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黛信彦の時事ブログ

浜矩子語録(103) 民主党は、存在価値なし

2010年10月19日 | 浜矩子語録

 

妖艶なエコノミスト・浜矩子は17日放映のNHK・日曜討論に出演した。

番組の主客は経済財政政策担当大臣・海江田万里氏であり、「どうなる 日本経済」が語られ、浜矩子は与党席に着座したが、民主党・菅政権の経済政策を問われると、辛らつな意見を述べた。

司会はNHK解説委員・島田敏男氏で、その他の出席者は、

早稲田大学大学院教授・野口悠紀雄氏

政策研究大学大学院副学長・大田弘子氏

第一生命経済研究所首席エコノミスト・熊野英生氏

だった。


以下、A
は番組の浜矩子語録、Qは島田氏。

 

●日本経済、いま何が必要か?

Q~・~ 金融業界同様に製造業界でも大編成が加速するという見方は?

A~・~ 今、構造転換ということは重要なことなのですが、どういう形の問題に構造の変化があるかがポイントです。

キーワードとして出てくる言葉は『地域』ということだと思います。

日本における地域社会、地域共同体、地域経済、この中で新しい動きがどう出てくるか?

新しいという事は、ある意味では非常に伝統的な、日本が従来から持ってきたもの。

製造業のことを『もの創り』という言い方をしますが、私は製造業ともの創りというのは、ちょっと違うのではないかと思っています。

輸出立国の中で合理化して大規模生産で効率を上げて、という事が製造業の世界であるとすれば、それと違うところに、日本が力を持っているもの創りの世界が、地域に根ざした世界、そこをどうやって引っ張りだしてくるか?

そういう意味での構造変化が今問われているのではないでしょうか。

 

●どうする 成長戦略

Q~・~ 介護の現場であまりにも賃金が低すぎて若い人たちの心を挫いているのではないか?という議論ですが?

A~・~ その点に入る前にちょっと一言。

今までの皆さまの議論を聞いていて思いますのは、今日扱っている全ての問題(当番組で議論されている問題)は非常に難しい問題であって、すぱっと「これさえあれば」という決定打が出るような問題ではなく、グローバル化という流れの中でどうやって日本が身を乗せて行くかというテーマである筈で、そういう視野を失わないで議論をして行くべきだと思います。

お互いに重箱の隅を突っつき合うようなことになってしまうので、そこは用心すべきではないかと思います。

 

●どうする EPA・FTA

Q~・~ それでは話を拡げましょう。

日本が積極的にEPA・FTAを締結して行きたいということについての評価は?

A~・~ その点は野口さんと基本的に同意見です。

FTAは自由貿易協定という風に言われますが、これは、ネーミングがまやかしであって、正しくは「地域限定排他協定」と名付けるべき性格のもので、言ってみればグローバル経済を地域限定の経済圏に切り刻もうとする発想なのです。

こうなっては、皆んなにとって良い状態になってゆくはありません。

今の日本に対して強く思うのは「今となっては仕方がない」と仰る熊野さんのご意見で良く分かるのですけれども、今となっては仕方がないところまでFTAが広がって行く状況を放置して何ら警告を発しない、これだけ自由貿易の恩恵に浴して来たにもかかわらず、それを言って(警告して)来なかったことに対して非常に不満を感じています。

 

Q~・~ EPA・FTA 農業への影響は?

A~・~ 農業問題もグローバルな視点で考えなければ答えが出てこない問題ですが、基本的には「去る者は追わず、来るものは拒まず」という形で大きく(グローバルな)風が吹いてくる。

グローバル化された日本の農業の姿というのは、充分に想定できるものだと思っていますし、そこに向かって農業の当事者と政策担当者責任者たちが一緒に考えてゆく、そこにも地域という言葉が組み込まれてゆくものだと考えます。

地域に根差したグローバル化した日本の農業をイメージしたら宜しいのではないでしょうか。

 

●どう見る 経済対策、菅政権の経済政策

Q~・~ 民主党の補正予算は?

A~・~ 構造改革と成長戦略は全然違うと私は思いますし、そもそも成長戦略という言葉が出過ぎだと思います。

今、日本にとって必要なのは成長戦略ではなくて、あえて戦略という言葉を残すとすれば「成熟戦略」だと思います。

成熟した経済社会を如何にお互いに支え合うようにして行けるかというところに民主党が抱えてきたビジョンがあった筈です。

そのビジョンはどこに行ったのか?

補正予算と云えども、自分たちの姿勢に従ったメリハリとか、姿を示してくれてこそ、今までとは違う政府であり政権であると思うのですが、全然そういうところの見えない、いわんや、野党の御用聞きをして「皆さんが言ったこと、全部盛り込みました」とか言って「本当かどうか精査するぞ」と言われてしまうような格好では何のため存在している政権なのか分からない。

 

Q~・~ 菅内閣の経済政策について

A~・~ 来年度以降という事で考えれば、先ほどから(菅政権の経済政策は)現実路線になったという話がありましたが、現実的になるという事はビジョンを捨てると言う事ではない筈ですね?

「ビジョンを実現するために、如何に現実的な対策を執って行くか」という発想である筈のところ、「現実的になって、成長も目指すんです」というような雰囲気になってきている。言ってみれば、節のないスタンスからは、熊井さんが仰るような大きな思い切ったことは出てこない。

「現実的になりました」というところで(国民から)評価してもらおうという姿勢になってしまう様では、グローバル時代の経済運営は出来ないと思います。

 

●どうする 来年度予算

Q~・~ 消費税は?

A~・~ グローバル時代に相応しい税制という意味では消費税などの間接税から税収を上げる、日本人からではなくて、日本で活動している人から税収が上がってくるという体系に租税体系を変えてゆくことが間違いなく必要です。

そして、消費税を機能させるにはインボイス方式がどうしても不可欠になってきます。(了)


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