これが政権交代可能な野党か…!?

国民投票法案、米軍再編促進法案が衆院可決。

わが民主党は、いずれも与党案に反対。
議席に坐ったまま思わずうめくほかなかった。
「これが、政権交代可能な野党の姿か・・・。」
党人としての務めとはいえ、頭と体が引き裂かれるような苦い思いだった。

今朝の各紙の報道にもあったように、国民投票法案の修正協議は合意寸前まで行った。全権を委ねられていたはずの交渉団(憲法調査特別委員会理事)による合意への最後の努力を潰したのは、本国(党執行部)の指示だった。いや、党執行部の思惑といっていい。自民執行部には、現行憲法96条に明記されている憲法改正の手続法の制定にすら反対する民主党を印象づける思惑が、対する民主党執行部には、国民生活の喫緊の課題そっちのけで憲法改正に突き進む安倍政権の的外れを浮彫りにしようとの思惑があった。

こうして最初から結論が決まっているのだから、交渉が成立する道理はない。少なくとも、私の目から見て、最後に残された2つの論点:(1)国民投票の対象を絞る規定でも、(2)公務員の行動に関する規定でも、両者の違いはほとんどなく、決して合意できないものではなかった。枝野憲法調査会長も粘り強く論点整理を重ね見事に与党を説得したし、船田元与党理事も真摯に対応してくれたし、中山太郎憲法調査特別委員長もフェアな運営を心掛け、最後までじつに立派だった。

しかし結果は決裂。野党は与党を批判し、与党は野党を非難する。これが議会制民主主義の現実だから、仕方がないか。しかし、それにしても、もう少し別な戦い方はないものか。わが党として政権交代を可能にするような別のやり方はなかったのか!

沖縄での参院補選前に、統一地方選挙の後半戦を前に、米軍再編推進法案に賛成することはできない。わかりやすい論理だが、他にどんな代案があるというのか?再編の総額がわからないと批判するが、予算措置は別に具体的な予算要求がなされ国会で審議されるのだ。グアムへの移転経費も日米合意は上限で、今後の交渉に委ねられ、議会として厳格に審査もできる。たしかに米国主導の再編協議だったことに不満は残るものの、それは今に始まったことではなく、対等の同盟関係を構築する作業は、少なくとも集団的自衛権の行使を認めなければ絵空事だし、それは次回以降の課題だ。それでも、今回の海兵隊グアム移転で沖縄の基地は返還が進む。この問題には個人的な思い入れがあるだけに、言いたいことは山ほどあるが、今は隠忍自重の日々だ。

しかし、民主党が政権交代を目指すのであれば、今の戦い方を続けていて本当にいいのかという疑問は、少なくとも私の同期議員をはじめ当選1-2回生の間に深刻な広がりを見せている。

その意味で、先の都知事選に敗れた浅野さんのインタビュー記事(朝日新聞今朝の朝刊33面)の次の一文に目が釘付けになった。

(引用はじめ)
―何が敗因か。
一番は図式の問題。「石原都政、我慢できますか」と訴えたが、考えてみると、これを実感しているのは、教育や福祉の現場などで実害を受けている人たち。数は限られていた。(中略)
妻は選挙前から「悲鳴を上げているのはごく一部の人たちでしょ」と言っていた。勝算ありと信じた私や参謀は、反対した妻や娘に負けた。
(引用終わり)

その通り!
民主党は、今国会を格差是正国会と名付け、小泉政権下で拡大した格差問題を最重要課題として臨んだ。たしかに、子供の学力には家庭の所得格差が影を落としている。年金生活者や障害者に対する負担が相対的に重くなっている。ワーキングプアと呼ばれる若い世代で生活や結婚、子育ては深刻だ。地方の格差も深刻だ。

政治は弱い人たちのためにあるのだ!
確かに正論だ。だから、格差是正法案を!
格差を拡大させる安倍政権を打倒せよ!
民主党にご支援を!

これで本当に民主党に対する国民的支持が広がるだろうか?いったい有権者の何パーセントがこの格差是正法案で救われるのだろうか?(疑問に感じた私たちは、この点で詳細な世論調査をかけるよう党本部に働きかけたが、いまだに実現していない。おそらく、政府与党はこの辺の市場調査は完璧にやっているのだろう。)

まがりなりにも政権交代を目指す以上、民主党は、弱い人たちだけの政策を掲げるのみで1億2千万余の国民に対する責任を果たしたことにはならないだろう。それこそ財界から、労働界から、子どもから、お年寄りから、女性から、男性から、資産家から、新しい貧困層にいたるまで、国民の各界各層に訴求できる包括的な政策パッケージを提示できなければならないはずだ。

それができたのが石原都知事で、できなかったのが浅野候補だった、と(石原陣営が言っているのではなく)浅野候補ご自身が述べておられるのだ。きわめて冷静な敗因分析だと思う。わが民主党は、浅野候補を担いで、敗れて、そういった総括をきちんとやっているのだろうか。それができなければ、少なくとも首都圏では、7月の参議院選挙は勝負にならないだろうと危機感を募らせている。残念ながら、このままの民主党では、とりわけ政治的な関心の高い無党派から支持を得ることはないだろう。

幸い、同じように危機感を共有する同志がいる。彼らと一緒に「首都圏連合マニフェスト」を準備する。党でできないなら、自分たちでやるしかない。
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