日経新聞よ、お前もか!

今朝の日本経済新聞を見て、思わず叫んだ。
「ブルータス、お前もか!」

「中国は脅威」明記へ強気―民主安保政策で前原代表・・・の大見出しに、
党内の反発必至―代表選の前哨戦に・・・の小見出しが踊る。

クオリティ・ペーパーの名が廃る虚報・・・。
私は日経新聞を愛読してきた。
経済情報のみならず、外交や安全保障問題も精確に報じ、的確に論じてきたからだ。しかし、この低劣な記事には唖然とした。

断っておくが、民主党の中で、いま、中国脅威論を真面目に議論している人間は一人もいない。
前原代表が、昨年12月、「中国の軍事力の増強ぶりや急速な近代化は我が国にとって"real concern"(重大な懸念材料)だ」とアメリカで発言し、「そのような中国の軍事増強を日本国民の多くが脅威に感じている」と中国で発言したことは、以前にもこのブログで書いた。

誰も、中国そのものが脅威だなどと言っていないし、そんな暴論で民主党の外交安全保障政策をまとめようなどという「強気」な動きなど党内に存在しない。それを、どんな取材に基づいたのか知らないが、随分大げさな記事にしたものだ。正直、怒りを通り越してがっかりした。

がっかりしたのには、理由がある。この記事が、単に誤った取材に基づいた勘違いの記事でないからだ。はっきり言おう。この記事は、数日前に出た読売新聞の記事の「受け売り」なのだ。独自取材に基づく勘違いなら、「違ってるよ!」で済む話だが、他紙の記事の誤ったロジックを鵜呑みにして書いているのだから始末に悪い。

問題の箇所は、「『脅威』は、侵略しうる『能力』と侵略しようとする『意図』が結びついて顕在化する」との政府見解を、私たちが否定して、「中国の増強著しい中国の軍事『能力』に着目すれば、『意図』はなくても脅威と認識できる」と考えている、というくだり。これは、読売記事が陥った事実誤認とまったく同じ。瓜二つ。能力に着目すれば、意図もないのに脅威と認識できるのであれば、巨大な軍事力を有するアメリカも脅威となる。そんな馬鹿な議論をするなどとは正気の沙汰ではない!

だから、この珍妙なロジックを考案し、あたかも私たちが糞真面目にこんなロジックで党の基本政策を考えている、などと書いた読売新聞の記者には直接抗議した。件の記事は署名記事だったから責任の所在がハッキリしていた。しかし、今日の日経記事は、無署名だ。しかも、記事の終わりに、党内政局を臭わすようなエピソードを散りばめた、低俗な構成。記者の品格が疑われる。

もちろん、党内には、あらゆる機会を捉えて党内政局に結び付けようとする不逞の輩もたくさんいる。そんなことは、政治の世界に入った時から覚悟の上だ。そんなことでいちいち恨み言を言うつもりもない。しかし、私が愛読してきた日経新聞には、もう少し分析力や取材力で勝負して欲しいのだ。

党内にいろいろな意見があることを隠すつもりはない。今の中国をどう認識し、どんな風に国民が捉えていて、政権を目指す野党第一党として、その中国とどう付き合っていくべきか。私たちは、真摯に、政策論、外交論を日々戦わせているのだ。それを、面白おかしく党内政局を煽る動機しかないような記事のダシに使われれば、腹が立つというもの。

いろいろ誤解もあるようなので、ここで改めて、現時点での私たちの「中国認識」について確認しておきたい。第一に、私たちは、「中国そのものを脅威」とする議論には与さない。第二に、そうは言っても、中国軍事力の急速な近代化や東シナ海での活動や領土をめぐる極端な主張などから、国民の多くが脅威を感じている事実(例えば、昨年12月に読売新聞に掲載された世論調査では、76%が「脅威と感じている」と回答している)も、私たちとして確かと認識しておかねばならない。第三に、たとえそうだとしても、我が国として中国との平和的、協調的な関係を築かずしてアジアの未来を展望することはできない、との現実的な観点から、外交的努力によって未来志向の日中関係を築いていくことが肝要。

こういうアウトラインは、ことあるごとに取材に来てくれる記者さんにはなるべく丁寧にお伝えしてきたつもりだ。しっかりしてよ、日経新聞!
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« 竹田恒泰さん HAPPY BIRTHDAY? »
 
コメント
 
 
 
Unknown (Barton House)
2006-02-17 03:02:28
日経新聞はよくウォールストリートジャーナルの社説を翻訳してそれを自社の記事や社説に摩り替えたりはよくするので、読売の受け売り記事というのはあまり驚きません。



自社の色を出そうとして支離滅裂な朝日より、クウォリティー新聞を装って、実は朝日や読売、毎日と質があまり変わらない日経のほうが私はたちが悪いと思います。私は海外での彼らの情報収集を見てきましたが、本当にひどいものです。結局日本にはクオォリティー新聞なるものは存在しないと考えるのがいいのではないでしょうか。
 
 
 
中共による情報戦でしょうか? (みずき)
2006-02-17 03:03:23
『NEW YORK TIMES』の麻生外相批判記事と言い、なんか中共による情報戦という感じがしますね。NEW YORK TIMESの記事を引用しての毎日と讀賣の批判記事も酷いものでしたけれども、それに先立つ韓国・中央日報の記事といい地球規模のネットワークによる攻撃と感じます。



長島さんが「遠交近攻」をやる前に、あちらさんが攻撃を仕掛けてきたようで、困ったことです。



昨今の葛藤状況は、小泉首相が靖国神社を参拝しているから起こっているわけではありません。中共の外交戦略にこそ原因があります。中共は日本がアジアの大国として経済のみならず政治的にも軍事的にも影響力を増大させることが許せない。だからあれこれ難癖をつけてくるのです。その具体的な手段の一つが「歴史」であり、過去の話を蒸し返し、外交上有利な立場に立とうという政治的意図を持って仕掛けてきているのです。軍事侵攻を意図していなくとも、これだけ露骨に情報戦(ネガティブキャンペーン)を仕掛けてきている相手を「友好国」というのでしょうか。国民感情としてもはや友好国とは呼べなくなっているのではないでしょうか? (商売の都合上付き合っているけれども、そうでなければさっさと縁切りしたいというのが、大方の皆様の思いなのでは?)



日本の政治家が彼の国の指導者に正気にかえるように言うのは当然ですし、そういう忠告を忠告として聞けなくなっている彼の国の指導者こそ糾弾されるべきです。



先日の長島さんの予算委員会質疑で麻生外相が「友好のために国益を損ねるのは愚かです。国益のために友好と言うのなら成り立つとのだと思っていますので、優先順位のつけ方が基本的な問題だと思います」と答弁していますが、実に常識のある答だと思います。しかしこの程度の答弁でも拍手が起こったのです。(あの拍手はどこから起こったんだろう?)それがこの国の現実。友好幻想に毒されているんですよ。誤解のないように言っておきますが、中国のケンカしろと煽っているのではありません。むしろ反対でありまして、私は昨今の不安定な状況を危惧しているのです。



日本としては友好を推進したいと思っているのに、相手が受け付けなければしょうがないですよね。靖国参拝をやめても問題解決にはならないでしょう。「尖閣の領有権を認めよ」とか「琉球はかつて朝貢していたのだからわが国の一部だ」などと言い出してくるに決まっています。(ちなみにチベットに軍事侵攻し、自国領に組み込んでいる論理がこの「(チベットは)かつて朝貢していた」というのが根拠になっているのですね。そんなムチャクチャな!!)



ともかく「日本は俺たちの言うことを聞いていればいいんだ」といわんばかりの対応を彼の国は取っているのです。そんなことはないといわれるかもしれませんが、昨年暮に訪中した前原代表が「軍事力を増大し続けていて脅威になる」と言っただけで会談拒否をしてきたことからも明らかですよ「それでもやっぱり友好が……」と思われる方は、こちらでも読んでみてくださいな。⇒ http://www.ubenippo.co.jp/skiji/hashida/bababobo2003/2003_3.htm (「靖国神社について」と題する橋田信介さんのエッセイです。「歴史」を外交カードとして振り回すことの愚かさを指摘されています。それにしてもこういうエッセイを書く人をイラクで失ったのは痛い。)



ちょっと過激な言い方しますけど、今の彼の国は「キチガイに刃物」状態にあるのです。何を思ったか日本を敵視し、軍事力を増強しつつあるのです。だから8割近い日本国民が「脅威」と認識しているのです。この事実に目を瞑っていてはまともな政策など出てくるわけがないです。



あちらさんが情報戦を強めているのなら、こちらも座視しているわけには行きません。
 
 
 
安心しました (ゆう)
2006-02-17 14:09:33
事実に反する事にはきちんと説明してくださる長島先生を信頼しています。

 
 
 
Unknown (安野云)
2006-02-17 23:55:56
クオリティペーパーというのはNEWYORKTIMESのような世界的に権威ある新聞のことであって日本にあるはずはないのです。いやNYTMESも実はお粗末でして、世界中のマスメディアは大差ないともいえます 
 
 
 
Unknown (フムフム)
2006-02-18 06:14:53
このお話はとても重要なので、もっと独立した論文にして新聞なり雑誌なりに出すべきではないでしょうか?

もっともその準備としてブログに書いたのかも知れませんが。。

 
 
 
大丈夫? (kappe@錦)
2006-02-18 06:25:48
元記事に関係のないコメントで申し訳ありませんが。

永田議員のアレ、大丈夫なのでしょうか。紙に印刷したメールなんて、あるいはデータの形のメールなんて、簡単に偽造が出来るので、証拠性は全くないと思うのですが。証拠にするならメールサーバー(のHDD)を差し押さえないと。永田議員、はめられてません?心配です。



長島さんは、あぁ言う敵失ねらいではなく、得意の外交分野などで、地道に自力のヒットを狙い、積み重ねて行って下さい。それが地力(=長島さんや民主党の固定支持層の増加)に繋がる唯一の道だと思います。
 
 
 
Unknown (Unknown)
2006-02-23 14:51:44
中国は明らかに脅威だ。
 
 
 
Unknown (Unknown)
2006-02-23 15:23:43
民主党まじ売国奴ばっかなんだな
 
 
 
Unknown (Unknown)
2006-02-23 19:11:53
中国内部において、日本を脅威とみなし、攻勢対象としていることは、完全無視ですか?
 
 
 
Unknown (vip)
2006-02-24 03:26:37
だから民主党はだめなんだ



中国が過去に領空侵犯・領海侵犯してるのに

危機管理がなさすぎる どうせ竹島も北方領土も尖閣諸島も守る気なんてないんだろうな



だから政権取れないんだ だから社会党上がりの民主じゃだめなんだ おわったなミンス
 
 
 
勿論、言葉選びは大切だが (去勢された羊、日本。)
2006-02-24 04:50:58
能力があれば意図など無くても抹殺するに十分。



日本が90年代にアメリカに何をされたのか

もう忘れたのでしょう。
 
 
 
Unknown (Unknown)
2006-02-25 18:55:33
昔の自民党同様言葉遊びを繰り返しているように見えます。



「能力があっても意図が無ければ脅威ではない」など、一見もっともらしいですが、逆に日本が核武装して長距離ミサイル・爆撃機を保有した上で「侵略の意図はないから脅威ではない」と言ったところで周辺国が納得するでしょうか。民主党の人は判断力ゼロなんでしょうか?



(ちなみに中国は長距離ミサイルも爆撃機も核兵器も原子力潜水艦も保有しています)

 
 
 
Unknown (Unknown)
2006-02-25 18:56:58
お願いします・・・議員やめてください。

あなたのような人間に私達国民の税金が給料として払われてると思うと働くきもなくなります。

土下座も何でもしますので早いところ議員辞職していただきたく思います。まじでお願いします。
 
 
 
いや、そうじゃなくてな (でんでろ様)
2006-02-25 21:21:57
まあ、もまえら落ち着けと



>中国軍事力の急速な近代化や東シナ海での

>活動や領土をめぐる極端な主張



この言葉をみても分かるとおり長島氏はいわゆる保守の

マトモな政治家。売国なんぞしないから安心しる。

長島氏が抗議したのは日経が「中国は今すぐ攻めてくる

と前原氏が発言」みたいな事を日経が書いたから。



なぜこれに抗議せねばならんかと言うと

これを認めると民主党は「今すぐ対中臨戦態勢を取るべき」

と言っている事になってしまう。



前原氏も中国の軍事力は懸念し、これに対しての国防も

考えていると同時に、中国そのものとは共存すべきと

考えているというのが実際のところで、事実とは異なる



これはアメリカが旧ソ連を危険視しつつも

「決戦したらタダじゃ済まないし、共存するしかない」

と考えてデタントしたのと同じ。



「日本も中国と戦争するわけにも行かないから共存するが

相手の寝言は頑としてはねつける」という訳。

 
 
 
Unknown (高島ちづる)
2006-02-25 21:35:13
貴方は永田議員以上に問題があります。

ハッキリ言って貴方は相当バカです。自覚してください。理解力があるように見えません。或程度理解力がある人ならば今の中国の状況を見て脅威と考えるはずです。現状かの国は友好のために手を差し伸べても、手を取るどころかナイフを突きつけてくるでしょう・・・その理由?尖閣諸島問題や、強烈な軍拡、原潜の領海侵犯等あげたら切りが無いです。



もう、衆議院議員をしてこの見識はあきれます。。頭の中がお花畑になってるんでしょうか・・・
 
 
 
Unknown (Unknown)
2006-02-25 21:43:02
>>でんでろ様

本当に寝言を突っ撥ねてくれれば良いんですが、そうは思えないのが現状です。中国とは、平和的で会っても、今の時点相手があの様な態度を取る限り強調的にはなれないと思います
 
 
 
Unknown (Unknown)
2006-02-25 22:12:07
どう見ても脅威です

本当にありがとうございました
 
 
 
「中国と仲良く」、の中国って? (waitaka)
2006-02-26 01:07:04
中国と中国共産党を分けて考えなければ

ならないと思います。

今の中国と平和的な外交するという事は、

日本は中国共産党の下僕となることです。

中国共産党は当の中国人(権力者以外)

にとっては恨みの対象です(すざまじい統制

言論封鎖、差別、官害)。

下手に中国共産党と仲良くやっていこう

などと甘い事を考えていたら、感謝もされな

い事(ODA等、既に過去の経験で実証済み)

に加え、かの国の有識者を始め中国国民の

反感をも買いかねません。そちらの不利益の方が

日本にとって不利益になります。泥棒の片棒を

担ぐ奴が良い印象をもたれる訳がありませんよね?

国を下で支えているのは国民です。仕事で

中国の人と話す機会があるのですが、上記

ような事ををあちらから言われて驚いた事が

あります。ろくでもない権力側に媚びてどうする

んですか?それも他国の・・・



そいう多国間のドロドロした事情を知り対策を

立てる事も政治家の仕事ですよ。

言葉だけ綺麗な理想は迷惑です。



それを踏まえて、あの基地外のような中国共産

と右手で握手をしつつ左でボディーブローを入れ

防御も怠ろうとしない小泉総理

(前原さんもその姿勢でいくつもり)が理解できない、ノーテンキな政治家は即刻バッジを国民に

返して議員を辞めて欲しいです。

それ以上に中国脅威論を真面目に議論している

人間は一人もいない民主党って・・・・。

こんな馬鹿な政党に投票してしまった私はもっと

馬鹿でした。



お母さん逝って来ます。本当にありがとうございました。
 
 
 
Unknown (須賀史郎)
2006-02-26 01:22:32
なんというか、どう考えても民主党の責任でしょう。



HPを持っているのだから、はっきりと分かる形で中国の脅威について表明すればいいじゃないですか。

代表の繰り言以外、民主党が党としてどうしたいのかさっぱり分かりません。



>>『意図』はなくても脅威と認識できる



とかどうでも良いです。

はっきりと意図はあると表明され、ミサイルも向けられているのに馬鹿みたいな論議です。



こんなのは保守でも何でもない。

保守に見せかけた言い訳に過ぎない。
 
 
 
Unknown (Unknown)
2006-02-26 15:14:50
あんたを防衛庁長官にしちゃいけないコトだけは分かった。
 
 
 
Unknown (高島ちづる)
2006-02-26 16:53:17
昨日拝見したときには気付きませんでしたが、防衛庁長官候補なんですね。・・・・・怖・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 
 
 
Unknown (Unknown)
2006-02-27 01:07:18
普通の人は中国の侵略を警戒していますよ

あなたが保守に見えたのは民主にいるからの様です
 
 
 
Unknown (Unknown)
2006-02-28 12:21:17
隣人が包丁を研いでいてもそれだけで脅威とは

思わないが、その包丁を持って自分の家の庭を

うろうろされたら怖いですがな。

それでこちらが抗議すると「技術的問題で~」だの

「そこはあなたの庭ではない」だの…

どこのヤクザだよ。

 
 
 
Unknown (Unknown)
2006-03-05 00:19:39
中国国防費、18年連続2ケタ伸びの14・7%増ですってよ。



将来日本になにかあったら中国恨むよりまず民主党恨むことにするよ。

テロやるようなことになったらまず民主党員を狙うことにするよ。



そうならないよう頑張ってくれ。

 
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