key person

「どうする日本!」

右と左の真ん中で日本と世界を眺める

黛信彦の時事ブログ

浜矩子語録(99) ユーロをちょっとお休み

2010年08月03日 | 浜矩子語録
7月31日、NHK-BSのプロジェクトWISDOM「暴走するマネー」第一部では≪世界を揺るがすギリシャ危機≫が語られた。
世界各国から論客が招かれ、日本からは妖艶なエコノミスト・浜矩子が真っ赤なブレザーを纏って出演した。
番組は野村正育アナウンサーがぼくとつに司会進行し、滝川クリステルがあの斜め45度でアシスタントを務めた。

以下は、その浜矩子語録である。
●世界を揺るがすユーロ危機
Q~・~ ユーロ圏の国々の状況と今後をどう見る
A~・~ 皆さんのご意見を面白く伺いました。そのうえで私として申し上げたいことは「だから言ったじゃないの」ということです。
ユーロ圏というのは経済実態が不揃いの国々を、ある意味では無理やり一緒にして作ったものである。そういうことのツケがこういう形で回ってきている。
話を聞いているとアリとキリギリスのイメージが浮かんでくるのです。
アリさんは、キリギリスをどこまで支えるか。キリギリスはアリさんに支えられることにどこまで甘んじるのか、ということの問題が表面に現れてきている、というふうに思います。

●ユーロ危機の行方
Q~・~ ユーロ圏で「共同の赤字」と見るべきとの意見があるが?
A~・~ この問題を克服するためにマリスさん(パリ第8大学:ベナール・マリス教授)が言われたように共同の赤字、言ってみれば共同責任ですが、一蓮托生の構図を強めることによってユーロ圏としての結束力を高めようというご意見が出てきたわけですが、これで果たしてうまくゆくのか?
特に難しい状況になった時は、例えば(ギリシャが)一時的にユーロ圏から出て、自分に都合のよいような措置を取って、上手くいったらまた戻ってくる、というようなフレキシビリティをもっても良いのではないか?
「何がなんでもこの結束、一糸乱れてもいけないのだ」という発想をすればするほど、実は中から崩壊のエネルギーが高まる恐れがあるのではないか。

●ユーロ危機をどう乗り越える?
Q~・~ NHKウェブサイトに世界各国から多くの意見が寄せられています。
A~・~ 誰のため?何のため?なぜそうなるの? ということに対する答えが錯綜している気がします。
ギリシャのために頑張る話なのか、ユーロ圏のために頑張る話なのか。
ドイツであれフランスであれ、ユーロ圏のために頑張ることが、その国にとって良いことなのか、ユーロ圏の結束のためにその国が無理することがその国にとって良いことになるのか、詰めて考えなくてはいけません。

A~・~ ドイツでは、ギリシャを助けたら選挙に勝てないという意見もありましたが?
Q~・~ (デュイスブルグ・エッセン大学:アンスガー・ベルケ教授の意見は)面白いですねえ。「EUは政治同盟ではない」という明確な答えが出てきました。
この状況を乗り越えて行くことを考えるうえで、EUの皆様が考えるべきことは、本当に経済政府でいいの?本当に財政統合でいいの?本当に政治統合でいいの?ということを、お互いに正直に吟味しあう事が必要だと思います。
“まとまる”ということを目指して窮屈な事、無理なことをすると、後で泣くことになると思います。

A~・~ ウェブサイトの意見を聞くとWISDOMが求められています
Q~・~ そのWISDOMについて申し上げたいことは、皆さまがユーロ圏を崩壊させたくなければ、EUの空中分解を避けたければ、柔軟性をどういうふうに持たせてゆくか?ということが鍵ですから、(ギリシャがユーロ圏から)一時的な脱退でもいいでしょう、ちょっとお休みでもいいじゃないですか、というような窮屈さを感じさせない柔軟性を思い切って導入できるかで、ここを乗り越えることができるかどうか決まるだろう、と考えます。
マリスさんが仰った「輝かしいユーロ」を存続させたいなら、あまり窮屈なユーロであってはならないのです。
これが、ユーロ危機に対する皆さまのメッセージではないかと、私には思えます。(了)

浜矩子語録目次Ⅲ

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« NHK世論調査(10.07-2)... | トップ | 浜矩子語録(100) 皆さん、ア... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

浜矩子語録」カテゴリの最新記事