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武田薬品新湘南研究所問題 環境保全協定(案)への意見公募について

2010-10-28 22:38:24 | 武田薬品新研究所
ただいま、藤沢市と鎌倉市がそれぞれ、武田薬品新湘南研究所と、環境保全協定を締結するため、草案を公開し、
草案への意見公募を行っています。

※意見は、藤沢市民、鎌倉市民でなくても、公募の対象です。


<藤沢市>

環境保全協定について
http://www.city.fujisawa.kanagawa.jp/khozen/page100166.shtml

協定書(案)
http://www.city.fujisawa.kanagawa.jp/content/000344312.pdf
協定書覚書(案)
http://www.city.fujisawa.kanagawa.jp/content/000344313.pdf

意見公募締め切りは、11月20日(土)までです。
メール、ファックス、郵送にて。
所定の書面はありません。


<鎌倉市>
環境保全協定について
http://www.city.kamakura.kanagawa.jp/kan-hozen/takeda_kyotei.html

協定書(案)
http://www.city.kamakura.kanagawa.jp/kan-hozen/documents/kyouteisho_02.pdf
協定書覚書(案)
http://www.city.kamakura.kanagawa.jp/kan-hozen/documents/oboegaki_02.pdf

意見公募締め切りは、11月17日(水)までです。
メール、ファックス、郵送、保全課へ直接持参にて。
所定の書面はありませんが、住所、氏名、電話番号を明記とのことです。


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基本的に、藤沢市と鎌倉市のそれぞれの協定書および覚書(いずれも案)の内容は同じです。(当たり前ですが。。。)
私見ですが、問題は3つあると思われます。

1つめ
この協定は、市民が入っていません。武田と両市の協定です。実際に不安を感じたり、被害を被るのは、いつも市民です。そして、このやり方(行政と企業が協定を結ぶ)は毎度のパターンです。あまり行政を悪く言いたくはないのですが、(ありきたりな)協定書があれば、行政はまず安心だと考えている気がします。(協定書を読んでいただければ、いかにありきたりかは、分かると思います。)

2つめ
この協定は、「法律を遵守する」とか、「(安全に)努める」とか、「自主管理マニュアルを作成する」とか、いわば、当然のことしか、書かれていません。法律(条例)を守り、安全に努め、自主管理マニュアルを作成することは、たいていの企業で行われており、この研究所においては、大量の動物実験やバイオ実験、創薬開発など、危険な研究がなされ、しかも住宅街で稼働することを考慮すれば、このような簡単な協定では、とても納得できません。
さらに、意見を募っているのですが、覚書にある、各管理目標の数値(武田が目標とする数値)は、まだ記載されていません。これでは意見のしようもないです。
両市は本当に真剣にこのことについて考えているとは、思えないです。少なくとも、武田が目標数値を記載するまでは意見公募するべきではないのではないでしょうか。

3つめ
この協定に記載されている内容だけでよいのか?ということです。少なくとも、第三者の専門的な目が必要なのではないかということです。そういう意味でも、1に書いたような市民の目線がまったく反映されていない、行政視点、企業視点の協定案だと思います。



武田薬品のホームページには、「タケダイズム」という理念が掲げられています。
とても素晴らしい理念だと思います。
そういったところと、今回の協定内容を見比べながら、意見させていただこうと思います。

多くの方が協定書(案)に目を通し、賛成でも反対でも意見を発信していただければいいと思います。



このような言い方をしたら大変不謹慎なのですが、今回の武田新研究所の、建設~稼働、市民の運動、市や県の対応を、多くの方に見ていていただきたいと考えています。
この研究所が、最後(あるいは途中)で、どのような道をたどるのか、21世紀の今、市民(国民)・行政・企業がどう判断し活動したことが、未来にどう続いていくのか、私は非常に興味があります。





武田薬品湘南新研究所問題「下水道工事差し止め住民訴訟」その2

2010-10-16 23:36:03 | 武田薬品新研究所
2010年10月6日の武田薬品「下水道工事差し止め住民訴訟」の裁判では、「棄却」という結果でした。
裁判の内容の詳細は、こちらをご覧ください。

「棄却」ということは、研究所での排水(研究等に使用されたすべての汚水を含む)が、一般排水と同様に下水処理され、江ノ島や鎌倉の海に垂れ流されることを意味します。
武田薬品は、研究で使用された汚水については、一般排水の排除基準を満たすため、研究所内で希釈等の処理をするということですが、バイオなどが含まれた汚水は、希釈されると、下水処理場での危険物キャッチはむしろスルーされやすくなり、薄まったバイオ等が海に沈殿される恐れがあります。

このように危険な汚水を一般排水同様に下水処理することを容認した今回の判決理由は、、、、

1.昭和53年に、藤沢市と市民との間で結ばれた公害防止協定(※1)と、武田薬品を含む藤沢市内50社との間で結ばれた協定(※2)よりも、都市計画法、下水道法を優先する判決になっています。
ようは、『武田薬品は、当初のアリナミン工場を廃止し、研究所を作ったのだから、(”工場”と”研究所”の違い)協定は無効である』ということ。
さらに、本来は当該法律(都市計画法など)よりも上位にあるべき公害防止協定が無効とされ、「行政は、事業主に対し、公共下水道を使用させる義務を負うべきであり、利用を励行すべき立場にある」という裁判所の判断でした。

※1:大清水浄化センタ=公共下水処理場へは、公害発生防止の観点から工場排水は受け入れないこととする協定
※2:工場から排出する排水の内、厨房、便所およびその他生活系の排水以外の洗浄用、冷却用及びボイラー用等の生産工程に使用された排水(工程排水)等については、大清水浄化センタへは受け入れないとする協定

2.また、裁判所は、「研究所排水は工場排水ではないから、協定違反にはならない」「研究所排水は生活排水と同じだから、協定違反にはならない」と判断しています。この研究所から排水される可能性のあるものとしては、バイオ・遺伝子組み換え排水、創薬開発の数十種類の科学薬品排水、RI(放射性同位体)排水、薬品・病原菌を投与された実験動物排泄物など複合汚染された公害を引き起こす危険な排水です。、裁判所はこれらを下水道排除基準をクリアすれば、生活排水と同じであるという市の主張を擁護しています。


まず1についてですが、裁判所からの判決理由を読むと、元々結ばれていた公害防止協定についてはほとんど問題の対象とされていません。
これは、武田薬品だけの問題でなく、藤沢市内にある残り49の工場が、今後業務内容を「研究」とし、「研究所」と名称を変えれば、都市計画法、下水道法の名の下、公害を引き起こす可能性のある汚水を垂れ流してもよい という前例を作ってしまっています。
裁判所からの判決理由には、実際に、「武田薬品は,平成18年3月1日付けの工事立地法上の特定工場廃止届を提出して湘南工場を既に廃止している。本件新研究所は工場ではなく,工場排水を排出するものではないから,基本協定の対象とならない。」と記載されています。

2ではさらに、これだけ危険な汚水であるにも関わらず、下水道排除基準をクリアすれば、生活排水と同じであるという裁判所の判断は、非常に恐ろしいものです。
常識的に考えても、これらの研究から排出される水が、たとえ基準をクリアしたからといって、生活排水と同じであるという考えは理解しかねます。
(ちなみに、武田薬品新研究所は、「東洋一大きなバイオ研究所、動物実験施設」とも言われています。)

本裁判は、10/19に控訴予定です。


武田薬品新研究所の問題は、下水関係だけではありません。

大規模な動物実験、さまざま研究による噴煙、これらが住宅地やJRの線路近くで行われていることなどなど。。

私は、今回の裁判の判決から武田薬品問題に顔を出しているのですが、どうしても、現在も解決されない公害『水俣病問題』に大変似ていると思います。
また、構造的に、原発建設問題とも似ています。
武田薬品側からは、相変わらず住民に対して「企業秘密」を盾に、どのような研究がなされるのかの詳細を開示していません。
「企業秘密」にしなければいけないほど、危険な研究がなされるのでしょう。。

行政と大企業と市民と。
もし仮に、武田薬品がすべての情報を開示していたら。。
もし仮に、市や県が住民を守るべき義務を果たそうと努力しているのなら。。

これは、藤沢市・鎌倉市だけの問題というより、現在の行政・企業のあり方を見直し、市民も(賛成派・反対派含め)もっと議論すべき問題だと思います。


実際、建設中の研究所に行ってみました。
ガラス張りの壁、真四角の美しい外観。
この中で、これからどのような研究がなされるのか、どのような実験がなされるのか。
そしてその近くには、JRの線路、TSUTAYA、団地、周囲を走る道路の歩道では犬の散歩している女性やジョギングをしているご老人。。。
もちろん耐震性は高いと思いますが、この辺りは関東大地震がいつ来てもよい地域です。
なんだか異様な感じがしました。
みなさんも、こういう風景を想像してみてください。




撮影 NOJYO

研究所は今年中に建設完了予定、今年度中の稼働開始が見込まれています。



武田問題対策連絡会 公式HP → http://www.shounan.biz/

HP内の「当面のスケジュール(事務局ブログ)」に次回の連絡会の日程等が記載されています。

10月は、

・連絡会
 日時:10月27日(水)18:30~ 
 場所:藤沢市市民活動推進センター

・「武田薬品湘南新研究所を問う!」ニュース配布
 1回目
  日時:10月21日(木)午後2:00~4:00
  場所:小田急線片瀬江の島駅前
 2回目
  日時:10月23日(土)10:00~12:00
  場所:武田新研究所近くTSUTAYA前 

まずは知ることから。。
連絡会やニュース配布への参加をお願いしたいと思います。

もし直接の参加が難しいようでしたら、公式HP内にある、「資料集②(会のニュース・チラシ等)」をご覧ください。
今までの活動や武田薬品の動向などを掲載したニュースがあります。

また、私( n-usagi_2010@mail.goo.ne.jp)までご連絡いただければ、当日ご一緒させていただきます!







武田薬品「下水道工事差し止め住民訴訟」 その1

2010-10-08 13:06:27 | 武田薬品新研究所
先日のブログにも書いた「武田薬品問題

2010年10月6日に、横浜地裁にて「下水道工事差し止め住民訴訟」の判決が出ました。
結果は、
・原告らの請求をいずれも棄却とする
・訴訟費用は原告らの負担とする

判決後の報告集会では、判決理由を再度熟読し、控訴するという方向性で話は終わりました。

またこの結果が出るまでに6回の口頭弁論を経ているそうですが、残念ながら私はこの問題について、
つい最近まで知らなかったため、その詳細はわかりません。

そもそも今回の、「下水道工事差し止め住民訴訟」とは何かについて、簡単にまとめてみることにします。


原告:藤沢市民団体「武田問題対策連絡会 代表9名」
被告:藤沢市長
裁判長:佐村浩之(横浜地裁)


概要:

武田薬品新研究所から近接の下水道本管まで約980mの敷設工事の差し止めを求め、それにかかった費用等の支払いを、住民団体が藤沢市を相手に請求した裁判です。

そもそも新研究所の前に稼動していた武田薬品アリナミン工場(30年前に設立)の時代においても、下水道の本管は敷設されていませんでした。

これは、昭和53年に住民と藤沢市と武田薬品を含む藤沢市内50社との間で、『工場排水は藤沢市の大清水浄化センタ(公共下水道処理場)へは流し込まない』という公害協定が締結されていたためです。

(藤沢市と住民との間で、「大清水浄化センタへは、公害の発生を防止するため、本処理場には工場排水は受け入れない」ことを協定し、また武田を含む市内50社との間では「工場から排出する排水のうち、厨房、便所及びその他生活系の排水以外の洗浄用、冷却用及びボイラー用等の生産工程に使用された排水(工程排水)等については本処理上へは受け入れない」との協定を結んでいました。)

これは、公害の観点から見た協定締結と言っていいと思われます。

しかし、今回の新研究所の設立においては、これらの協定が藤沢市と武田との間で無効とされ、研究所の排水の大半が大清水浄化センタへ排出されることとなり、その下水道工事が行われているということで、今回の裁判になりました。


ポイント(私見含む):


【敷地面積や研究内容】

敷地面積25万平方メートル、延床面積31万5000平方メートル
完成予想図(P3施設を考える会、武田薬品住民説明会資料より)



・「P3」レベルの遺伝子組み換え実験
 (「P3」施設では、鳥インフルエンザ、腸チフス、パラチフス、結核、炭疽菌、SARSなど
  伝播性の強い病原体を扱うことが可能。
  この場合、WHOは病院などの施設から離れた場所で建設すべきであるとしている。)
・放射性同位元素を扱う「R1」施設設置
・東京ドームの2.5倍もの大規模動物実験棟
・実験動物の死骸を焼却する巨大な焼却炉


【排水の種類】

新研究所の排水は、危険なバイオ・創薬・動物実験・RI実験(放射性同位元素実験)。
詳細は別に記事にしてみます。。。
ようは、今までのアリナミン工場よりはるかに危険の多い排水です。



【なぜ新研究所は先の協定を無視し、市は公共の下水道に排出することを認めたか】

武田・藤沢市側の主張としては、
「研究所排水は工場排水ではないから協定に違反しない」(先の協定では、“工場排水は”となっています)
「研究所排水は生活排水と同じだから協定に違反しない」というものです。

まず、“工場”と“研究所”という呼称の違いがあるということです。これはごく普通に考えても疑問は残ります。
この考え方では、藤沢市のすべての“工場”で何かしかの研究をしていれば呼称を“研究所”としてしまえばよいという前例を作ってしまいます。

また、研究所排水と生活排水は同じではないと考えるのが当然ではないでしょうか。
専門的なことを知らない私ですら、これには疑問を感じるよりむしろ、あきれます。
研究所排水と一般家庭の生活排水が同じであると考えると主張しているのです。。

また武田は、「研究所排水は生活排水と同じ」と主張するに際し、「大量の水で薄め、下水道受け入れ基準を満たせば問題ない」とも言及しています。
しかし、この研究所からの排水にはバイオ危険物等も含まれており、水で薄めれば薄めるほど、公共下水道でも危険物をキャッチすることは困難になります。
仮に公共下水道でキャッチされなかった危険物はそのまま下水道を流れ、江ノ島の河口に沈殿・堆積することになります。

さらに、藤沢市の思惑のなかには、アリナミン工場時代とは比にならないほどの下水量が新研究所から排出されることになり、年間1億数千万円の下水道料金が手に入ることも、今回の下水道設置にサインをした理由が考えられます。


【情報非公開について】

排水の種類として上述しましたが、実際は、多くの部分が企業秘密として非公開になっています。
非公開部分は62箇所に及びます。
(排水汚染状況及び量等の水量や、実験動物の数など)

危険を伴う排水において、公共処理場を使用するのであれば、さらにそれらが人体や環境に影響を及ぼすのであれば、企業秘密の優先性は下げられてしかるべきだと考えます。
過去の公害問題の教訓をまったく生かしていないことを、自ら示してしまっているようです。


【裁判の根源的な問題点】

この問題は、武田薬品新研究所の排水を、公共下水施設に排出するために建設される下水道敷設工事をめぐる公金支出の是否の裁判ではありますが、それだけに留まるところではありません。
今回の裁判を、裁判所が、公害裁判ととらえることができるかによって、今後の藤沢市の、さらには日本の今後の公害問題を大きく左右することになります。
今回結果としては、住民の主張は「棄却」(却下でなく、棄却です!!)されたので、このまま控訴しなければ、下水道施設でキャッチできなかった場合の危険バイオによる、江ノ島・鎌倉の海岸や付近を流れる河川の汚染(環境汚染)、人体への影響はこれまでの公害問題以上に大きな影響を及ぼすことになると考えられます。

そしてたとえば、新研究所周辺エリアで、癌の発症率が高くなった場合、特にバイオの次元になると、その因果関係を調べようにも、現時点では立証しにくいと言われています。

また、当然ですが、新研究所の公共処理場への排水を認めることは、上述にもあるとおり、他の工場への前例となり、またそういった動きは全国へ広がることになるでしょう。
公害国日本がまた飛躍する前例となってしまうわけです。。



次回は、判決結果の理由について、読み砕いてみたいと思います。
(これは驚きの理由ですよ~)




武田薬品と県と人間。

2010-10-04 21:10:34 | 武田薬品新研究所
10/6(水)、横浜地方裁判所にて、武田薬品新研究所建設問題の住民訴訟が判決を迎えます。
私自身、こういった問題がこれほど身近に起こっていることは、比較的最近知りました。
なので、時間がないのですが、私なりに調べたこと(ネットから)についてまとめてみようと思いました。


【武田薬品について】
・経営の基本精神
 220年以上にわたり命の大切さを見つめ続けてきたタケダには、「高い倫理観」と
 「強い使命感」が培われてきました。これらは、現在、タケダイズムを始めとする
 「経営の基本精神」として一体化され、わたしたちの経営のなかに、
 しっかりと息づいています。

・タケダイズム
 わたしたちタケダグループの従業員は、いかなる場面においても、常に誠実であることを旨とします。
 誠実とは、何事にも高い倫理観をもって、公正・正直に取り組む基本姿勢と、
 より良き姿を追求し続ける不屈の精神をいいます。
 この実践を通じて、わたしたちを取り巻くあらゆる人々との間に強い信頼関係を築き、
 事業を発展させていくことで、タケダの経営理念である「優れた医薬品の創出を通じて
 人々の健康と医療の未来に貢献する」を世界で実現していくことを目指します。

以上は「武田薬品工業株式会社」のホームページから、『経営の基本精神』の一部をそのまま写したものです



【新研究所の場所】
藤沢市村岡東と鎌倉市岡本にまたがる住宅地。
すでに武田薬品の工場があり、その跡地に、今回の新研究所を建設中。2010年12月に完成予定。
このあたりです。
周囲には学校や病院などが多数あり、当然ですが、住宅街です。
JRもすぐ近くを走っています。

http://www.geocities.jp/daigiri90225/200903021.htmの下のほうに、写真が何枚かあります。

完成予想図
敷地面積25万平方メートル、延床面積31万5000平方メートル

【新研究所で行われる予定の施設等】
・「P3」レベルの遺伝子組み換え実験
 (「P3」施設では、鳥インフルエンザ、腸チフス、パラチフス、結核、炭疽菌、SARSなど
  伝播性の強い病原体を扱うことが可能。
  この場合、WHOは病院などの施設から離れた場所で建設すべきであるとしている。)
放射性同位元素を扱う「R1」施設設置
・東京ドームの2.5倍もの大規模動物実験棟
・実験動物の死骸を焼却する巨大な焼却炉
など。
集中」より抜粋 


【新研究所建設について。武田薬品、県、市、市民団体の対応など】

2007/2/1 薬事日報より
【武田薬品】新研究所建設で神奈川県に施設整備助成を申請
 武田薬品は、昨年(=2006年)10月に新しい研究所を神奈川県に建設することを決定したことに伴い、
 神奈川県の制度である施設整備助成を昨日31日に申請した。
 研究所建設の投資額は700億円以上というが、今回の申請が認められれば最大80億円が助成される。
 この日会見した松沢成文知事は、研究所新設に期待感を示し、移転してくる研究者、
 その家族を含め「最大限のバックアップをしたい」と表明した。
 ・・・(中略)
 松沢知事は「国内でトップ、日本を代表とするグローバル企業の新研究所ができることは、
 県内産業にとってもインパクト、様々なプラスの効果がある。
 進めているバイオ産業の集積にも弾みとなる」と期待感を示した。


写真は、松沢神奈川県知事と武田薬品長谷川社長



これを受け、藤沢・鎌倉の市民団体は、「安全性を担保する説明としては不十分」などとして、
見直しを武田薬品、県、市、環境省などに要請。
署名活動やビラ配り、市民集会、武田薬品側との交渉の場などを行うが、建設が始まっている現在においても、納得のいく説明は受けられていない。
また武田薬品側は、「すでに説明責任は果たした」として、市民集会等への出席や文書での回答などは拒否をしている。

参考:
http://www.shounan.biz/masukomi.html
P3施設を考える会
病院経営者のための会員制医療情報誌」web版『集中』 より、武田薬品新研究所に関わる記事
http://www1.kcn.ne.jp/~ssumika/study/
武田薬品新研究所の焼却炉について知りたい
PJnews
藤沢市HP武田薬品関係
鎌倉市HP武田薬品関係
神奈川県HP武田薬品関係



感想ですが、このような施設が自分の住む本当に近くの住宅街にできることは、本当に大問題です。
そして、このことをもっと早く知るべきでした。
この数時間でwebで読んだだけでも、(当然利点について言及している記事もありました。増収とか)
鳥肌が立ちました。

日本は過去に水俣病などの公害問題が起きています。
このような施設について、建設前から市民に対して説明が不十分であると、企業に対する不信感は、
すでに何十年も前から私達の中に蓄積されている記憶が呼び起こされ、必要以上に悪感情が引き出されることも、企業や行政は考慮しないといけないと思います。
当然、このような公害が再び起こることはまっさきに避けなければいけませんが。

そしてきっともっと調べれば、行政特に神奈川県が武田薬品の提案を快諾した別の理由があるのではと思います。

もうひとつ別の問題もあると思います。

ではもし、この施設が藤沢鎌倉両市のこの場所に建設されなかったら、どうなるのでしょうか?
どこか違う場所に建設され、同じことが行われるのでしょうか。
まさか、武田薬品が、700億円以上もかけて設置するわけですから、企業にとってそれだけの利点があるのは当然です。
そのような施設を、神奈川県がダメだったからすべて諦めるということは絶対にありえないと思います。
私は、「ならば私たち藤沢、鎌倉市民が引き受けようではないか」と言っているのではありません

そもそも、こういった施設は本当に必要なのか?とういことです。
私自身、動物実験のすべてに反対している立場ではありません。(武田薬品が行おうとしている、私の想像できる実験には反対ですが。)
しかし、もういいではないか。。というのが私の思うところです。

人間は、これ以上何を望むのか。。ということです。
しかも、同じ人間(住民)に不安や不快感を与えてまでして・・。

「モノゴトはそんなに簡単じゃないよ」とよく言われます。実際、何度か偉い人からそう言われました。

でももう少しシンプルに考えたら、遺伝子組み換えの必要性、動物実験の(薬品会社での)必要性は本当にあるのか?ということです。
人類は充分動物たちの犠牲の恩恵にあずかってきたではないかと思うのです。

とにかく、私は、この施設の立ち上げには賛成できませんし、武田薬品が掲げている「タケダイズム」については、たくさんの疑問符がつきます。。。


もし、あさって10/6(水)お時間のある方は横浜地方裁判所までお越しください。
裁判は13:15~だそうです。
傍聴できなかったとしても、これだけの市民(人びと)が注目しているということを裁判所に示すことも、
大切なことです。
こういった小さな活動からしか、大きな体制は崩れないと思いますので。。

裁判所所在地:神奈川県横浜市中区日本大通9
アクセス:  みなとみらい線日本大通り駅から徒歩1分
       JR京浜東北線関内駅・横浜市営地下鉄線関内駅から徒歩約10分




以下は、私がよく分からなかったので調べた言葉の意味などです。


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※P3レベルとは。。

バイオハザート(生物学的有害物質)を施設、設備内に閉じ込めて、実験者への伝播や拡散を防止します。
危険のレベルには1~4があり、今回は、レベル3ということになります。
以下はレベル3(P3)の場合の、施設、設備などの規則です。
http://www1.kcn.ne.jp/~ssumika/study/hazardpg.htmlより
(「P」とは、“Physical containment”封じ込めの意味です)

(1)封じ込めの設備
 1 組換え体を取り扱う場合には、エアロゾルを生じうる操作及び機器の使用
   が可能な安全キャビネットを設置すること。ただし、エアロゾルが外部に
   漏れない設計が施されている機器を使用するときにはこの限りでない。

 2 安全キャビネットの設置に際しては、定期検査、HEPAフィルターの交
   換、ホルムアルデヒドによる燻蒸等が安全キャビネッ卜を移動しないで実
   施できるよう配慮すること。また、安全キャビネットは、設置直後次のア
   からウまでの検査を行うとともに、定期的に年1回以上ア及びイの検査を
   行うこと。
    ア 風速・風量試験
    イ HEPAフィルター性能試験
    ウ 密閉度試験

(2)実験室の設計

 1 実験区域(出入を管理するための前室によって他の区域から隔離された実
   験室、廊下等からなる区域をいう。以下同じ。)を設けることとし、前室
   は両方が同時には開かない扉を前後にもち、更衣室を整えること。

 2 実験区域には、汚染物及び廃棄物の処理のための高圧滅菌器を置くこと。

 3 実験区域の床、壁及び天井の表面は、容易に洗浄及び燻蒸ができる構造及
   び材質とすること。

 4 実験室及び実験区域の主な出口には、足若しくはひじで、又は自動的に操
   作できる手洗い装置を設けること。

 5 実験区域の窓は密閉状態とすること。

 6 真空吸引装置は、実験専用のものとし、実験区域以外の区域とは別に独立
   して設けること。吸引口にはフィルター又は消毒液にによるトラップを設
   けること。

 7 実験区域には空気の排出換気装置を設けること。このシステムは、空気の
   流れが前室から実験区域へ向うように設計すること。実験区域からの排気
   はろ過その他の処理をした後排出すること。

(3)実験実施要項

 1 実験中、実験室の扉は閉じておくこと。

 2 実験台及び安全キャビネットは、毎日、実験終了後消毒すること。また、
   実験中汚染が生じた場合には、直ちに消毒すること。

 3 組換え体を含むすべての廃棄物は、廃棄の前に滅菌すること。その他の汚
   染された機器等は、洗浄、再使用及び廃棄の前に消毒又は滅菌すること。

 4 機械的ピペットを使用すること。

 5 実験区域内での飲食、喫煙及び食品の保存はしないこと。

 6 組換え体を取り扱った後、及び実験区域を出るときは、手を洗うこと。

 7 すべての操作においてエアロゾルの発生を最小限にするよう注意を払うこ
   と。

 8 汚染した物質等の汚染を実験区域外の他の場所で除去しようとするときは、
   堅固で漏れのない容器に入れ、実験区域から搬出すること。

 9 実験区域の昆虫、げっ歯類等の防除をすること。

10 他の方法がある場合には、注射器の使用は避けること。

11 実験区域内では長袖で前の開かないもの、ボタンなしで上からかぶるもの
   等の形式の実験着を着用し、実験区域を出るときはこれを脱ぐこと。また、
   この実験着は洗たく前に消毒すること。

12 実験区域への出入りは前室を通して行い、実施されている実験の性質を知
   らない者のみを入れないこと。

13 実験が進行中の場合には、P3レベル実験中の表示を実験室及び実験区域
   の入口に掲げること。

14 実験区域は常に整理し、清潔に保ち、実験に関係ないものは置かないこと。

15 試料を扱う場合には、実験用手袋を使用すること。使用した手袋は、作業
   終了後、他のものを汚染しないよう取りはずし、消毒すること。

16 実験中、当該実験室内では封じ込めレベルがP2以下でよいとされる他の
   実験を同時に行わないこと。

17 その他実験責任者の定める事項を遵守すること。


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※「バイオハザード」とは
http://www1.kcn.ne.jp/~ssumika/study/hazard.html より

日本語にすると「生物災害」または「生物学的危険性」という訳になります。
(中略)

バイオハザードの危険性

 感染・発がんの多くは不顕性です。
 感染後の発症および発がんの多くは遅発性で、すぐには発見されにくいことが多いです。
 個人の免疫力等によって被害状況が異なるため、被害を認識しにくいことが多いです。
 二次感染によって被害が広範囲に拡大する危険があり、一度広がると回復は不可能とされています。
 他の災害(化学物質や放射性物質等)よりも因果性の証明が複雑で困難です。
 施設外に出た病原体等は自然界の生態系で増殖・変異するため、一度外部に出たら排出や漏えいを止めても手遅れです。
 つまり、自然界に出たら止める事はできません。

火事になったら
 バイオ施設で火災が発生しても、水で火を消すことはできません。
 水をかけてしまうと微生物や組換え体が水とともに拡散してしまうからです。
 そのため化学的な消火か、火の出ている所を完全に密閉状態にして酸素をなくして消すことしかできなません。

地震になったら
 地震が起こって、薬品や生物の入った容器やビン等が破損したり、中身が出てしまうことがあります。

原発と比べて
 放射性物質よりも危険性は高いのに、放射性物質や原子力に関するような資格や取り扱い、防災などの法律上の規定がほとんどありません。

 そういうわけで、バイオ施設の外に出てしまったらなすすべ無しなので、細心
の注意と警戒が必要です。

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