳の灰白質は
最表層の大脳皮質に加えて中心部にも存在し、
これを大脳基底核と呼びます。
大脳基底核には尾状核、被殻、淡蒼球があり、
尾状核と被殻を合わせて(新)線条体、
被殻と淡蒼球を合わせてレンズ核といいます。
大脳基底核に扁桃体や前障を加えることもあります。