温家宝来日で、台湾を考える

外務委員会で質疑に立つ。
今日は、温家宝首相が来日するタイミングで開催された外務委員会なので、さぞかし中国問題にで盛り上がると思いきや・・・。

第一質疑者は北朝鮮と米軍再編、第二質疑者はトルコ外交、第三質疑者は各省庁事務官の外務省への出向がどうしたこうした、第五、第六質疑者は、沖縄米軍基地再編問題。ホントにこの国の国会議員はピントはずれてる。

べつに当然のことで特筆大書するようなことではないが、そんな中で、私は対中政策を外務大臣に質した。それは、温首相訪日にこめられた日中関係のあり方、とりわけても台湾との関係に焦点を絞ったものだ。

昨年10月の安倍訪中以来、日中関係は劇的に好転した。それはそれで歓迎すべきことだ。しかし、どうも政府(そして財界応援団)の姿勢が前のめりであることが気掛かりなのだ。日中関係を強化するあまりに、ほかの大切な国益を毀損するようなことがあってはならない。

中国は、これまでも自国との関係を改善、強化するタイミングをとらえて、相手国に台湾切り捨てを迫ってきた経緯がある。有名なのは、大規模な財界ミッションを引き連れて訪中したクリントン大統領に「台湾に関する三つのNO」共同文書化を迫ったことだろう。

我が国においても、最近気になる出来事があった。それは、先月末に出された最高裁判決だ。光華寮事件訴訟といってピンと来る方がいれば、そうとうの事情痛か、法律専門家か、年配の方であろう。

じつに提訴から40年、上告審だけでも20年かかった判決である。迅速に当事者の権利関係を確定することが求められている民事訴訟にもかかわらず、20年も塩付けになってきたのは、この事件が中国と台湾との国際政治上の複雑な事情からだ。

我が国が正統政府として承認した中華民国が所有する学生寮から大陸中国の留学生の立ち退きを求めて起こした訴訟は、一審の最中に1972年の日中国交正常化が行われ、政府承認の切り替えにより、中華人民共和国が中国の唯一の合法政府とされ、中華民国の原告適格と所有権の帰属が争われることとなった。

大阪高裁はじめ下級審は、政府承認の切り替えにもかかわらず、台湾(中華民国)による光華寮の所有権を認める判決を下し、20年前に立ち退きを求められた寮生が上告した。それが今年1月末になって突如審理入りし、ほんの2カ月で判決に至ったのだ。しかも、最高裁判決は、承認を取り消された中華民国政府はもはや中国を代表する正統政府とは認められず、その政府から授権を受けた訴訟代理人には訴訟を遂行する資格はない。
(To be continued)
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