これは、民主主義「偽装」だ!

政府主催のタウンミーティングでの「やらせ質問」が深刻な広がりを見せています。

内閣府の調査報告書によれば、「「教育改革タウンミーティング」7回のうち4回で、政府が開催地の関係機関に発言候補者の推薦を依頼(わかりにくい書き方だが、要するに「やらせ依頼」:長島注)した上で、発言のための資料を作成、送付」したとのこと。

たとえば、平成15年12月13日岐阜県岐阜市でのタウンミーティングでは、参加者473名、文部科学省が岐阜県教育委員会(私的な依頼ではなく、これは立派な公的機関だ!:長島注)に発言候補者の推薦を依頼。文部科学省が、発言のための質問案(5項目)を作成し、岐阜県教育委員会に送付。また、内閣府にも送付。結果、5人の発言候補者の仲で、4人がタウンミーティング会場で発言・・・。ご丁寧に発言候補者の座席指定までなされていたとのこと。

以下は、依頼の際に内閣府から送付されたメールの抜粋です。

(引用はじめ)
2006/08/31 16:40
件名:依頼発言について

八戸市教育委員会教育政策課
総務企画グループXXXXXX様

お世話になります。
依頼発言者、ありがとうございます。文科省依頼分(3名)は必ず当たります。
また、それ以前にお願いした4名についても、たぶん当たります。(特に学生は当たります)
最終的に申込者数が結構多くなって、全体で12人ぐらい当たるのではないかと思います。
なお、依頼発言についての注意事項ですが、

○できるだけ趣旨を踏まえて、自分の言葉で(せりふの棒読みは避けてください)
○「お願いされて・・」とか「依頼されて・・」というのは言わないでください。
 (あくまで自分の意見を言っている、という感じで)

また、当日の受付で本人を確認していただき、文科省依頼の3名については文科省の担当者が追っていき、位置を確認します。また、残りの4名については、受付の方でマークするような形になります。

内閣府大臣官房タウンミーティング担当室
XXXXXXXXXXXXXXXXXXXX
〒100-8914 東京都千代田区永田町1-6-1
TEL 03-3581-1268 (直通)
FAX 03-3581-1913
Mail XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX
(引用終わり)

これが「やらせ」依頼の実態です。
タウンミーティングというのは、これまでの一方通行的な政府広報に代わって(あるいはこれを補強するために)鳴り物入りで導入された「双方向」型の政府広報戦略の大黒柱ともいうべき代物でした。そして、それが意義深いのは、現職大臣たちが、国民とその生の声や疑問をキャッチボールし合うところにあることは言うまでもありません。その意味で、タウンミーティングという方式は、民主主義プロセスを深化させる極めて意義深い仕掛けであると思います。したがって、私自身、規模こそ小さいものの、タウンミーティングを選挙区有権者との間で浪人時代から続けており、これまで通算52回行ってきました。

その我が国の民主主義プロセスに重大な「偽装」が発覚したのです。

小泉政権(安倍総理はその官房長官だった!)の基本スローガン「官から民へ」は、官の作った台本を民に読ませることだったとは、至極残念だ!
こんな茶番劇にいったいどれだけの税金が投入されたのか、という疑問も残ります。

私は、同じ政府攻撃を行うのであれば、核論議容認発言を捉えて外相罷免を要求することよりも、これはよほど筋の良い話だと思います。民主主義プロセスの信頼性をぶち壊すこのような政府ぐるみの偽装工作を看過することはできません。これは、もしかすると氷山の一角かもしれません。いま、小泉政権で行われたすべてのタウンミーティングに巨大なクエスチョン・マークが投げかけられているのです。国会を舞台に、すべての関連委員会において、徹底的な事実究明を求めて行くべきだと思います。
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