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中央大学 VS 東京大学(その48:売れてる基本書対決(刑事編))

2015年11月18日 | 中央大学 VS 東京大学

中央大学 VS 東京大学

その48は、

売れてる基本書対決(刑事編)

(正しくは売れてた基本書

 対決かも)

 

すなわち、

藤本哲也 VS 前田雅英

 

 

 

「刑事政策概論」(青林書院)

 藤本哲也

        VS

「刑法総論講義」(東京大学出版会)

 前田雅英

「刑法各論講義」(東京大学出版会)

 前田雅英

 

藤本哲也先生(1940年生まれ)は、

中央大学法学部卒。

アメリカで日本人として初めて

犯罪学博士号(カリフォルニア大学)

取得。

日本にラベリング理論

ニュークリミノロジー理論

完全な形で初めて紹介した先駆者

である。

ラベリング理論等を「私が

 日本に導入した」と自称する

 学者は何人かいるようだけど  )

 

刑事政策概論は、

特に犯罪原因論に優れ、

藤本先生が司法試験委員だった

ときにはバカ売れした。

司法試験に限らず、

当時出版されていた刑事政策

本の中では、

最上の基本書だったと思う。

現在は、司法試験科目から

刑事政策が除外されているので

藤本先生の著書に限らず、

刑事政策の本自体の売れ行きは

落ち着いているようだ。

本書は、全訂第6版が2008年の

出版のため、

犯罪動向や刑事施策の部分では

最近の動向の記述がないので

その部分で物足りなさがある

ものの、

刑事政策学を学ぶ者なら必ず

参照しなければならない良書だ。

 

前田雅英先生(1949年生まれ)

は、東京大学法学部卒。

刑法総論・刑法各論は、

実質的犯罪論に基づく結果無価値

の立場の書で、

これも前田先生が司法試験委員の

ときにはバカ売れした。

実務寄りで、理論的な詰めは

甘いところがあるものの

非常に理解しやすく、

私が受験生だったときには

基本書として使用したが、

前田先生が司法試験委員を

降りてからは、

売れ行きは落ち着いている

ようだ。

 

なお、藤本先生は、

犯罪学の教科書・基本書に

ついても何冊も出されており、

いずれも犯罪学を学ぶ者には

欠かせない書だ。

藤本先生は、ラベリング理論

ニュークリミノロジー理論

本場アメリカで研究し、

博士号を得て、

これらの理論を日本に紹介した。

色々な犯罪学者が

これらの理論について

自分が唱え始めたようなことを

言っているが、

実質的に日本に初めて紹介した

(正しい形で理論の全容を紹介

した)と言えるのは藤本先生だ。

 

「犯罪学原論」(日本加除出版)

 藤本哲也

「犯罪学入門」(立花書房)

 藤本哲也

 

また、前田先生は、

池田修裁判官と共著で

刑事訴訟法の基本書を出しており、

こちらの方は今でもそれなりに

売れているらしい。

「刑事訴訟法講義」(東京大学出版会)

 池田修前田雅英 共著


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